17:15 〜 19:15
[ACG50-P06] 西部北太平洋亜熱帯海域におけるTrichodesmiumブルーム時の微生物エアロゾル
キーワード:海洋微生物、エアロゾル、西部北太平洋
海洋上で観測されるエアロゾルには、海塩粒子に加えて有機物や微生物粒子が含まれ、その割合によってエアロゾルの雲特性が変化する。また、有機物を構成する官能基の種類や炭素骨格数など、その構造によって雲核活性が変化することが理論モデルと実験の両方で示されていることから、こうした変化が実際の雲生成にどの程度の影響を与えているのか強い関心が寄せられている。海洋表層やエアロゾル中の微生物叢の変化や有機物の分解は、エアロゾルの雲特性変化を引き起こしているはずだが、海洋の微生物活動とエアロゾル組成の関係は十分に明らかとなっていない。そこで本研究では、西部北太平洋の亜寒帯と亜熱帯海域にそれぞれ1週間程度滞在して、海水およびエアロゾルサンプルの原核生物群集構造をモニタリングし、それらの時空間変動を左右する要因を明らかにすることを目的とした。本発表では特に、亜熱帯海域での観測中に発生した窒素固定シアノバクテリアTrichodesmiumのブルームによって、エアロゾルサンプルの原核生物群集が大きく変化したことについて詳しく報告する。
サンプリングは、2023年7月に学術研究船「白鳳丸」の研究航海(航海番号:KH23-3)で、亜寒帯のK2(N47°E160°)、亜熱帯のS1(N30°E145°)、KEOS(N25°E145°)の3点で行った。作業艇を用いて母船から半マイル離れた地点で、「海表面マイクロレイヤー(SML)」と「直下層50cmの水(UW)」をK2で3回、S1で5回、KEOSで1回サンプリングした。このうちS1観測点での最初のサンプリングがTrichodesmiumのブルーム状態であったが、その2日後に実施した次のサンプリング以降にはブルーム状態は解消していた。SMLとUWを2種類の孔径のフィルターで濾過することで、粒子付着性菌(>3.0μm)と自由生活性菌(0.22-3.0μm)に分画し回収した。また、SMLとUWをガラスボトルに入れ船内でバブリングして得られたエアロゾルを「海飛沫エアロゾル(SSA)」サンプルとした。これらの試料からDNAを抽出後、16S rRNA遺伝子のPCR増幅、シーケンシング、配列データ解析によって、分類群ごとの相対出現頻度を決定した。
全56サンプルから11,870個のシーケンスバリアント(ASV:種の指標)が得られた。さらに、サンプル間の分類群組成の類似度を計算しクラスタリングを行ったところ、7つのクラスターに大別することができた。亜寒帯サンプルは全て一つのクラスターになったのに対して、亜熱帯はSSAのクラスター、SMLとUWの自由生活群集のクラスター、SMLの付着群集のクラスター、UWの付着群集のクラスターの4つの主要クラスターに分かれたが、ブルーム発生日のSSAと同日のSML付着群集はそれぞれ別の2つのクラスターとなった。一連の結果から、Trichodesmiumそのものはエアロゾルには移行しないが、ブルームによってSMLの有機物や原核生物組成を変化させることで、SSAの原核生物組成が大きく変化する可能性が示された。その他、海洋から大気に放出される際に分類群による選択が起きていることや、亜寒帯と亜熱帯海域間で原核生物のエアロゾル化のパターンが異なることも示唆された。
サンプリングは、2023年7月に学術研究船「白鳳丸」の研究航海(航海番号:KH23-3)で、亜寒帯のK2(N47°E160°)、亜熱帯のS1(N30°E145°)、KEOS(N25°E145°)の3点で行った。作業艇を用いて母船から半マイル離れた地点で、「海表面マイクロレイヤー(SML)」と「直下層50cmの水(UW)」をK2で3回、S1で5回、KEOSで1回サンプリングした。このうちS1観測点での最初のサンプリングがTrichodesmiumのブルーム状態であったが、その2日後に実施した次のサンプリング以降にはブルーム状態は解消していた。SMLとUWを2種類の孔径のフィルターで濾過することで、粒子付着性菌(>3.0μm)と自由生活性菌(0.22-3.0μm)に分画し回収した。また、SMLとUWをガラスボトルに入れ船内でバブリングして得られたエアロゾルを「海飛沫エアロゾル(SSA)」サンプルとした。これらの試料からDNAを抽出後、16S rRNA遺伝子のPCR増幅、シーケンシング、配列データ解析によって、分類群ごとの相対出現頻度を決定した。
全56サンプルから11,870個のシーケンスバリアント(ASV:種の指標)が得られた。さらに、サンプル間の分類群組成の類似度を計算しクラスタリングを行ったところ、7つのクラスターに大別することができた。亜寒帯サンプルは全て一つのクラスターになったのに対して、亜熱帯はSSAのクラスター、SMLとUWの自由生活群集のクラスター、SMLの付着群集のクラスター、UWの付着群集のクラスターの4つの主要クラスターに分かれたが、ブルーム発生日のSSAと同日のSML付着群集はそれぞれ別の2つのクラスターとなった。一連の結果から、Trichodesmiumそのものはエアロゾルには移行しないが、ブルームによってSMLの有機物や原核生物組成を変化させることで、SSAの原核生物組成が大きく変化する可能性が示された。その他、海洋から大気に放出される際に分類群による選択が起きていることや、亜寒帯と亜熱帯海域間で原核生物のエアロゾル化のパターンが異なることも示唆された。