09:00 〜 09:25
[AHW30-01] 付加体中の水理地質構造―長野県大鹿村における事例研究―
★招待講演
キーワード:スラブ起源流体、水理地質構造、付加体
地下水流動が関わる建設事業のサイト選定プロセスにおいて,水理地質構造は重要な基盤情報である.日本列島の地下には付加体が広く分布していると考えられているが,付加体の水理地質構造に関する既往研究事例は少ない.本研究では,長野県南部を対象に選び,地下深部を起源とする高塩濃度地下水(深部流体)を指標として,付加体中で水みちとして機能する地質・地質構造を明らかにする事例研究を実施した.地表地質踏査・河川水の水質分析・岩石の室内分析を実施した結果,地質境界断層の近傍の割れ目・小断層と,三波川帯結晶片岩類の泥質片岩が水みちとして機能していることが示された.調査結果を踏まえて,地質境界断層のダメージゾーン中の割れ目・小断層と,泥質片岩中に風化で生じた割れ目が水みちであるという概念的なモデルを構築した.本研究で得られた知見は,付加体を対象としたサイト選定プロセスの参考情報となることが期待される.また,河川水の水質分析結果から,調査地域の河川水の水質形成プロセスに方解石・緑泥石と水の反応ならびに岩体の透水性が関わっていると考えられ,水質形成プロセスの理解が水理地質構造の検討に貢献しうることも示された.