日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG40] 大気・海洋観測の気候・海洋予測へのインパクト評価

2025年5月27日(火) 10:45 〜 12:15 展示場特設会場 (6) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:藤井 陽介(気象庁気象研究所)、木戸 晶一郎(海洋研究開発機構 付加価値情報創生部門 アプリケーションラボ)、Tseng Yu-heng(Institute of Oceanography, National Taiwan University)、Xie Jiping(Nansen Environmental and Remote Sensing Center, Norway)、座長:藤井 陽介(気象庁気象研究所)、Yu-heng Tseng(Institute of Oceanography, National Taiwan University)


12:00 〜 12:15

[ACG40-10] EFSOで推定される全球大気観測のインパクトの気候学

*山崎 哲1服部 美紀1杉本 志織1茂木 耕作1 (1.海洋研究開発機構)

キーワード:大気観測、予報感度、アンサンブルデータ同化

全球予報に対する,夏季アジアモンスーン域の観測インパクトの分布とその影響を推定する.推定にはアンサンブルデータ同化システムに実装されたEnsemble Forecast Sensitivity to Observations (EFSO)手法を用いた.この手法では個々の観測インパクト(EFSO値)を定量化することが可能で,解析時刻からの予報をその時刻での各々の観測が改善するか改悪するかをEFSO値の負か正かで判断できる:EFSO値が小さいほど観測インパクトが大きい.我々の開発する大気大循環モデルとアンサンブルKalmanフィルタのデータ同化システムにはその手法が実装されており,そのシステムで作成された実験的再解析ALERA (AFES-LETKF experimental ensemble reanalysis)は,2005年5月〜2022年2月の全解析時刻でのEFSO値を出力可能な再解析データセットとなっている.
ALERAの17年分の夏季(6~8月)と冬季(12〜2月)のEFSO値に対して,どの観測種別が,どの領域で寄与するかを調査する:観測種別は,衛星, in-situ, 航空機, その他(レーダー,プロファイラなど)の4つに大別する.気候学的な特徴について,どちらの季節においても,衛星とin-situ観測のインパクトが大きい.洋上と陸上の観測に分けると,洋上の衛星,陸上のin-situ,洋上のin-situ,洋上の衛星観測の順で観測インパクトが大きくなる.in-situと衛星観測のEFSO値の気候学的な分布を描くと,特にいくつかの領域でin-situ観測の負のEFSO値の極値が見出される.それは,夏季のアラビア半島西部,チベット高原の南西,ハワイ島周辺,そして夏季・冬季のアルゼンチン北部である.これらは,観測が有効な「ホットスポット」となり得る.
最後に,観測のホットスポット域に対するEFSO値の年々変動を調べた.スポット周辺で衛星観測の影響が比較的小さいアラビア半島西部,チベット高原付近,ハワイ島周辺域でのEFSO値の年々変動は,トレンドを持った傾向があまり見られず,特定の年の前後で特に観測インパクトが大きくなっていた:このことは,観測システムの変遷とは別の,大循環変動との関係が示唆される.
アラビア半島西部,チベット高原付近,ハワイ島近傍スポットでの観測インパクト(負のEFSO値)の年々変動に対する大気循環場との回帰場から,前者2つは夏季アジアモンスーン循環の年々変動と,後者は北太平洋での亜熱帯循環と関係してそこでの観測インパクトが変動していることが示唆された.