11:00 〜 11:15
[ACG53-08] 河口域海草藻場による陸源物質の捕捉機能とその利用可能性

キーワード:赤土、漂砂トラップ、海草、金属元素
熱帯から亜熱帯の島嶼地域において、土地開発等によって流出した陸域土壌(赤土)がサンゴ群集に悪影響を及ぼしていることはよく知られている。海草藻場の葉による三次元的に複雑な構造は、物理撹乱量を減少させ、赤土を含めた細粒子を捕捉し、海底へ堆積させる。本研究は赤土流出が問題となっている、パラオ共和国のオギワル州沿岸において河口付近の荒天海況時(2023/12)および静穏海況時(2024/9)における海草藻場の赤土堆積動態を調べた。
河口付近の面的な赤土堆積状況を確認するため、13地点で海底の表層堆積物を採取した。また、数地点に漂砂トラップも設置し、海草帯および裸地での沈降フラックス量を調べた。さらに、物理攪乱量を測定するために石膏球も付近に設置し、水深の測定も行った。表層堆積物および漂砂トラップの内容物は、粒度測定(ふるい, レーザー回析)および元素測定(ICP-OES,元素分析装置)を行った。その結果、河口部付近でAlおよびSi、Ti、V、Mn、Feが高い濃度を示し、シルト画分が多くなった。逆に、河口域から離れるにつれ金属元素に代わってCa濃度が増加し、砂画分の粒子が多くなった。漂砂トラップに捕捉された粒子は、「①河川から輸送された粒子」、「②他地点で巻き上がり輸送された粒子」、「③現地で巻き上がった粒子」の3つに大別できるが、本研究では、粒度や元素組成が河口域からの距離に相関し変化したため、これらを利用して現地の巻き上がりが優勢かそうでないかを検討した。
本研究の結果、静穏海況時は海草帯および裸地への赤土(Al, Si, Ti, Mn, V, Fe)のフラックス量に差は見られなかったが、荒天海況時は、裸地に比べ海草帯の方が赤土のフラックス量が増加していた。したがって、海草帯は荒天海況時における赤土の拡散防止において重要な役割を果たしていることが分かった。漂砂トラップによって捕捉された粒子の中央粒径が裸地より海草帯で大きくなっていることは、先行研究とも一致しており、海草帯において積極的な浮遊粒子の捕捉機能が働いていたと考えられた。したがって、サンゴ群集の保全にあたっては、サンゴ礁を構成する海草藻場の保全も重要となる。
本研究では、さらに、赤土の堆積が海草体内の元素組成へ与える影響についても調査を行った。海底堆積物および漂砂トラップを採取・設置した地点において、ウミショウブ(Enhalus acoroides)を採取し、海底堆積物および海草体内の元素濃度について多地点で比較した。その結果、植物にとって有用なMnやFeの濃度が赤土負荷量の少ない地点よりも多い地点で、より高い濃度を示していた。このことは、微量金属の含有量が少ない炭酸塩鉱物が優占するサンゴ礁堆積物では、海草による赤土の捕捉機能が自身の生育に対しても有益な影響をもたらしている可能性を示唆している。
河口付近の面的な赤土堆積状況を確認するため、13地点で海底の表層堆積物を採取した。また、数地点に漂砂トラップも設置し、海草帯および裸地での沈降フラックス量を調べた。さらに、物理攪乱量を測定するために石膏球も付近に設置し、水深の測定も行った。表層堆積物および漂砂トラップの内容物は、粒度測定(ふるい, レーザー回析)および元素測定(ICP-OES,元素分析装置)を行った。その結果、河口部付近でAlおよびSi、Ti、V、Mn、Feが高い濃度を示し、シルト画分が多くなった。逆に、河口域から離れるにつれ金属元素に代わってCa濃度が増加し、砂画分の粒子が多くなった。漂砂トラップに捕捉された粒子は、「①河川から輸送された粒子」、「②他地点で巻き上がり輸送された粒子」、「③現地で巻き上がった粒子」の3つに大別できるが、本研究では、粒度や元素組成が河口域からの距離に相関し変化したため、これらを利用して現地の巻き上がりが優勢かそうでないかを検討した。
本研究の結果、静穏海況時は海草帯および裸地への赤土(Al, Si, Ti, Mn, V, Fe)のフラックス量に差は見られなかったが、荒天海況時は、裸地に比べ海草帯の方が赤土のフラックス量が増加していた。したがって、海草帯は荒天海況時における赤土の拡散防止において重要な役割を果たしていることが分かった。漂砂トラップによって捕捉された粒子の中央粒径が裸地より海草帯で大きくなっていることは、先行研究とも一致しており、海草帯において積極的な浮遊粒子の捕捉機能が働いていたと考えられた。したがって、サンゴ群集の保全にあたっては、サンゴ礁を構成する海草藻場の保全も重要となる。
本研究では、さらに、赤土の堆積が海草体内の元素組成へ与える影響についても調査を行った。海底堆積物および漂砂トラップを採取・設置した地点において、ウミショウブ(Enhalus acoroides)を採取し、海底堆積物および海草体内の元素濃度について多地点で比較した。その結果、植物にとって有用なMnやFeの濃度が赤土負荷量の少ない地点よりも多い地点で、より高い濃度を示していた。このことは、微量金属の含有量が少ない炭酸塩鉱物が優占するサンゴ礁堆積物では、海草による赤土の捕捉機能が自身の生育に対しても有益な影響をもたらしている可能性を示唆している。