15:30 〜 15:45
[ACG47-13] 金星GCMにおけるケルビン波とロスビー波の結合について
★招待講演
キーワード:ケルビン波、ロスビー波、金星
高度50kmから70kmの金星雲層では、4-8地球日の超回転が駆動しており、短周期(10地球日未満)や長周期(117地球日, 58.5地球日)の惑星スケールのケルビン波のような赤道重力波や中高緯度のロスビー波が観測される。同じ位相速度をもつケルビン波とロスビー波が共存する水平構造のいくつかは、地球や潮汐固定された惑星で見られるMatsuno-Gill応答に似ている。今回の発表では、これらの波の発散流/回転流構造とエネルギー収支に基づいて(Yamamoto et al. 2023, 2024)、AORI(Atmosphere and Ocean Research Institute, the University of Tokyo)の金星大循環モデル(GCM)におけるケルビン波とロスビー波の結合を概観する。
このモデルの中で最も卓越している短周期波動(東西波数1の7.5地球日周期)は、雲層上層のロスビー波、極対流圏界面付近のロスビー波、雲底付近とその下層の赤道ケルビン波の3種類から構成される。これらは、臨界線近傍の傾圧および順圧エネルギー変換により形成・維持される。雲底付近(~50 km)のケルビン波とロスビー波は臨界緯度を挟んで水平構造が分離しているように見えるが、これらの波の流線関数と速度ポテンシャルは臨界緯度で水平方向に結合している。このケルビン波とロスビー波のペアは、超回転に寄与する主要な赤道方向の運動量輸送の担い手であり、臨界緯度でのエネルギー変換に伴う水平シアー不安定(or順圧不安定)と傾圧不安定性によって生成される。赤道では球面のケルビン波の回転流の東西成分と発散流の南北成分によって超回転が加速され、赤道付近では傾斜した流線関数によって加速される(Yamamoto et al. 2023)。
太陽に固定された長周期波動(熱潮汐波)は、低緯度では熱的に強制されたケルビン波のような重力波構造をもち、高緯度ではロスビー波のような旋回流構造をもつ。熱潮汐波の発散流は雲頂付近(~65 km)の最大加熱域で熱的に強制され、非断熱加熱により擾乱有効位置エネルギーが生み出される。一日潮の順圧エネルギー変換が起こるジェットコア周辺や半日潮の傾圧エネルギー変換が起こる雲層下の中高緯度域では,熱潮汐波の旋回流が形成される(Yamamoto et al. 2024)。
ケルビン波とロスビー波のペアは他の惑星大気GCM でも見られることから、惑星の超回転におけるケルビン波とロスビー波の力学的結合を議論する上で、太陽光加熱やKelvin-Rossby instabilityによって強制される3次元のMatsuno-Gill応答の発散流/回転流構造とエネルギー論が重要であることが示唆される。
謝辞:本研究は東京大学大気海洋研究所気候システムに関する共同研究(2024年度一般研究10)とMEXT/JSPS科研費 (JP23K03492)の支援を受けて実施された。
このモデルの中で最も卓越している短周期波動(東西波数1の7.5地球日周期)は、雲層上層のロスビー波、極対流圏界面付近のロスビー波、雲底付近とその下層の赤道ケルビン波の3種類から構成される。これらは、臨界線近傍の傾圧および順圧エネルギー変換により形成・維持される。雲底付近(~50 km)のケルビン波とロスビー波は臨界緯度を挟んで水平構造が分離しているように見えるが、これらの波の流線関数と速度ポテンシャルは臨界緯度で水平方向に結合している。このケルビン波とロスビー波のペアは、超回転に寄与する主要な赤道方向の運動量輸送の担い手であり、臨界緯度でのエネルギー変換に伴う水平シアー不安定(or順圧不安定)と傾圧不安定性によって生成される。赤道では球面のケルビン波の回転流の東西成分と発散流の南北成分によって超回転が加速され、赤道付近では傾斜した流線関数によって加速される(Yamamoto et al. 2023)。
太陽に固定された長周期波動(熱潮汐波)は、低緯度では熱的に強制されたケルビン波のような重力波構造をもち、高緯度ではロスビー波のような旋回流構造をもつ。熱潮汐波の発散流は雲頂付近(~65 km)の最大加熱域で熱的に強制され、非断熱加熱により擾乱有効位置エネルギーが生み出される。一日潮の順圧エネルギー変換が起こるジェットコア周辺や半日潮の傾圧エネルギー変換が起こる雲層下の中高緯度域では,熱潮汐波の旋回流が形成される(Yamamoto et al. 2024)。
ケルビン波とロスビー波のペアは他の惑星大気GCM でも見られることから、惑星の超回転におけるケルビン波とロスビー波の力学的結合を議論する上で、太陽光加熱やKelvin-Rossby instabilityによって強制される3次元のMatsuno-Gill応答の発散流/回転流構造とエネルギー論が重要であることが示唆される。
謝辞:本研究は東京大学大気海洋研究所気候システムに関する共同研究(2024年度一般研究10)とMEXT/JSPS科研費 (JP23K03492)の支援を受けて実施された。