日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-GE 地質環境・土壌環境

[A-GE34] 地質媒体における流体移動、物質移行及び環境評価

2025年5月30日(金) 13:45 〜 15:15 展示場特設会場 (6) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:濱本 昌一郎(北海道大学大学院農学研究院)、小島 悠揮(岐阜大学工学部)、加藤 千尋(弘前大学農学生命科学部)、西脇 淳子(東京農工大学)、座長:濱本 昌一郎(北海道大学大学院農学研究院)、小島 悠揮(岐阜大学工学部)

14:00 〜 14:15

[AGE34-02] 拡張Durnerモデルによる不飽和透水係数の推定

*幸喜 烈1、取出 伸夫2斎藤 広隆1 (1.東京農工大学、2.三重大学)

キーワード:不飽和透水係数関数、Durnerモデル、一般化透水係数モデル、拡張Durnerモデル

不飽和土中水の圧力水頭hに対する体積含水率θの関数である水分保持関数(WRF)およびhに対する不飽和透水係数Kの関数(HCF)からなる水分移動特性モデルは、Richards式(Richards, 1931)に基づく不飽和土中水分移動の数値解析において必要不可欠な数式モデルである。特に,WRFと透水係数推定モデル(Burdine, 1952; Mualem, 1976; Hoffman-Riem et al., 1999など)より導出されるHCFはWRFとパラメータを共有するため,少ないパラメータ数で実測困難な不飽和透水係数を推定できる.なおWRFはθを0~1にスケーリングした有効飽和度Sを,HCFは飽和透水係数Ksに対するKの比である比透水係数Krを用いて,それぞれS(h), Kr(h)で表される.
van Genuchtenモデル(van Genuchten, 1980)に代表される古典的なWRFは多くの土壌に適用されてきたが,団粒内外で間隙構造の異なる黒ボク土や,圧力状態による水分移動形態の変化が劇的な砂質土において性能が低下することが知られている.この課題に対しDurner (1994)は2つのvan Genuchtenモデルをサブモデルとして線形結合したWRFを提案した(Durnerモデル).Durnerモデルもまた,Mualemモデルと組み合わせることでHCFが推定できる.2つのサブモデルはそれぞれが高圧力・低圧力領域の水分保持関数の値を特徴づけることで,これらの領域間で変化する水分移動特性を表現する.
DurnerモデルとMualemモデルから得られるHCFであるDurner-Mualemモデル(Priesack and Durner, 2006)は,WRFに影響を与えないパラメータが1つしかなく,その値に応じて全圧力領域における値が変動する。これは,Durner-Mualemモデルが高圧力・低圧力領域における関数値を独立して補正できず,全圧力領域での不飽和透水係数を表現する上でパラメータが不足していることを意味する.
一般化透水係数モデル(Hoffman-Riem et al., 1999)は3つのパラメータを有しており,Durnerモデルと組み合わせて得られるHCF(拡張DurnerモデルeDu)はDurner-Mualemモデルより柔軟に土壌のK(h)実測データを再現した(Seki et al., 2022, 2023). しかしながら,HCF(拡張Durnerモデル)の性質についての検証はほとんど見られない.
本研究では,eDuのHCF曲線群が飽和時に共有する点(h, Kr)=(0, 1)に加えてもう1つ任意の共有点(hb, Kb)を導入する.このとき,一般化透水係数モデルの3つパラメータのうち2つは線形の関係式を満たす.2つの共有点の間の高圧力領域におけるHCF曲線群は変動が相対的に抑制され,hbより低水分領域のみが大きく変動するため,全圧力領域におけるHCFは高い自由度を持つ.これは,eDuがDurner-Mualemモデルの課題を克服していることを意味しており,その性能について実土壌のWRF・HCFデータとの比較によって示す.