日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG54] 有人・無人航空機による気候・地球システム科学研究の推進

2025年5月27日(火) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:高橋 暢宏(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)、小池 真(東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻)、町田 敏暢(国立環境研究所)、篠田 太郎(名古屋大学宇宙地球環境研究所)


17:15 〜 19:15

[ACG54-P02] 飛行機の航跡データを用いた沖縄周辺における台風下における気象情報の抽出に向けた事前検討と環境構築

*森澤 征一郎1、菊地 亮太2、高橋 暢宏 2 (1.沖縄工業高等専門学校、2.名古屋大学宇宙地球環境研究所)

キーワード:航跡データ、CARAT Open Data、台風

沖縄県は東西に約1,000㎞,南北に約400㎞に及ぶ広大な海域に多くの島々が点在する.加えて,他県と比べて台風の接近回数が多く,悪天候によって公共交通機関の欠便や遅延などが生じ,県内の交通手段に大きな影響を与える.特に,台風接近による暴風域や時化によって船舶の運航は制限され,離島への物資や人の輸送手段は航空機のみとなる.一方,台風付近において多くの飛行機が運航されており,例えば伊藤ら(Front. Earth Sci., 10, 1058262, 2022.)によると台風中心から100 km以内においても1万便以上の飛行機が観測されている.
このような背景のもと,私たちのグループでは、台風の進路や強度の予測に貢献するため航空機の位置情報から乱気流の発生状況など局地的な気象情報を取得し研究を行っています.本研究では,この前段階として必要な飛行機の位置情報を抽出し,航跡データに変換することで台風が沖縄県に接近した年とそうでない年の那覇空港に離発着する飛行機の進路を比較する.そして,台風の有無で航跡データにどのような違いが生じた調査したので報告する.
 本研究で扱う台風の進路を図1に示す.図1の台風は2016年9月に発生したものであり,沖縄本島の西側より接近して様子が確認できる.また,図中の数字は日付となっており,本研究では沖縄本島に接近し,最低気圧が最も小さかった9月17日とした.なお,図1の画像はサイト「デジタル台風」を利用し,図中に加筆を行っている.この図に対応して,飛行機の位置情報を抽出した航跡データを図2に示す.航跡データには国土交通省が提供するCARATS Open Dataを用いており,当時,県外および県内の離島の両方を運航していたBoeing737-400に限定した.また,比較対象として台風の接近がない2015年9月17日の航跡データも用いている.
その結果,図2より台風の発生した2016年には石垣島に着陸する航跡データが存在しない.この原因は台風の影響で欠便になったと考えられる.加えて,台風が接近した場合,那覇空港に着陸する進路は北側の進路を取っているのに対して,台風が存在しない場合は逆の進路を取っている.特に,台風の発生した際の航跡データは南西諸島にある大島から沖縄本島付近の上空でばらついている.これは,那覇空港の南側から着陸していたものが,台風の存在によって飛行機の進路が乱されたためと考えられる.
 以上より,本研究で用いた航跡データによって台風の有無による飛行機の位置情報が確認できた.しかし,議論するなかでCARTAT Open Dataから気象情報を抽出するにはサンプリング時間間隔が大きいことがわかった.今後はADS-B信号を直接受信できる環境を構築し,信号を共有するサービス(Filghtrader24)と連携させることで,広範囲かつサンプリング時間間隔が短い飛行機の位置情報を得ることで,より精緻な航跡データの分析を進める.