日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG50] 海洋表層-大気間の生物地球化学

2025年5月29日(木) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:亀山 宗彦(北海道大学)、岩本 洋子(広島大学大学院統合生命科学研究科)、野口 真希(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球表層システム研究センター)、小杉 如央(気象研究所)

17:15 〜 19:15

[ACG50-P05] 大型藻類由来のブロモホルムの輸送~新青丸KS-24-12の航海結果~

*大木 淳之1、出口 将斗1、角皆 潤2、中川 書子2、岩本 洋子3 (1.北海道大学、2.名古屋大学、3.広島大学)

キーワード:ハロカーボン、大型藻類、ブルーカーボン

ブロモホルム(CHBr3)は、海洋を主要起源とする揮発性有機ハロゲンの一種である。海岸付近の大型藻類が多く放出することが知られている。ブロモホルムについては、大気へ反応性ハロゲン(臭素など)を供給する役割が注目されている。本研究では、海岸付近の大型藻類から発生したブロモホルムが、どのように海洋を輸送されるのかを調べるため、2024年7月に千葉県沖太平洋沿岸(水深30 – 54 m)で海洋観測を行った。CTD採水により、水深5, 10, 15, 20, bottom -5 mの水を得て、揮発性有機化合物(VOC)の濃度を測定した。全7観測ステーションの全層におけるブロモホルムの平均濃度は54 pmol/L、最高濃度は465 pmol/L、最低濃度は4.7 pmol/Lであった。この平均濃度は北海道噴火湾沿岸の年間平均濃度52 pmol/L(Ooki et al., 2013)に近く、最高濃度は大型藻類が繁茂する噴火湾海岸の6月平均濃度平均500 pmol/L に近く、最低濃度は日本列島に近い太平洋外洋の濃度5.4 pmol/L(Kurihara et al., 2010)に近い。本観測の各ステーションにおけるブロモホルムの最高濃度は、表面5 mの低塩分水で見られた。本観測で得られたブロモホルムは、沿岸域の平均的な濃度であるが、海岸付近の低塩分水が表層を運ばれてくるとブロモホルム濃度が海岸付近の濃度になり、外洋の水が入り込めば低濃度になることがわかった。海岸水でもブロモホルム濃度の変化は大きいだろうが、海岸付近の水の影響が直接及べばブロモホルム濃度が顕著に上昇するので、ブロモホルムを海岸水の化学トレーサーにすることができる。これは、海岸付近に繁茂する大型藻類から有機炭素が流出して、外洋へ運ばれる過程を知るうえで有効な手段になることが期待される。特に、近年は海洋植物による炭素隔離効果(ブルーカーボン)が注目を浴びる中、大型藻類による炭素隔離効果(大型藻類ブルーカーボン)が期待されている。この大型藻類ブルーカーボンのプロセスを明らかにするにも、その有機炭素の行方を追うのにブロモホルムを化学トレーサーとして利用することが期待される。