09:30 〜 09:45
[ACG38-03] 低次元モデルによる大循環モデル・ペースメーカー実験の再現性評価と熱帯海盆間相互作用への応用
キーワード:熱帯海盆間相互作用、GCMペースメーカー実験、低次元モデルを用いたGCM実験の再現:熱帯海盆間相互作用への適用、Linear inverse model (LIM)
大気・海洋変動の強制応答を理解するためのフレームワークとして、大気海洋の大循環モデル(GCM)を用いたペースメーカー実験が幅広く用いられている。一方で、Linear Inverse Model (LIM) や extended recharge oscillator (XRO) に代表される低次元モデルは、気候変動のメカニズムの解釈や季節予測への応用に有用であり、特に熱帯域における海盆間相互作用(basin-to-basin interaction)に関する研究で多く用いられてきた。そこで本研究では、GCM のペースメーカー実験と LIM・XRO を統合し、熱帯の変動に焦点を当てたパーフェクトモデル実験を実施することで、低次元モデルが GCM の結果を適切に再現できるかを検証した。
題材として、熱帯大西洋(tropical Atlantic ocean)の遠隔影響を取り上げた。これは、大西洋変動が他の海盆に及ぼす影響が近年の研究で注目されていることに加え、ペースメーカー実験の代表的な適用例の一つであるためである。本研究では、大気海洋結合 GCM を用いて、熱帯大西洋の海面水温(SST)をコントロール実験のものに緩和するペースメーカー実験を実施し、その結果を LIM と XRO によって再現できるかを検証した。具体的には, LIM と XRO は GCM のコントロール実験から構築した上で、新たに開発した手法を用いてペースメーカー実験をエミュレートすることを試みた。
その結果、GCM ペースメーカー実験のアンサンブル平均から推定される強制応答(deterministic signal)の振る舞いを、両モデルとも適切に再現できることが確認された。また、多くの GCM ペースメーカー実験では 10 メンバー程度のアンサンブルが採用されることが多いものの、そのアンサンブル数の選択に対する確固たる根拠が明示されていない場合も多い。そこで、本研究ではアンサンブルサイズを増やした場合に強制応答(deterministic signal)がどのように変化するかを検証した。その結果、本研究で用いた GCM およびペースメーカー実験の条件下では、10 メンバーでは不確実性が大きく、50 メンバー以上ではよりロバストな強制応答(deterministic signal)が抽出できることが示唆された。
本研究の結果は、低次元モデルが GCM を補完し、ペースメーカー実験の解釈を効率化する可能性を示唆するとともに、アンサンブルサイズの選択が実験結果の頑健性に影響を与えうることを示している。今後は、より大規模なアンサンブルを用いた GCM ペースメーカー実験の必要性について検討することが求められる。
題材として、熱帯大西洋(tropical Atlantic ocean)の遠隔影響を取り上げた。これは、大西洋変動が他の海盆に及ぼす影響が近年の研究で注目されていることに加え、ペースメーカー実験の代表的な適用例の一つであるためである。本研究では、大気海洋結合 GCM を用いて、熱帯大西洋の海面水温(SST)をコントロール実験のものに緩和するペースメーカー実験を実施し、その結果を LIM と XRO によって再現できるかを検証した。具体的には, LIM と XRO は GCM のコントロール実験から構築した上で、新たに開発した手法を用いてペースメーカー実験をエミュレートすることを試みた。
その結果、GCM ペースメーカー実験のアンサンブル平均から推定される強制応答(deterministic signal)の振る舞いを、両モデルとも適切に再現できることが確認された。また、多くの GCM ペースメーカー実験では 10 メンバー程度のアンサンブルが採用されることが多いものの、そのアンサンブル数の選択に対する確固たる根拠が明示されていない場合も多い。そこで、本研究ではアンサンブルサイズを増やした場合に強制応答(deterministic signal)がどのように変化するかを検証した。その結果、本研究で用いた GCM およびペースメーカー実験の条件下では、10 メンバーでは不確実性が大きく、50 メンバー以上ではよりロバストな強制応答(deterministic signal)が抽出できることが示唆された。
本研究の結果は、低次元モデルが GCM を補完し、ペースメーカー実験の解釈を効率化する可能性を示唆するとともに、アンサンブルサイズの選択が実験結果の頑健性に影響を与えうることを示している。今後は、より大規模なアンサンブルを用いた GCM ペースメーカー実験の必要性について検討することが求められる。