日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG48] 陸域から沿岸域における水・土砂動態

2025年5月27日(火) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:木田 新一郎(九州大学・応用力学研究所)、浅野 友子(東京大学大学院農学生命科学研究科)、有働 恵子(東北大学大学院工学研究科)、山崎 大(東京大学生産技術研究所)

17:15 〜 19:15

[ACG48-P04] 里山の水田地域における雨量と河川水位変動の関係–京田辺市普賢寺川での現地観測:予報

*正田 陽宏1横川 美和2 (1.大阪工業大学大学院情報科学研究科、2.大阪工業大学情報科学部)


キーワード:京田辺市、普賢寺川、雨量、河川水位、現地観測、里山の水田環境

 山間河川は急勾配で降雨による水位変動が大きいため,短時間の豪雨で急激な増水や氾濫が起こる可能性がある.本研究の対象である普賢寺川は木津川の支流であり,京都府京田辺市南西部の生駒山地北部に源を発し,府道65号沿いに北北東へ流れ,最終的に木津川へ合流する.普賢寺川は地域の農業にとって極めて重要な水源であり,安定的な水供給を担っている.一方で,降雨による水位変動が大きく,集中豪雨時には氾濫リスクが高いため,防災対策が求められ(国土交通省,2025),京都府は洪水浸水想定区域図を公表し,地域住民には安全確保を促している.
 農業,特に稲作では水管理が不可欠であるものの,山間河川の流況データは不足しているのが現状である.そこで,本研究では,農業生産の向上と地域の防災強化に貢献することを目的として,山間河川の降雨量と水位変動を詳細に解析し,データーベースを作成することを目指している.
 本研究では,山間河川における降雨と水位の関係を明らかにするために,水位計を普賢寺川上流に設置し,その地点の雨量を推定している.求める地点を囲む三角形の頂点となる場所(京都府4箇所:高船,菱田,田辺,甘南備,奈良県1箇所:高山)の雨量データを取得し,逆距離荷重法により雨量計が無い地点の降雨量を推定できる.水位に関しては次の2箇所の水位データを用いる.(1)普賢寺川下流(三山木)の水位計データ(京都府提供),(2)本研究に向けて2025年1月より新たに設置した普賢寺川上流(打田)の水位データである.(2)の水位はHOBO U20L ウォーターレベルロガーを使用し,水位の基準点は1月1日0時としている.両者の間の直線距離は約5.1km,高低差75mである(図1).これらの雨量と水位のデータをもとに,降雨と水位の関係を詳細に解析した.なお,普賢寺川は源流部が棚田の上にある溜池となっており,流路はほぼ全域で三面張り構造になっている.
 2024年6月について,高船の雨量と三山木の水位の時間変化を比較した(図2,図3).両者間の直線距離は約5.091km,高低差204mである.高船の降雨量のピーク(6月18日4時頃の5mmから9時頃の20mm)の発生から,約1時間後には三山木の水位が緩やかに上昇し,最大値以降は緩やかに低下する傾向が見られた.また,2024年1月に注目すると,6月と同様に,高船の降水量と三山木の水位の関係には相関関係が見られ,高船の降水量が2mmを超えた日は1~3時間の時間差を伴って,急激に水位が上昇するという傾向が見られた(図4,図5).ピーク後も緩やかに低下するパターンが多く見られた.両月ともに,降水量が1mm以下のときは水位の変動がほとんど見られることがなく,一定の閾値を超えた降水がなければ水位に大きな影響を与えない可能性が示された.逆に,降水のない日でもわずかな水位変動が確認されることがあり,地下水や上流からの流れ込み,蒸発の影響による可能性が高いと考えられる.
 加えて,普賢寺川における2地点(打田,三山木)間の水位の時間変化の比較を2025年1月6日7時から18時の降水に関して注目する(図6).7時から11時までの降雨では打田の水位にはほぼ変化がなく,三山木の水位も0.01mの上昇にとどまったことから,一定以上の降水がないと水位は上昇しない可能性が示された.打田の水位計では7時以降は降水量に影響を受けず,一貫して水位が低下している.三山木では,11時以降の降雨量増加に伴い,水位上昇しておりピークは14時から16時にかけて約1.2時間遅れで最大となった.このように打田では水位が下降を続け,三山木では水位が上昇するのは,単に流れ込みの影響だけではなく,流域の地形や浸透特性,流速などが要因で,水位変動の違いを生じさせていると考えられる.発表では,これらの雨量と水位の時間変化と地域の土地利用や地形・地質について考察する.
<謝辞>本研究では,京都府設置の雨量データ4箇所と水位データ1箇所に関して山城北土木事務所より,奈良県設置の雨量データ1箇所に関して奈良県県土マネジメント部河川整備課からデータをご提供いただきました.ここに記して謝意を表します.