日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG50] 海洋表層-大気間の生物地球化学

2025年5月29日(木) 15:30 〜 17:00 展示場特設会場 (6) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:亀山 宗彦(北海道大学)、岩本 洋子(広島大学大学院統合生命科学研究科)、野口 真希(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球表層システム研究センター)、小杉 如央(気象研究所)、座長:小杉 如央(気象研究所)、野口 真希(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球表層システム研究センター)

15:30 〜 16:00

[ACG50-06] 海洋極表層の微生物のはたらきから生物地球化学プロセスを探る

★招待講演

*大林 由美子1 (1.愛媛大学)

キーワード:海表面マイクロ層、微生物群集、加水分解酵素活性

海洋極表層は、大気からの降下物やガスの海洋への入口であり、海洋起源エアロゾルの大気への出口でもある。海面は液相(海水)と気相(大気)の界面でもあるため、界面活性物質や海水よりも比重の小さい物質(密度の小さいゲル状粒子など)が集積すると考えられる。実際、海表面のごく薄い層(海表面マイクロ層, Sea surface microlayer)ではその直下の海水に比べて有機物や微生物が多いという報告がある。
海洋表層の波浪による撹拌や海洋内部の生物化学プロセス等に伴い発生する気泡は、海水中で界面活性物質や微粒子をスキャベンジしながら浮上し、海面ではじける。その際に形成される微粒子が海洋起源エアロゾル(波飛沫エアロゾル, Sea spray aerosol)となるが、気泡壁面や海表面マイクロ層にあった物質がこのエアロゾルにとりこまれると考えられる。ゆえに、海洋極表層の海水中の有機物組成・微生物群集・微生物による有機物代謝能などの生物・化学的特徴を探ることは、海洋起源エアロゾルの特徴を知ることに繋がり、ひいては海洋起源エアロゾルの気候影響を考える上でも重要な情報を与える。
海洋生態系での生物地球化学的プロセスに関連するパラメーターの一つに、海水中の有機物加水分解酵素活性がある。海水中の従属栄養細菌は生物由来の溶存態・粒子態有機物を栄養基質とするが、その取り込みに先立ち、細胞膜を通して取り込み可能な分子にするために細胞外酵素を用いる。そのため、海水から検出される有機物加水分解酵素活性およびその特性は、海水中の微生物群集の有機物代謝能とその特徴を示すものと考えられる。
本講演では、海洋極表層の海水中の有機物加水分解酵素活性の測定例を紹介し、大気海洋境界での微生物のはたらきと生物地球化学プロセスについて考察する。