日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG42] 地球規模環境変化の予測と検出

2025年5月29日(木) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:河宮 未知生(海洋研究開発機構)、立入 郁(海洋研究開発機構)、建部 洋晶(海洋研究開発機構)、Ramaswamy V(NOAA GFDL)

17:15 〜 19:15

[ACG42-P04] エアロゾル中微量金属の観測に基づいた大気化学輸送モデル「IMPACT」による人為と鉱物起源エアロゾル予測の評価

*伊藤 彰記1栗栖 美菜子2長島 佳菜1 (1.海洋研究開発機構、2.東京大学)

キーワード:水溶性鉄、人為起源エアロゾル、鉱物ダスト、大気汚染

鉱物起源、人為起源、および森林火災起源のエアロゾルは、植物プランクトンの成長にとって重要な栄養塩(鉄)を供給する。それにより、植物プランクトンを起点とした食物連鎖を通して海洋生態系および気候へ影響を与える。しかし、鉄(Fe)を運ぶエアロゾルの発生源固有の評価が十分になされていない。そのため、それらの発生源の寄与率推定には多大な不確実性が存在する。本発表では、北太平洋域で船舶を活用し捕集したエアロゾルおよび海水濾過試料の観測データを用いて、数値モデルで予測される発生源の寄与を評価する。特に、エアロゾル中微量金属(Fe, Al, Ti, V, Mn, Cu, Zn, Pb)とダスト(石英)を中心に報告する。
大気化学輸送モデルとしては、IMPACTモデルを用いた。人為および森林火災起源の排出量には、発生源データを用いて、鉱物起源の発生量は動的に推定された。数値モデルの評価として、北太平洋において、船舶を活用し捕集したエアロゾルおよび海水濾過試料の観測データを解析に使用した。 また、過去の研究によりまとめられた船舶による観測データも用いた。
IMPACTモデルは、MERRA2データと比較して、北太平洋への石英個別粒子観測を基に推定されているダスト沈着フラックスをより良く再現した。また、IMPACTモデルは、北太平洋上空における粗大粒子の石英含有量観測データをよく再現した。さらに、IMPACTモデルは、粒径区分されていない水溶性鉄濃度の再現性が良かった。しかし、粗大粒子では酸分解全鉄濃度を過小評価する傾向が見られた。鉄溶解率を過大評価することで打ち消しあい、粒径区分されていない水溶性鉄濃度が良い一致を示していた。このことは、発生速度のみを改善した場合、水溶性鉄濃度のモデル予測が悪化することを示し、鉄溶出速度の改善を同時に伴う必要性を示唆した。発生源の改善に関して鉄同位体分析を含めて議論する。