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[ACG46-P08] 乾湿サイクルによる土壌のCO2放出増大と微生物相の変動:表層と埋没腐植層の比較
キーワード:土壌微生物、温室効果ガス、アンプリコン解析、気象激甚化
近年観測されている降雨の頻度減少および強度増大は、乾湿サイクル(DWC)を顕在化させ、土壌における微生物呼吸由来の二酸化炭素(CO2)放出を大きく増大させると危惧されている。土壌微生物はメタン(CH4)や亜酸化窒素(N2O)など微量温室効果ガスの動態にも重要な役割を担っている。しかし、DWC条件下での土壌微生物相の変動についてはいまだ不明瞭な点が多く、土壌間での違いも明らかになっていない。本研究では特に、土壌の栄養条件の違いがDWCによる微生物相の変動に及ぼす影響を解明するため、国内6ヶ所の森林・草地で採取した表層10土壌に加え、北海道の森林で採取した表層2土壌および表層と比較してC利用可能性の低い埋没腐植層2土壌を培養実験に供施した。培養実験では、水分変動のない対照区および土壌の乾燥と再湿潤を1サイクル28日間で行うDWC区の2条件を設定し、培養開始時と終了時の土壌サンプルについて、細菌16S rRNA遺伝子および真菌ITS領域を対象とした微生物群集組成の解析を実施した。表層10土壌では、細菌・アーキアおよび真菌群集組成は、土壌間で異なっていただけでなく、特にDWC区において培養開始時から培養終了時にかけて対照区よりも大きく変化していた。加えて、全ての土壌で、細菌・アーキアではDWCによりActinobacteriaの相対存在量が増加、Acidobacteriaは減少し、真菌ではMortierellomycotaが減少するなど共通の変動パターンが観察された。なお、全ての土壌において、培養期間中の総CO2放出量はDWC区で対照区よりも有意に大きかった。北海道の4土壌でも、培養終了時のDWC区において、CO2放出が増大し、表層10土壌の結果と共通した微生物相の変動パターンが観察されたものの、対照区とDWC区の群集組成の違いは特に埋没腐植層で顕著に表れており、DWC区でGammaproteobacteriaが大きく増加するなど表層とは異なる変動も観察された。さらに、細菌16S rRNA遺伝子シーケンシングデータをもとにPICRUSt2により推定したN2O生成に関わる硝化関連遺伝子群およびCH4生成の関連遺伝子群の相対存在量は、北海道の土壌では、表層よりも埋没腐植層において、より大きなDWCによる変化を示した。将来予想されているDWCの顕在化は、特に埋没腐植層のようなC利用可能性の低い土壌において、土壌微生物相を大きく変動させ、 CO2放出増大現象に加え、CH4およびN2O動態にもより大きな変化を引き起こす可能性がある。