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[ACG36-P02] 夏季の九州北部地方における湿潤気流の流入が短期間強雨に及ぼす影響
キーワード:豪雨、水蒸気、現地気象観測
日本西部に位置する九州地方においては,夏季 (6~8月)にしばしば甚大な豪雨災害が発生する.夏季の九州地方においては,海面付近において太平洋高気圧の外縁に沿って南西方向から流入する暖湿気流と,亜熱帯ジェットに伴って自由対流圏下層から中層にかけて流入する湿潤気流が比較的長期間持続的に存在することが大きな特徴である.これらの湿潤気流が降水システムに果たす役割については長い研究の歴史があるが,未解明な点も多い.本研究では,九州南西部における離島における長期間の水蒸気フラックスの現地観測データと,大気客観解析データを用いて,夏季の九州地方に流入する水蒸気フラックスと九州北部における短時間強雨との関係について調べた.短時間強雨の指標として,九州北部領域おける3時間降水量の領域最大値 (P3H) を用いた.海面付近の水蒸気フラックスの値が相対的に大きい条件下で,P3Hが大きくなる場合とならない場合の差異について詳しく検討した.P3Hが大きくなる場合,総観・メソスケール擾乱に伴う力学的強制,海面付近の水蒸気フラックスの増加に強化に加え,強風に伴う自由対流圏の湿潤化が重要であることが示唆された。自由対流圏が湿潤化によるエントレインメントの抑制を考慮した場合,対流有効位置エネルギー (ECAPE)の値とP3Hとの間に明瞭な対応関係が見られたが,湿潤化の影響を無視した場合,そのような対応関係は不明瞭となった.厚い湿潤気流が九州北部に流入することがECAPEの増加に寄与することが示唆された.これは最近行われた理想化数値シミュレーションの結果を支持している.九州北部においてP3Hが大きな値を示す6時間前から,現地観測を行った離島周辺海域から九州北部に向けてECAPEの極大域が拡大していく傾向が見出された.このことは,離島における定期的観測が,九州北部で発生する強い降水の予報精度の向上に寄与できる可能性を示している.
