14:15 〜 14:30
[ACG42-03] 2100年を超える地球システムの長期応答と不可逆性
キーワード:地球システム、ティッピングポイント
パリ協定以降、気候緩和の取り組みが進んでいる。世界の温室効果ガス排出量は増加しているが、排出量の増加スピードは、2000年代に比べて緩くなってきている。パリ協定のもとで、世界各国は NDC を宣言し、宣言された内容がすべて実現した場合には、2度目標が達成されるという予測もある。しかしながら、各国が宣言している NDC の実現可能性に関して考えると、ネットゼロ達成の法律や政策が実際に整備されていないなど、目標実現までの道のりは必ずしも容易ではない。世界各国が NDCを実現できるかどうかの信頼性を考慮すると、21世紀中にネットゼロを達成することが非常に難しいとの推定結果もある。二酸化炭素の排出量と気温上昇の間には線形のあることから、ネットゼロ排出が達成されるまで、気温上昇は続くことが予想される。このため、21世紀中にネットゼロ排出が達成されない場合には、21世紀以降も気候変動が続く可能性がある。さらに、温室効果ガスに対する地球システムの応答は、様々な特性や時間スケールをもち、海洋や陸面の深層部にまで影響が及ぶ場合には、応答の時間スケールが長くなる。様々な特性を持つ地球システムの応答のうち、人間社会に大きな影響を及ぼす要素として着目されているのがティッピングエレメントである。不可逆な変化を引き起こす可能性のあるティッピングエレメントは、幅広い時間スケールの応答を含み、100年以上の時間スケールを持つものが大半である。このことからも、2100年以降に生じる気候変動を考慮することは非常に重要である。
この一方で、IPCC 評価報告書やこれまでの気候変動研究では、2100年までの社会経済シナリオに基づいた将来予測が分析されており、2100年以降の気候変動について議論されることがほとんどない。21世紀以降も気候変動が続き、地球システムがティッピングポイントを超える可能性を考えると、2100年以降の気候や地球システムの変動を分析し、人間社会や生態系に与える影響を評価することが非常に重要である。これまでの2100年を超える地球システムモデル研究では、炭素循環フィードバック(Koven et al. 2022)、気温・降水量と植生変化(Lyon et al. 2021)に関する研究や、文献調査やマルチモデル分析に基づくティッピングエレメントの全体像(McKay et al. 2022, Djhoult et al. 2015)などの研究が行われている。しかしながら、地球システムにおける様々な要素間相互作用の長期的変動に関しては、複雑なプロセスを考慮したモデルによる研究が行われていない。専門家判断に基づく0次元簡易モデルによる分析(Krieger et al. 2009, Wundering et al. 2021)や、簡易気候モデルによる分析(McCkay et al. 2022)がなされているだけである。
そこでこの研究では、地球システムモデル MIROC-ES2L (Hajima et al. 2020) を利用した長期的な地球システム変動について分析する。この際、共通社会経済経路 (Shared Socio-Economic Pathways, SSP) を2500年まで延長したシナリオ (Meinhausen et al. 2020) を利用した将来予測を行う。シナリオとしては、ネットゼロ排出が21世紀中に実現される低排出シナリオ(SSP119/126/434)、21世紀中に排出実現が進むが、ネットゼロ排出は達成されない中排出シナリオ(SSP245/460)、排出量が増加し続ける高排出シナリオ(SSP370/585)、一旦気温が上昇し2度目標を達成するオーバーシュートシナリオ(SSP534os)を利用する。このシナリオに加えて、延長 SSP シナリオにおいて全球平均気温が安定化した後に、気温上昇が元に戻るシナリオについても数値実験を行った。得られた実験結果の大気・海洋・陸域における様々な要素の分析を行うことにより、ティッピングエレメントを含めた、地球システムにおける様々な要素の間の相互作用について分析を行う。特に、大きな気候変動による地球システムの変動の不可逆性についての分析を行う。さらに、シナリオ間の比較を行うことにより、気候緩和を行わない場合の長期的な気候変動について分析し、人間社会や生態系への影響について議論する。これまでに十分示されていない、2100年を超える気候変動に関しての総合的な知見を示すことにより、気候緩和策の重要性を社会に伝えることが大きな目標である。
この一方で、IPCC 評価報告書やこれまでの気候変動研究では、2100年までの社会経済シナリオに基づいた将来予測が分析されており、2100年以降の気候変動について議論されることがほとんどない。21世紀以降も気候変動が続き、地球システムがティッピングポイントを超える可能性を考えると、2100年以降の気候や地球システムの変動を分析し、人間社会や生態系に与える影響を評価することが非常に重要である。これまでの2100年を超える地球システムモデル研究では、炭素循環フィードバック(Koven et al. 2022)、気温・降水量と植生変化(Lyon et al. 2021)に関する研究や、文献調査やマルチモデル分析に基づくティッピングエレメントの全体像(McKay et al. 2022, Djhoult et al. 2015)などの研究が行われている。しかしながら、地球システムにおける様々な要素間相互作用の長期的変動に関しては、複雑なプロセスを考慮したモデルによる研究が行われていない。専門家判断に基づく0次元簡易モデルによる分析(Krieger et al. 2009, Wundering et al. 2021)や、簡易気候モデルによる分析(McCkay et al. 2022)がなされているだけである。
そこでこの研究では、地球システムモデル MIROC-ES2L (Hajima et al. 2020) を利用した長期的な地球システム変動について分析する。この際、共通社会経済経路 (Shared Socio-Economic Pathways, SSP) を2500年まで延長したシナリオ (Meinhausen et al. 2020) を利用した将来予測を行う。シナリオとしては、ネットゼロ排出が21世紀中に実現される低排出シナリオ(SSP119/126/434)、21世紀中に排出実現が進むが、ネットゼロ排出は達成されない中排出シナリオ(SSP245/460)、排出量が増加し続ける高排出シナリオ(SSP370/585)、一旦気温が上昇し2度目標を達成するオーバーシュートシナリオ(SSP534os)を利用する。このシナリオに加えて、延長 SSP シナリオにおいて全球平均気温が安定化した後に、気温上昇が元に戻るシナリオについても数値実験を行った。得られた実験結果の大気・海洋・陸域における様々な要素の分析を行うことにより、ティッピングエレメントを含めた、地球システムにおける様々な要素の間の相互作用について分析を行う。特に、大きな気候変動による地球システムの変動の不可逆性についての分析を行う。さらに、シナリオ間の比較を行うことにより、気候緩和を行わない場合の長期的な気候変動について分析し、人間社会や生態系への影響について議論する。これまでに十分示されていない、2100年を超える気候変動に関しての総合的な知見を示すことにより、気候緩和策の重要性を社会に伝えることが大きな目標である。