11:00 〜 11:15
[ACG47-08] 海洋表面波による海洋内部重力波の励起に関する数値実験

キーワード:表面重力波、内部波重力波、ラングミュア循環、三波共鳴
大気と海洋の境界面には表面重力波(表面波)が生じる。この表面波は、海洋内部の成層領域において内部重力波(内部波)を励起することが指摘されている。その励起メカニズムとしては、風と表面波が作る二次的な循環(ラングミュア循環)の成層領域への到達(Polton et al. (2008))や、表面波と内部波の非線形相互作用(三波共鳴)(e.g. Olbers(2016))などが知られている。ここではそれぞれを二次循環説、三波共鳴説と呼ぶことにする。いずれのメカニズムにおいても生成される内部波の振動数は局所的な浮力振動数に近く、生成された内部波は混合層底の近傍で捕捉され砕波し乱流混合を引き起こすことが示唆される。特にOlbers(2016)では三波共鳴説に基づいて乱流散逸率と鉛直拡散係数が定量的に推定されている。また、Czeschel and Eden(2019)は、ラングミュア乱流などの混合層内の乱流が混合層内平均流によって移流されることで内部波が励起され、鉛直方向のエネルギーフラックスが生じることを示した。このような先行研究から、表面波に関連して励起される内部波は、乱流混合や直接のエネルギーの放射により混合層と内部領域での熱やエネルギーの交換に寄与していることが示唆される。混合層の水温は大気・海洋相互作用に影響を及ぼし、また、内部領域へのエネルギーフラックスは躍層以深における乱流混合の源となりうるから、表面波が励起する内部波の特性を明らかにすることは、大気・海洋相互作用や混合層下の海洋現象を考えるうえで重要である。
しかし、二次循環説を検証した数値実験では表面波の効果は渦度力で表現されており、三波共鳴の効果は取り入れられていない。また、三波共鳴説においても、二次循環は考慮されていない。このように、表面波に関連した内部波の励起について、二つのメカニズムが共存しうるのか、一方が卓越する条件など、未解明な点が多く残されている。
そこで、本研究ではImamura et al.(2025)による表面波を解像可能なモデルを用いて数値実験を行い、表面波による内部波の励起について包括的に調査する。表面波として初期に三次のストークス波を与え、Polton et al.(2008)におけるLES実験を模した波解像実験(自由表面実験)を行った。比較として表面にリジッドリッド近似を施し表面波の影響を渦度力によって表したモデルにおいても実験した(固体壁実験)。結果として、弱い波強制の下で自由表面実験においては混合層底における内部波の励起は確認されるものの、固体壁実験では確認されなかった。他の波強制の下でも固体壁実験で躍層へ伝播していく鉛直流速は自由表面実験より弱かった。このことは内部波の励起において表面波を考えることの重要性を示していると言える。講演時には、これらの結果とともに、二つの実験の差をもたらす要因について紹介する予定である。
しかし、二次循環説を検証した数値実験では表面波の効果は渦度力で表現されており、三波共鳴の効果は取り入れられていない。また、三波共鳴説においても、二次循環は考慮されていない。このように、表面波に関連した内部波の励起について、二つのメカニズムが共存しうるのか、一方が卓越する条件など、未解明な点が多く残されている。
そこで、本研究ではImamura et al.(2025)による表面波を解像可能なモデルを用いて数値実験を行い、表面波による内部波の励起について包括的に調査する。表面波として初期に三次のストークス波を与え、Polton et al.(2008)におけるLES実験を模した波解像実験(自由表面実験)を行った。比較として表面にリジッドリッド近似を施し表面波の影響を渦度力によって表したモデルにおいても実験した(固体壁実験)。結果として、弱い波強制の下で自由表面実験においては混合層底における内部波の励起は確認されるものの、固体壁実験では確認されなかった。他の波強制の下でも固体壁実験で躍層へ伝播していく鉛直流速は自由表面実験より弱かった。このことは内部波の励起において表面波を考えることの重要性を示していると言える。講演時には、これらの結果とともに、二つの実験の差をもたらす要因について紹介する予定である。