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[ACG52-P10] 地球温暖化の進行にともなうウラル山脈域のブロッキング現象の変調とその極端気温への影響について
キーワード:地球温暖化、大気ブロッキング現象、極端気温
進行する地球温暖化を背景とした北極気候の変化によって大気変動の発生頻度や取り得る強度自体が変化しすることが知られており、それにともなって極端な気温などに代表されるような異常気象の発生プロセスにも影響が及ぶことが懸念されている。こうした大気現象のひとつとして、寒冷期に中緯度域から高緯度に向けて暖気移流をもたらすウラル山脈域における強い高圧偏差(Ural anticyclonic height anomaly: UAA)がある。本研究では、地球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベースd4PDF(Database for Policy Decision making for Future climate change)を用いてブロッキング指標を用いたUAAの変調を調べ、対象領域の極端高温の出現頻度に対する影響を明らかにする。4K全球昇温実験(HFB-4K)と非温暖化実験(HPB-NAT)のブロッキング発生頻度の差を求めたところ、10月から3月の寒冷期にウラル地方では特徴的な増加傾向がみられた。UAAに伴う気温偏差に対する合成図解析を行ったところ、ユーラシア大陸沿岸では明瞭な高温シグナル、中緯度域では低温下のシグナルが現れた。対象領域における対流圏下層の日平均気温の分布をHFB-4KとHPB-NATの日平均気温について頻度分布にしたところ、両者の差は温暖化にともなう平均気温の差が顕著であることが明らかになった。その一方で、それぞれの実験の気候値に対する気温偏差に着目すると、HFB-4Kにおいては高温偏差域で分散が抑制されているものの、低温偏差域ではそれがみられないという地域性が見いだされた。UAA事例下の極端高温の頻度分布においても、高温偏差域で極端高温が抑制されている実態が明らかとなった。このような頻度分布の地域による違いは、温暖化によって高緯度において気温の上昇がより顕著であることから南北の温度勾配が弱まり、北向きの暖気移流が弱まることで発生しており、温暖化が進行すると高温偏差域において相対的に極端高温の出現が抑制されることが示された。