17:15 〜 19:15
[ACG51-P04] 水深増加に伴う光質の変化に対するアマモ(Zostera marina)の適応と機能的変化の検討
キーワード:海草藻場、アマモ、光質、メタボローム解析
沿岸海域では海草藻場の衰退による生態系機能の消失が課題となっている。その要因の一部として、 海草の主要水深帯(0-2 m)の浅海域(浅場)での海水温上昇による枯死、台風や低気圧の強大化によ る物理攪乱の増加が指摘されており、水深5-8 mの深い水深場(深場)が、海草の逃避地としての可能性をもつと考えられる。 水中では長波長の赤色光が水深増加に伴い速やかに減衰する一方で、550nm前後の波長の光が深い 水深まで届く。一方で、果実やレタス等の野菜は照射する光の波長に応じて蓄積する代謝物の種類や 量が変化することを活かし、付加価値を持たせた生産が行われてきた。そのため、本研究では、光合成色素の定量やメタボローム解析による海草体内の代謝物の解析を浅場と深場の個体間で行い、生息深度に応じた海草の生理的適応状況と機能性の違いを把握することを目標とした。
2024 年6月19日に、温帯性の海草(アマモ:Zostera marina)の浅場と深場での生育が確認され ていた広島県の生野島沿岸にて試料採取を行った。水中の透過光の光量と波長変化は水中分光放射計 (RAMSES, TriOS 社)を用いて行った。光量・光質の変化に対する海草の適応評価のため、光合成色 素含有量の測定を行った。海草体内の代謝物解析(メタボローム解析)はLC/Q-TOF/MS(Agilent6546) を用いた測定と、質量分析データ解析プログラム「MS-DIAL5」を用いた解析によって行った。
水深の増加に伴う光量の減少と異なる波長間での減衰速度の違いが観測された。透過光スペクトルは535nmをピークとし、その前後の波長の光が最も深い水深まで届いていた。また深場のアマモは光合成色素含有量を増加させており、光量の減衰した光環境への適応が示唆された。メタボローム解析では、浅場と深場の個体に含まれる代謝物をもとに主成分分析を行ったところ、水深の違いによって異なる代謝物蓄積の傾向が見られた。さらに主成分分析の結果をもとにプロットへの寄与度が大きい二次代謝物を探索した結果、深場の個体では複数のフラボノイド類化合物の蓄積が、浅場の個体では成長に寄与するスクロースなどの糖類の蓄積が確認された。抗酸化作用や抗菌作用を持つ代謝物の増加が、海草の被食・分解性を低下させる効果を持つ場合、深場での海草造成は、低い成長・拡大というデメリットを、高いCO2貯留特性という効果で補う可能性も示唆された。
2024 年6月19日に、温帯性の海草(アマモ:Zostera marina)の浅場と深場での生育が確認され ていた広島県の生野島沿岸にて試料採取を行った。水中の透過光の光量と波長変化は水中分光放射計 (RAMSES, TriOS 社)を用いて行った。光量・光質の変化に対する海草の適応評価のため、光合成色 素含有量の測定を行った。海草体内の代謝物解析(メタボローム解析)はLC/Q-TOF/MS(Agilent6546) を用いた測定と、質量分析データ解析プログラム「MS-DIAL5」を用いた解析によって行った。
水深の増加に伴う光量の減少と異なる波長間での減衰速度の違いが観測された。透過光スペクトルは535nmをピークとし、その前後の波長の光が最も深い水深まで届いていた。また深場のアマモは光合成色素含有量を増加させており、光量の減衰した光環境への適応が示唆された。メタボローム解析では、浅場と深場の個体に含まれる代謝物をもとに主成分分析を行ったところ、水深の違いによって異なる代謝物蓄積の傾向が見られた。さらに主成分分析の結果をもとにプロットへの寄与度が大きい二次代謝物を探索した結果、深場の個体では複数のフラボノイド類化合物の蓄積が、浅場の個体では成長に寄与するスクロースなどの糖類の蓄積が確認された。抗酸化作用や抗菌作用を持つ代謝物の増加が、海草の被食・分解性を低下させる効果を持つ場合、深場での海草造成は、低い成長・拡大というデメリットを、高いCO2貯留特性という効果で補う可能性も示唆された。