日本地球惑星科学連合2025年大会

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[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW28] 水循環・水環境

2025年5月28日(水) 13:45 〜 15:15 102 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:濱 侃(千葉大学大学院園芸学研究院)、榊原 厚一(信州大学理学部理学科)、林 武司(秋田大学教育文化学部)、福士 圭介(金沢大学環日本海域環境研究センター)、座長:福士 圭介(金沢大学環日本海域環境研究センター)

14:15 〜 14:30

[AHW28-14] 水前寺・江津湖周辺における湧水の涵養面積推定と土地利用別涵養効果の比較

*長岡 輝1一柳 錦平1Irfan Tsany Rahmawan1 (1.熊本大学)


キーワード:江津湖、地下水湧出量、涵養域、土地利用

熊本県は豊かな水資源に恵まれた地域である。特に熊本市の水前寺・江津湖周辺では多くの地下水が湧出する地域となっており、河川流量データから地下水湧出量が毎月算出されている。研究地域を3つのゾーンに分けて、各湧出量の正の値だけ合計した結果、2007年1月から2015年12月までは平均約160,000,000m³/yearであった。本研究では全地下水湧出量のうち、降水によって涵養された地下水湧出量を支える為に必要な涵養域の面積を推定することを目的とする。また、涵養域内の土地利用状況をもとに、涵養効果の違いについて考察することを目的とする。
本研究では、地形図から求められた地下水の流動経路を、「GETFLOWS」の地下水流跡線図で確認して地下水の流域を決定した。涵養域は流出係数、降水量、蒸発散量を用いて算出した。流出係数は、国土交通省が提示している値を参考にした。降水量と蒸発散量には、熊本地方気象台が提示しているデータを用いた。また、蒸発散量はBrutsaert and Stricker が提案した補完関係式を用いて算出した。地下水の流域内は、建物用地・田・畑・森林から構成されているため、本研究では土地利用別の流出係数、蒸発散量を用いて涵養域を算出した。研究地域における湧水には、降水によって涵養された地下水と白川河川水によって涵養された地下水が混合している。本研究では、各ゾーンで採水された湧水中のイオン成分比から算出された白川河川水の割合を用いて、河川水を起源とする地下水湧出量をそれぞれのゾーンで算出した。その後、算出した値を全地下水湧出量から減算することによって、降水を起源とする地下水湧出量を算出した。その結果、全地下水湧出量から河川水を起源とする地下水湧出量を減算した場合の地下水湧出量は120,649,738m³/yearとなった。
算出した地下水湧出量を用いて涵養域の面積を算出した結果、182.33km²となった。この範囲には、先行研究で確認されていた地下水の涵養起源である白川中流域や阿蘇山西麓の託麻台地が含まれていた。また、この範囲内の土地利用割合は、建物用地が最も多く54.3%となり、田や畑のような農地の割合は38.5%となった。涵養域内での土地利用別涵養量割合は、建物用地は25.8%と涵養域の面積に対して小さい値となった。一方で、涵養量は農地の割合が大きく、64.5%となった。以上の結果から、水前寺・江津湖で湧出している地下水は白川中流域や託麻台地を含む地域で涵養されており、特に田や畑のような農地からの涵養量が地下水湧出量に影響していることが考察される。