14:30 〜 14:45
[AOS13-04] トレーサー観測値制約による定常海洋循環場

キーワード:循環場最適化、生物地球化学循環、逆推定モデリング、全球海洋大循環、溶存リン、溶存ケイ素
北太平洋深層は、北大西洋表層の沈み込みに始まる全球規模の海洋大循環の終着点であり、その水塊年齢は海洋中で最も古いと推定されている。その領域においては、再生された溶存栄養塩や炭素濃度が高く、溶存栄養塩や炭素の巨大な貯蔵庫となっている。この水が表層へと戻ることで、高濃度の栄養塩は生物生産を活発化させ、貯蔵された炭素は大気中に放出される。したがって、太平洋深層から表層への海洋循環は、生物地球化学や気候システムにとって重要な役割を果たしている。
近年、精度の高い観測データの蓄積やモデル研究により、太平洋深層循環の理解は進んでいる。しかし、南大洋深層から流入した北太平洋深層水がどこで上昇し、どの程度の強さで南へ戻るのか、さらに北太平洋中層の豊富な栄養塩プールとどのように関わるのかについては、依然として議論が続いている。
物質循環モデルを用いた研究では、与えられる海洋流速場の違いによって北太平洋の再生栄養塩の分布再現性が異なり、それが物質循環プロセスの解釈に影響を与えることが示されている。本研究では、現実的な北太平洋のトレーサー分布を正しく再現する海洋循環場の構築を目的とし、従来用いられていた海洋流速場を逆推定的に修正する試みを行った。
この逆推定においては、使用するトレーサーの種類と、修正対象とする初期の海洋循環場を変えて、それぞれ修正を行い、得られる海洋流速場の違いを比較した。具体的には、逆推定に用いるトレーサーとして、一般的に用いられる温度・塩分・水塊年齢指標(∆14C)に加え、溶存リン(P)と溶存ケイ素(Si)を導入した。また、初期の海洋流速場としては、大気海洋結合モデル MIROC によるものと、温度・塩分・∆14C・CFC-11・CFC-12・δ3He に対してすでに逆推定が施されている OCIM 循環場を用い、それぞれに対していくつかの方法で修正を行い、新たに得られた循環場を比較、議論した。
得られた修正循環場のうち、最も観測トレーサーの分布をよく再現したものは、北太平洋中層での拡散領域の特徴や、南大洋深層から太平洋深層に流入した水の南向きリターンフローが鉛直的に抑え込まれていることを示唆した。ここで得られたトレーサー分布を正確に再現できる循環場を物質循環モデルに適用することで、物質循環プロセスの定量的な見積もりの精度を向上させるための制約が可能になると期待される。
近年、精度の高い観測データの蓄積やモデル研究により、太平洋深層循環の理解は進んでいる。しかし、南大洋深層から流入した北太平洋深層水がどこで上昇し、どの程度の強さで南へ戻るのか、さらに北太平洋中層の豊富な栄養塩プールとどのように関わるのかについては、依然として議論が続いている。
物質循環モデルを用いた研究では、与えられる海洋流速場の違いによって北太平洋の再生栄養塩の分布再現性が異なり、それが物質循環プロセスの解釈に影響を与えることが示されている。本研究では、現実的な北太平洋のトレーサー分布を正しく再現する海洋循環場の構築を目的とし、従来用いられていた海洋流速場を逆推定的に修正する試みを行った。
この逆推定においては、使用するトレーサーの種類と、修正対象とする初期の海洋循環場を変えて、それぞれ修正を行い、得られる海洋流速場の違いを比較した。具体的には、逆推定に用いるトレーサーとして、一般的に用いられる温度・塩分・水塊年齢指標(∆14C)に加え、溶存リン(P)と溶存ケイ素(Si)を導入した。また、初期の海洋流速場としては、大気海洋結合モデル MIROC によるものと、温度・塩分・∆14C・CFC-11・CFC-12・δ3He に対してすでに逆推定が施されている OCIM 循環場を用い、それぞれに対していくつかの方法で修正を行い、新たに得られた循環場を比較、議論した。
得られた修正循環場のうち、最も観測トレーサーの分布をよく再現したものは、北太平洋中層での拡散領域の特徴や、南大洋深層から太平洋深層に流入した水の南向きリターンフローが鉛直的に抑え込まれていることを示唆した。ここで得られたトレーサー分布を正確に再現できる循環場を物質循環モデルに適用することで、物質循環プロセスの定量的な見積もりの精度を向上させるための制約が可能になると期待される。