日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG49] 黒潮大蛇行

2025年5月26日(月) 09:00 〜 10:30 101 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:平田 英隆(立正大学)、西川 はつみ(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、川上 雄真(気象庁気象研究所)、伊藤 大樹(国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産資源研究所)、座長:川上 雄真(気象庁気象研究所)、平田 英隆(立正大学)

10:15 〜 10:30

[ACG49-06] 黒潮大蛇行による東海地方の夏季降水量増加と気温上昇

*杉本 周作1 (1.東北大学大学院理学研究科)

キーワード:黒潮大蛇行、降水量、日本気候、海洋熱波

2017年8月以降、黒潮は大蛇行流路に遷移し、現在まで継続し、観測史上最長記録を更新している。黒潮大蛇行に伴い、東海沖沿岸では顕著な海水温の上昇が観察され、持続的な海洋熱波が発生している。この沿岸昇温により海面からの蒸発が増加し、大気中の水蒸気が増加することで、降水量に影響を与えることが期待される。そこで、本研究では、黒潮大蛇行による沿岸昇温の特徴を明らかにするとともに、その日本気候への影響、とくに日本への南風が卓越する夏季の変化について調べた。
まず、衛星観測データを解析し、現在の黒潮大蛇行期間の海面水温を調べた。その結果、東海沖の海面水温は平年に比べて約3℃上昇し、最大で約5℃の上昇が観察された。この水温上昇は黒潮大蛇行に起因するものであり、そのほとんどが海洋熱波に分類された。この沿岸昇温が日本の気候に与える影響を調べるために、気象庁気象研究所が開発した領域大気モデルを用いて数値実験を実施した。その結果、東海沖沿岸昇温が夏季南風を強化し、水蒸気輸送を促進することで、東海地方の大気を不安定化させ、降水量を最大1.5倍増加させることが明らかになった。また、この水蒸気増加は、局所的温室効を通じて東海地方の気温上昇にも寄与しており、約1℃の増加をもたらすことがわかった。さらに、将来の気候シナリオに基づく最近のシミュレーション結果は、2050年までに東海沖沿岸の海面水温が2℃上昇する可能性が高いことが提示された。そこで、2050年を想定した5℃の東海沖沿岸昇温を想定した実験を行った結果、降水量が2倍に増加することが明らかになった。
本研究の結果は、黒潮の流路変動が日本の気候に与える影響の理解を深めるとともに、気象予測や災害対策の強化に貢献するものである。