日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG41] 衛星による地球環境観測

2025年5月29日(木) 10:45 〜 12:15 展示場特設会場 (5) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:沖 理子(宇宙航空研究開発機構)、本多 嘉明(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、松永 恒雄(国立環境研究所地球環境研究センター/衛星観測センター)、高橋 暢宏(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)、座長:村上 浩(宇宙航空研究開発機構地球観測研究センター)、本多 嘉明(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)

11:15 〜 11:30

[ACG41-15] GCOM-C「しきさい」で観測された近年の北太平洋の変化

*村上 浩1 (1.宇宙航空研究開発機構地球観測研究センター)

キーワード:GCOM-C、SHIKISAI、時系列解析、北太平洋

JAXA気候変動観測衛星(GCOM-C)「しきさい」に搭載されたSGLIは、2018年1月の観測開始から全球の海面水温(SST)、クロロフィルa濃度(CHL)、日射量(SWR)、雲、エアロゾル、陸面温度、植生指数、雪氷被覆、アルベドなどを観測している。データプロダクトは継続的に処理、改良[1]、検証[2]され、JAXAのデータ提供サイトG-portal[3]やJASMES[4]から公開されている。GCOMの目的でもある気候変動の理解に向けた長期変動の監視のため、多センサも複合した時系列解析を始めており、本発表では環境変動解析の例として、2000年以降のデータがあるMODISデータを用いたバイアス補正を行って作成した過去20~25年間の月平均時系列を用い、主に近年顕著に表れた北太平洋のSSTやCHL偏差について紹介する。
2023年春に始まったEl Ninoが2024年春に終息したことに伴い、全球月平均SST(60N~60S平均)は2023年7月に最高値、偏差は2024年1月に最高値になり、それ以降は長期的な高温傾向のレベル(0.02K/y)に戻った。一方、日本付近のSST偏差は2024年も高温で推移し、東北沖(142.0~144E、+37.5~40.5N)では2024年5月頃まで過去25年間で最高値の約+7.5K程度の高温偏差で、北太平洋亜寒帯(160E~185W、35~45N)では2025年9~10月に+3.5K程度の偏差を示していた。北太平洋亜寒帯フロント域については2020年以降の高温化傾向に加えて、2024年9~10月の短期的な高偏差ついてはSWR偏差に対応(SST偏差がにSWR偏差より2か月遅い)していた。一方東北沖はSWRとの相関は見られず、2023年~2024年に黒潮続流水が平年よりも北まで分布していたことに対応しているものとみられる。両海域のCHLはSSTと逆相関で減少していた。CHLについては、一般にセンサ校正の影響を受けやすいが、SGLI、MODIS、VIIRS、OLCIなど他のセンサにおいても同様な変動を示しており、前述のCHL変動の信頼性を支持している。GCOM-Cは7年を超えて運用を継続中で、今後も環境変動の監視やプロセス解明に向けて長期データを引き続き蓄積していく予定である。
参考サイト:
[1] GOCM-C homepage: Products & Algorithms, https://suzaku.eorc.jaxa.jp/GCOM_C/data/product_std.html.
[2] GOCM-C homepage: Validation, https://suzaku.eorc.jaxa.jp/GCOM_C/data/validation.html.
[3] JAXA G-portal: https://gportal.jaxa.jp/gpr/.
[4] JASMES homepage: https://kuroshio.eorc.jaxa.jp/JASMES/.