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[ACG47-05] 境界流の変動に対する沿岸捕捉波の応答
キーワード:沿岸捕捉波、境界流、海底エクマン収束・発散、強制減衰系、固有モード展開、黒潮
沿岸捕捉波は、長距離にわたる沿岸域の変動を引き起こす重要な現象である。沿岸捕捉波を発生させる最も主要なエネルギー源は風応力であり、これまで多くの研究がなされてきた。一方、沿岸域を流れる境界流の変動に伴う応答がはるか遠方の沿岸域に現れる事例も報告されている。例えば、Kida et al. (2020)は、対馬海流の流量と沿岸域の潮位に長期的な増加傾向があることを見出すとともに、この増加傾向が日本南岸における黒潮の北偏と関連している可能性を指摘した。この事実は、黒潮などの境界流の変動によって沿岸捕捉波が励起される可能性を示唆している。しかしながら、その励起メカニズムや強度、影響範囲などは不明である。
本研究では、海底斜面上を流れる境界流の変動に伴う海底エクマン収束・発散によって強制される沿岸捕捉波の励起・伝播・減衰を、赤道域のMatsuno–Gill問題に倣ってモデル化し、沿岸域の潮位・流速などの応答を半解析的な手法で求めた。この定式化の有効性は、一様な大陸棚・大陸斜面上に局所的な海底エクマン収束・発散を仮定した数値実験によって検証された。得られた解の特徴から、強制の影響範囲は最低次モードの沿岸捕捉波の伝播速度と減衰時間によって決まることや、海底エクマン収束・発散が風応力に伴う海面エクマン収束・発散と同程度の大きさである場合、一般に前者に伴う応答の方が大きくなりやすいことなどがわかる。
さらに、紀伊半島沖における黒潮の北偏に伴う海底エクマン収束・発散を理想化して与えた数値実験の結果、励起された沿岸捕捉波が、複雑な海底・陸岸地形の影響で徐々に減衰されながら、日本列島を時計回りに能登半島付近まで伝播する様子が再現された。ただし、沿岸捕捉波の主要部分は五島列島沖から東シナ海の大陸斜面に沿って南西方向に伝播するため、対馬海峡を通過して日本海に流入する成分は一部であった。それでも、この成分はKida et al. (2020)によって日本沿岸の広範囲で得られた潮位・流速の変動の一部を十分に引き起こし得る程度であった。
本研究では、海底斜面上を流れる境界流の変動に伴う海底エクマン収束・発散によって強制される沿岸捕捉波の励起・伝播・減衰を、赤道域のMatsuno–Gill問題に倣ってモデル化し、沿岸域の潮位・流速などの応答を半解析的な手法で求めた。この定式化の有効性は、一様な大陸棚・大陸斜面上に局所的な海底エクマン収束・発散を仮定した数値実験によって検証された。得られた解の特徴から、強制の影響範囲は最低次モードの沿岸捕捉波の伝播速度と減衰時間によって決まることや、海底エクマン収束・発散が風応力に伴う海面エクマン収束・発散と同程度の大きさである場合、一般に前者に伴う応答の方が大きくなりやすいことなどがわかる。
さらに、紀伊半島沖における黒潮の北偏に伴う海底エクマン収束・発散を理想化して与えた数値実験の結果、励起された沿岸捕捉波が、複雑な海底・陸岸地形の影響で徐々に減衰されながら、日本列島を時計回りに能登半島付近まで伝播する様子が再現された。ただし、沿岸捕捉波の主要部分は五島列島沖から東シナ海の大陸斜面に沿って南西方向に伝播するため、対馬海峡を通過して日本海に流入する成分は一部であった。それでも、この成分はKida et al. (2020)によって日本沿岸の広範囲で得られた潮位・流速の変動の一部を十分に引き起こし得る程度であった。