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[ACG48-04] ルミネッセンスから読み取る九十九里浜沖の土砂移動

キーワード:下部外浜、陸棚、沿岸域、トレーサー
下部外浜や陸棚などの沖合の領域は地形変化が非常に小さく,直接の観測が困難であり,土砂移動が不活発であると仮定される場合が多い.一方で,そのような沖合と海岸との土砂交換・流出を示唆する事例もあり,土砂移動のより詳細な把握が必要である.そこで,本研究では土砂のトレーサーとして注目されつつある鉱物粒子の光ルミネッセンスの活用を検討する.
鉱物粒子のもつルミネッセンス信号は,土砂移動の時の太陽光への露光に伴って減少する.そのためその強度は運搬距離や経路を反映して,土砂移動の議論の情報源になる.また,種類の異なるルミネッセンス信号は,露光時の信号の減少スピードや光への感受性が異なるため,複数の信号を比較することで,土砂移動過程について更なる情報が得られる可能性がある.本研究では,九十九里浜の沿岸域の堆積物(表層試料,海岸・沖合コア試料)から,複数の信号(IR50,pIRIR150,pIRIR290)を測定してルミネッセンス強度を評価した.さらに,土砂のもつ信号の比(pIRIR150/pIRIR290)に着目して,沿岸域の土砂移動を考察した.
九十九里海岸の複数地点から採取した前浜試料について,各信号ともに土砂供給源である北部の屛風ヶ浦付近から中央部に向かって沿岸方向に顕著に減少する.pIRIR150/pIRIR290も同様の減少傾向を示し,屏風ヶ浦では約0.2であるのに対して,南北の沿岸漂砂の会合点とされる白里海岸付近で 最小となり約0.05である.一方で,複数の地点において,前浜から砂丘への変化は,各信号ともに減少するものの,pIRIR150/pIRIR290はあまり変化しなかった.このように各信号のルミネッセンス強度の傾向だけでなくpIRIR150/pIRIR290も加えて検討することで,土砂移動の方向だけでなく,沿岸流もしくは風による運搬といった移動様式の違いを知ることができる可能性がある.
九十九里海岸の沖合で採取したコアについても同様の検討を行なった.水深10 mと15 mのコア(コア長はそれぞれ75 cm,60 cm)では,コア全体で,pIRIR150/pIRIR290はおよそ0.05で,九十九里海岸中央の前浜試料と同程度であった.このことから,これらの堆積物は供給源から沿岸方向の土砂移動を経て,中央部から沖に流出したものと解釈できる.また,IR50から求めたルミネッセンス年代は数十年以下となり,頻繁に土砂移動が生じていると考えられる.水深20 mと 25 m(コア長はそれぞれ60cm,65 cm)のコアの表層から深度30~40 cm程度までは,pIRIR150/pIRIR290がおよそ0.05でありルミネッセンス年代も数十年以下となることから,水深10 mと15 mのコアと同様に中央部から流出した土砂により構成されていると考えられる.一方で30~40cm以上の深度では,pIRIR150/pIRIR290は大きくなり,ルミネッセンス年代も100年前程度と,上位よりもやや古くなる.これは,水深20 m,25 mの深度30~40 cm以深の土砂が堆積後に数十年程度その場にとどまりルミネッセンスを再獲得した,つまり直近で顕著な土砂移動をしていない,と解釈される.このように沖合の堆積物の複数のルミネッセンス信号を測定していくことで,沖合の捉えづらい土砂移動の手がかりになる可能性がある.
鉱物粒子のもつルミネッセンス信号は,土砂移動の時の太陽光への露光に伴って減少する.そのためその強度は運搬距離や経路を反映して,土砂移動の議論の情報源になる.また,種類の異なるルミネッセンス信号は,露光時の信号の減少スピードや光への感受性が異なるため,複数の信号を比較することで,土砂移動過程について更なる情報が得られる可能性がある.本研究では,九十九里浜の沿岸域の堆積物(表層試料,海岸・沖合コア試料)から,複数の信号(IR50,pIRIR150,pIRIR290)を測定してルミネッセンス強度を評価した.さらに,土砂のもつ信号の比(pIRIR150/pIRIR290)に着目して,沿岸域の土砂移動を考察した.
九十九里海岸の複数地点から採取した前浜試料について,各信号ともに土砂供給源である北部の屛風ヶ浦付近から中央部に向かって沿岸方向に顕著に減少する.pIRIR150/pIRIR290も同様の減少傾向を示し,屏風ヶ浦では約0.2であるのに対して,南北の沿岸漂砂の会合点とされる白里海岸付近で 最小となり約0.05である.一方で,複数の地点において,前浜から砂丘への変化は,各信号ともに減少するものの,pIRIR150/pIRIR290はあまり変化しなかった.このように各信号のルミネッセンス強度の傾向だけでなくpIRIR150/pIRIR290も加えて検討することで,土砂移動の方向だけでなく,沿岸流もしくは風による運搬といった移動様式の違いを知ることができる可能性がある.
九十九里海岸の沖合で採取したコアについても同様の検討を行なった.水深10 mと15 mのコア(コア長はそれぞれ75 cm,60 cm)では,コア全体で,pIRIR150/pIRIR290はおよそ0.05で,九十九里海岸中央の前浜試料と同程度であった.このことから,これらの堆積物は供給源から沿岸方向の土砂移動を経て,中央部から沖に流出したものと解釈できる.また,IR50から求めたルミネッセンス年代は数十年以下となり,頻繁に土砂移動が生じていると考えられる.水深20 mと 25 m(コア長はそれぞれ60cm,65 cm)のコアの表層から深度30~40 cm程度までは,pIRIR150/pIRIR290がおよそ0.05でありルミネッセンス年代も数十年以下となることから,水深10 mと15 mのコアと同様に中央部から流出した土砂により構成されていると考えられる.一方で30~40cm以上の深度では,pIRIR150/pIRIR290は大きくなり,ルミネッセンス年代も100年前程度と,上位よりもやや古くなる.これは,水深20 m,25 mの深度30~40 cm以深の土砂が堆積後に数十年程度その場にとどまりルミネッセンスを再獲得した,つまり直近で顕著な土砂移動をしていない,と解釈される.このように沖合の堆積物の複数のルミネッセンス信号を測定していくことで,沖合の捉えづらい土砂移動の手がかりになる可能性がある.