日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG54] 有人・無人航空機による気候・地球システム科学研究の推進

2025年5月27日(火) 13:45 〜 15:15 展示場特設会場 (4) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:高橋 暢宏(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)、小池 真(東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻)、町田 敏暢(国立環境研究所)、篠田 太郎(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、座長:高橋 暢宏(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)、小池 真(東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻)


13:45 〜 14:00

[ACG54-01] 航空機を用いたアジアでの大気観測ASIA-AQ2024キャンペーンと個別粒子分析結果

*足立 光司1 (1.気象研究所)

キーワード:エアロゾル、航空機観測、アジア、個別粒子分析

本発表は、2024年にアジアで行われた航空機観測「ASIA-AQキャンペーン2024」の概要及び、そのエアロゾル個別粒子分析に関する成果を報告する。アジアは、人口密度が高く、また森林火災なども多発するなど、地球規模において大気汚染物質の主要な発生源として知られている。しかしながら、大気汚染物質の観測体制は国ごとでの開きが大きく、十分な観測網が一律にあるわけではない。そこで、本キャンペーンでは、東アジア、東南アジアの国々で、さまざまな観測機器を備えた航空機観測と地元の研究グループによる地上観測と協力し合って各国の大気環境の現状を把握することを目的とした。これらの成果は、今後の衛星観測との比較やモデルによる再現を通じた地域の長期観測網の構築などに役立つことが期待される。

ASIA-AQキャンペーンは、米国NASA主導のもと2024年2月1日から3月30日にかけて行われた。使用した航空機は、NASA所属機としてDC8とGulfstream IIIが参加した。また、韓国での観測では、韓国の大学や研究機関が合わせて4機の航空機を使用した。ASIA-AQキャンペーンの観測は、フィリピン、韓国、タイ、台湾の4カ国で行った。また、観測期間中は、各国の地上観測、モデルグループ、衛星観測とも同期して、さまざまな時空間スケールでの大気汚染物質の観測・解析を行った。特に目立ったイベントとして、タイでは森林火災や農業由来の野焼きなどによる顕著な大気汚染イベントがみられた。韓国では、多くの観測期間において清浄な空気の期間が多かったが、一部に大陸由来の越境汚染イベントがみられた。その他の国でも、ローカルイベントや越境汚染イベントなどの違いがみられた。

本発表では、ASIA-AQ観測の概要紹介に加えて、TEM分析の初期結果を報告する。本研究は、NASAのDC8に電子顕微鏡用エアロゾルサンプラーを搭載し、さまざまな高度での汚染空気塊の採取を行った。その後、得られた試料は透過型電子顕微鏡(TEM)で分析を行い、エアロゾル粒子の組成や混合状態に関する分析を行っている。得られた主な結果は、エアロゾルの組成分析をもとにした分類(ダスト、海塩、カリウム塩、硫酸塩、炭素質エアロゾルなど)およびそれらの数割合(地域ごと、粒径ごと)、ブラックカーボンの混合状態、ターボール粒子の特徴、金属粒子の存在状態(例えば亜鉛や鉛)などである。今後、これらの粒子に着目し、異なった空気塊や高度、さまざまな地点における観測結果をもとにした大気汚染物質の動態解析を行う計画である。