日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG52] 北極域の科学

2025年5月29日(木) 10:45 〜 12:15 展示場特設会場 (3) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:川上 達也(北海道大学)、堀 正岳(東京大学大気海洋研究所)、柳谷 一輝(宇宙航空研究開発機構)、佐藤 洋太(海洋研究開発機構)、座長:島田 利元(宇宙航空研究開発機構)、柳谷 一輝(宇宙航空研究開発機構)、佐藤 洋太(海洋研究開発機構)

11:00 〜 11:15

[ACG52-08] クリオコナイトホール崩壊によるグリーンランド氷床の暗色化

*藤田 耕史1庭野 匡思2島田 利元3 (1.名古屋大学大学院環境学研究科、2.気象研究所、3.宇宙航空研究開発機構)

キーワード:クリオコナイトホール、グリーンランド氷床、暗色化

グリーンランド氷床の暗色化は、氷床の融解を加速することから懸念されている。暗色化の要因としては、ブラックカーボンやダストなどの不純物の増加や、微生物繁殖によるものが知られている。今回、我々はクリオコナイトホールの崩壊による、これまで認識されていなかった暗色化過程を提案する。

クリオコナイトホールは、微生物由来のクリオコナイトが選択的に放射熱を吸収することにより、形成される穴である。我々はOnuma et al. (2023)にて、クリオコナイトホールの幾何的な構造を考慮した熱収支モデル(CryHo)を開発した。本研究ではこのCryHoをグリーンランド氷床全域に適用し、クリオコナイトホールの深さが浅くなり壊れる際に、ホール内のクリオコナイトが周辺に拡散する際にアルベドを下げる効果について計算した。CryHoの入力データには、Niwano et al. (2018)によるNHM-SMAPを採用し、一時間インターバルでクリオコナイトホールの深さを求め、毎夏クリオコナイトホールが崩壊する時間を積算し、壊れた際にアルベドを0.1下げるとするTakeuchi et al. (2018)の観測結果を利用し、崩壊によるアルベド低下効果を求めた。

クリオコナイトホール崩壊によるアルベド低下の年々変動を2000から2020の期間求め、MODISのアルベドと比較したところ、沿岸部で0.4以上の高い相関が得られた。MODISアルベドの年々変動の幅と比較したところ、クリオコナイトホール崩壊によるアルベド低下効果は8%ほど寄与していることが分かった。

Niwano et al. (2018) Cryosphere, doi: 10.5194/tc-12-635-2018

Onuma et al. (2023) Cryosphere, doi: 10.5194/tc-17-3309-2023

Takeuchi et al. (2018) Annals of Glaciology, doi: 10.1017/aog.2018.19