14:00 〜 14:15
[AHW28-13] 淡水湖における内部重力波の伝搬機構と乱流混合について
キーワード:淡水湖、乱流混合、内部波伝搬、流動特性、福島、猪苗代湖
福島県中央に位置する猪苗代湖は、直径約10 km、最大水深約100 mの比較的大きな湖である。酸性傾向が知られており、河川から流入する火山性物質が影響しているが、近年、物質収支の変化や湖内部の流動・混合の結果として、その性質が変化しつつあることが報告されている。本研究では、湖水の混合過程を流動特性の観点から現場観測によって調査し、定性的・定量的な理解を深めることを目的とした。
2020年に湖心付近で実施した係留観測データの解析から、夏季には約19.7時間の顕著な周期性が確認された(図a)。夏季と冬季で周期変動の構造には大きな違いが見られ、夏季には水平流速の位相構造が鉛直方向に伝搬し、波の運動エネルギーが上層から下層へと伝わることが示唆された(図b)。一方、冬季には周期的な短期変動が弱まり、鉛直方向の位相構造は屹立し、エネルギー伝搬はわずかとなった。
2023年6月の成層期に実施した、湖を対角線上に横断する乱流計観測では(図c)、上層の水温成層の深度において乱流エネルギー散逸率(ε)の顕著な増大が確認された(図d)。これは、2020年に観測された内部波の伝搬により混合エネルギーが転化された結果と考えられる。一方、同年12月の観測では、直近の風速の影響もあったものの、6月の観測と比べて亜表層深度(10~20 m)におけるεレベルが約1/4に低下していた。
さらに、3次元数値シミュレーションを用いて、夏季の水温成層発達期に強風イベントに対する湖水の応答を解析した(図e)。北寄りの風応力を与えた実験では、表層水が南方に吹き寄せられ、その後、高水温パッチが沿岸を右に見ながら移動する内部ケルビン波の挙動が確認された。一方、長瀬川河口付近では、高温パッチの伝搬経路が逸脱し、対岸方向へシグナルが伝播した。この現象は、河口付近の入江構造が内部ケルビン波の伝搬に適しておらず、内部重力波へと形態が変化したことを示唆している。
これらの結果から、吹き寄せによる内部ケルビン波の発生と、地形に依存せず湖内部を伝播する内部重力波が融合することで、湖全域にわたる乱流混合の分布が維持されている可能性が示唆された。今後は、特に長瀬川河口付近における乱流エネルギー分布の詳細な調査を進める予定である。
2020年に湖心付近で実施した係留観測データの解析から、夏季には約19.7時間の顕著な周期性が確認された(図a)。夏季と冬季で周期変動の構造には大きな違いが見られ、夏季には水平流速の位相構造が鉛直方向に伝搬し、波の運動エネルギーが上層から下層へと伝わることが示唆された(図b)。一方、冬季には周期的な短期変動が弱まり、鉛直方向の位相構造は屹立し、エネルギー伝搬はわずかとなった。
2023年6月の成層期に実施した、湖を対角線上に横断する乱流計観測では(図c)、上層の水温成層の深度において乱流エネルギー散逸率(ε)の顕著な増大が確認された(図d)。これは、2020年に観測された内部波の伝搬により混合エネルギーが転化された結果と考えられる。一方、同年12月の観測では、直近の風速の影響もあったものの、6月の観測と比べて亜表層深度(10~20 m)におけるεレベルが約1/4に低下していた。
さらに、3次元数値シミュレーションを用いて、夏季の水温成層発達期に強風イベントに対する湖水の応答を解析した(図e)。北寄りの風応力を与えた実験では、表層水が南方に吹き寄せられ、その後、高水温パッチが沿岸を右に見ながら移動する内部ケルビン波の挙動が確認された。一方、長瀬川河口付近では、高温パッチの伝搬経路が逸脱し、対岸方向へシグナルが伝播した。この現象は、河口付近の入江構造が内部ケルビン波の伝搬に適しておらず、内部重力波へと形態が変化したことを示唆している。
これらの結果から、吹き寄せによる内部ケルビン波の発生と、地形に依存せず湖内部を伝播する内部重力波が融合することで、湖全域にわたる乱流混合の分布が維持されている可能性が示唆された。今後は、特に長瀬川河口付近における乱流エネルギー分布の詳細な調査を進める予定である。