日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG41] 衛星による地球環境観測

2025年5月29日(木) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:沖 理子(宇宙航空研究開発機構)、本多 嘉明(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、松永 恒雄(国立環境研究所地球環境研究センター/衛星観測センター)、高橋 暢宏(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)

17:15 〜 19:15

[ACG41-P04] 大気下層の水蒸気推定精度向上を目的とした300GHz帯地上放射計の開発とその試行的な逆推定実験

*田村 亮祐1江口 菜穂2荒木 健太郎3、原田 昌朋1 (1.国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構、2.九州大学 応用力学研究所 大気海洋環境研究センター、3.気象研究所)

キーワード:リモートセンシング、ラジオメータ、300GHz、逆推定

大気下層の水蒸気観測は、線状降水帯など激甚災害をもたらす大気現象の予測や実況監視を行う上で有効である。地上マイクロ波(MW)放射計は、観測輝度温度から高い時間分解能で水蒸気および気温の鉛直構造を逆推定でる。気象庁では、線状降水帯を引き起こす水蒸気の流入をとらえるため、地上MW放射計の現業利用を開始している。観測周波数と水蒸気による吸収・射出の強弱の関係は、観測帯域における水蒸気に対する相対的な鉛直高度方向の感度である。すなわち、MW帯に比べて、より水蒸気の吸収・射出の効果が強いテラヘルツ(THz)帯(100GHz以上)の地上観測では、大気下層の水蒸気への感度が相対的に強い特徴がある。アメリカ標準大気をプロファイルに設定した数値実験では、300GHz帯のTHz放射計をMW放射計と併用すれば、大気下層(高度2km以下)の水蒸気推定精度が、MW放射計単独の観測に比べて、10%程度向上する結果を得ている。また、数値的な検討に加えて、300GHz帯の地上放射計の開発も進めてきた。これまでに、300GHz帯受信機の開発を進め、観測精度 1.0 Kが見込める地上放射計システムを構築した。
 現在、我々は、300GHz 帯観測の追加による大気下層の水蒸気推定精度の向上を示唆する数値実験の結果を実証すべく、開発した300GHz帯THz放射計を用いた観測実証を進めており、2025年2月に初の実験データを取得する計画である。観測実証は、気象研究所屋上に設置されているMW放射計(Radiometrics Model MP-3000)の側に300GHz帯THz放射計を持ち込む予定である。放射計による観測は、200m程度離れた高層気象台からJST 9:00に放球されるラジオゾンデに合わせて実施する。観測データの解析においては、MWとTHz放射計の輝度温度観測データから逆推定した水蒸気プロファイルとMW放射計単独で推定した水蒸気プロファイルをラジオゾンデの直接データと比較し、THz放射計を使いした場合の大気下層の水蒸気推定精度について評価、考察する予定である。