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[ACG48-P09] 河道特性が長期的な河川から海岸への土砂供給量に及ぼす影響の粒径別評価

キーワード:1次元河床変動解析、混合粒径、土砂動態、河道特性、日本、土砂供給
背景・目的
沿岸人口の増加と人間活動による影響を受け,世界的に海岸侵食が進行している.この問題に対処するために,沿岸域の土砂収支を把握することが不可欠である.河川は海域に供給される土砂の大部分を占めているため,河川から海岸への土砂供給量を定量的に把握することが重要である.河川からの土砂供給量を推定するために,河床変動解析モデルが用いられる.特に,砂礫が堆積する移動床河川ではこの手法による解析が有効である.河川から海岸への土砂供給の長期的な解析は数多く報告されているが,各粒径の評価に関する知見は十分ではない.本研究は,日本の3つの河川(阿武隈川,安倍川,吉野川)を対象に1次元河床変動解析を実施した.対象とした河川は流量,河床勾配,並びに河床材料がそれぞれ異なる河道特性を有しており,これらの河道特性の違いが下流域の土砂動態に及ぼす影響を粒径毎に評価した.また,無次元数であるラウス数を用いて,これらの特性を評価できるかどうかを検討した.
方法
本研究は,各粒径の長期的な土砂動態を評価するために,竹林・藤田による1次元混合粒径河床変動モデルを用いた.掃流砂量は芦田・江頭・劉の式を用いて算出した.沈降速度はRubeyの式を用いて算出した.河床近傍の平衡浮遊砂濃度はLane and Kalinskeの式を用いて算出した.解析区間は,阿武隈川が河口から丸森までの37.2 km,安倍川が河口から玉機橋までの22.0 km,吉野川が河口から池田ダムまでの77.8 kmである.解析期間は,阿武隈川は2000年から2019年まで(流量が200 m3/s以上),安倍川は2012年から2022年まで(流量が100 m3/s以上),吉野川は1965年から1999年まで(流量が1,000 m3/s以上)を対象とした.ここで,異なる河道特性を有する河川間で比較するために,吉野川は過去の研究結果を参照した.
結果
河床変動のRMSEは,阿武隈川で0.45 m,安倍川で0.30 mであった.阿武隈川から海域への年平均土砂供給量は,シルト及び極細砂が46.5x104 m3/年,細砂が12.8x104 m3/年,中砂が4.4x104 m3/年,粗砂が1.6x104 m3/年,極粗砂が0.4x104 m3/年であった.安倍川からの年平均土砂供給量は,シルトおよび極細砂が226.1x104m3/年,細砂が54.4x104 m3/年,中砂が6.7x104 m3/年,粗砂が0.6x104 m3/年,極粗砂が0.3x104 m3/年であった.
シルトから細砂までの細粒分について,上流端からの土砂流入量と海域への土砂流出量との関係は3つの河川で一対一の関係となり,流入量が増えるほど流出量も増える傾向にあった.一方,中砂から極粗砂までの粗粒分について,土砂流入量と流出量の回帰直線の傾きは,緩勾配河川と急勾配河川で異なった.
ラウス数を用いて,河道内における粗粒分の土砂輸送形態を評価した.阿武隈川や吉野川の緩勾配河川では,流量の増加に伴い土砂輸送形態が掃流砂から浮遊砂へと移行することが明らかとなった.したがって,低流量時に粗粒分が河道内に堆積し,洪水時に海域へと供給される可能性がある.急勾配河川である安倍川では,流量の増加に関わらず,低流量時においても粗粒分は浮遊砂として輸送される.すなわち,急勾配河川では緩勾配河川と比べて粗粒分の河道への堆積量が少ないことを示唆した.
結論
本研究は,河道特性の異なる日本の河川を対象に河床変動解析を実施し海岸への土砂供給の長期特性を粒径毎に評価した.その結果,シルトから細砂までの細粒分と,中砂から極粗砂までの粗粒分で河川の土砂動態が異なることが明らかとなった.本研究は,ラウス数が河川の土砂動態を評価できる可能性を示唆した.
沿岸人口の増加と人間活動による影響を受け,世界的に海岸侵食が進行している.この問題に対処するために,沿岸域の土砂収支を把握することが不可欠である.河川は海域に供給される土砂の大部分を占めているため,河川から海岸への土砂供給量を定量的に把握することが重要である.河川からの土砂供給量を推定するために,河床変動解析モデルが用いられる.特に,砂礫が堆積する移動床河川ではこの手法による解析が有効である.河川から海岸への土砂供給の長期的な解析は数多く報告されているが,各粒径の評価に関する知見は十分ではない.本研究は,日本の3つの河川(阿武隈川,安倍川,吉野川)を対象に1次元河床変動解析を実施した.対象とした河川は流量,河床勾配,並びに河床材料がそれぞれ異なる河道特性を有しており,これらの河道特性の違いが下流域の土砂動態に及ぼす影響を粒径毎に評価した.また,無次元数であるラウス数を用いて,これらの特性を評価できるかどうかを検討した.
方法
本研究は,各粒径の長期的な土砂動態を評価するために,竹林・藤田による1次元混合粒径河床変動モデルを用いた.掃流砂量は芦田・江頭・劉の式を用いて算出した.沈降速度はRubeyの式を用いて算出した.河床近傍の平衡浮遊砂濃度はLane and Kalinskeの式を用いて算出した.解析区間は,阿武隈川が河口から丸森までの37.2 km,安倍川が河口から玉機橋までの22.0 km,吉野川が河口から池田ダムまでの77.8 kmである.解析期間は,阿武隈川は2000年から2019年まで(流量が200 m3/s以上),安倍川は2012年から2022年まで(流量が100 m3/s以上),吉野川は1965年から1999年まで(流量が1,000 m3/s以上)を対象とした.ここで,異なる河道特性を有する河川間で比較するために,吉野川は過去の研究結果を参照した.
結果
河床変動のRMSEは,阿武隈川で0.45 m,安倍川で0.30 mであった.阿武隈川から海域への年平均土砂供給量は,シルト及び極細砂が46.5x104 m3/年,細砂が12.8x104 m3/年,中砂が4.4x104 m3/年,粗砂が1.6x104 m3/年,極粗砂が0.4x104 m3/年であった.安倍川からの年平均土砂供給量は,シルトおよび極細砂が226.1x104m3/年,細砂が54.4x104 m3/年,中砂が6.7x104 m3/年,粗砂が0.6x104 m3/年,極粗砂が0.3x104 m3/年であった.
シルトから細砂までの細粒分について,上流端からの土砂流入量と海域への土砂流出量との関係は3つの河川で一対一の関係となり,流入量が増えるほど流出量も増える傾向にあった.一方,中砂から極粗砂までの粗粒分について,土砂流入量と流出量の回帰直線の傾きは,緩勾配河川と急勾配河川で異なった.
ラウス数を用いて,河道内における粗粒分の土砂輸送形態を評価した.阿武隈川や吉野川の緩勾配河川では,流量の増加に伴い土砂輸送形態が掃流砂から浮遊砂へと移行することが明らかとなった.したがって,低流量時に粗粒分が河道内に堆積し,洪水時に海域へと供給される可能性がある.急勾配河川である安倍川では,流量の増加に関わらず,低流量時においても粗粒分は浮遊砂として輸送される.すなわち,急勾配河川では緩勾配河川と比べて粗粒分の河道への堆積量が少ないことを示唆した.
結論
本研究は,河道特性の異なる日本の河川を対象に河床変動解析を実施し海岸への土砂供給の長期特性を粒径毎に評価した.その結果,シルトから細砂までの細粒分と,中砂から極粗砂までの粗粒分で河川の土砂動態が異なることが明らかとなった.本研究は,ラウス数が河川の土砂動態を評価できる可能性を示唆した.