10:45 〜 11:00
[AOS14-07] 月極域近傍の縦孔における水の存在の可能性と月面居住
★招待講演
キーワード:月の縦孔、水、宇宙居住、環境制御・生命維持技術
1.研究の背景
アルテミス計画においては月の南極域を重点的探査する。懸念点は以下の二点。① 極域の永久日陰の水氷は存在が確認されていない。② 永久日陰と日照を得られる地点とはkmオーダー離れている。そこで、極域に存在する月の縦孔および地下空洞に着目し、地下空洞内の永久日陰に気相成長による水氷および日照域との距離を調査する。
2.研究の狙いと目標値
①緯度と地下空洞の奥行きから水氷の埋蔵量がある程度予測可能となることを目指す。②アルテミス計画の範疇で、日本独自の探査・月利用の具体化を検討する。③日本人が発見した月の縦孔の探査及び利用に関して、日照域と永久日陰が隣接している利点、水氷の蓄積に注目し、世界に先駆けて調査を開始する。
3. 研究期間終了後の出口イメージ
極域の縦孔および地下空洞に水分が埋蔵されている可能性が大きい場合、国内国外のISRU(その場資源利用)のチームへ極域の縦孔の揮発性物質調査に関する提案を行い、共同作業を立ち上げる。
4.研究の方法
月の地下空洞を模擬したモデルでの数値シミュレーションを行うことで、地下空洞内における水分子の存在可能性について検討をおこなった。縦孔と日照域の距離を把握した。北海道大学低温研と意見交換し、極低温の水氷の気相成長に関して調査した。
5.実績
文献研究より、緯度と形状による水氷の損失率の違い明らかとなり、地下空洞で水分子が安定存在する条件が分かった。奥行きが100 mのような空洞では緯度78度以北or以南に存在していれば、水分子が岩石に吸着している。着陸想定地点より陸路で極域の縦孔へ向かうルートファインディングを行う。極域の縦孔近辺の日照時間と夜間時間の調査→50%の日照域が近くにあった。極域の縦孔内部の探索方法・縦孔探査用ロボットローバーの検討に関しては海外の例を参考にした。
6.研究成果及び考察
永久日陰が十億年単位では変遷することを認識し、新しい着陸点候補地などを考慮して検討を行った。
進捗①: 着陸想定地点より陸路で極域の縦孔へ向かうルートファインディングを進める。また、Quickmap(https://quickmap.lroc.asu.edu/)という月のマップを調査できるツールを開いて、以下の三つのレイヤーを取り込んでも日照率の解析を目指す。
・Sun Visibility (60m/120m/240mの3つ)
・Pit Locations
・A3: Candidates Landing Regions 2022 (Artemisの着陸候補地点13点)
進捗②: 極域の縦孔近辺の日照時間と夜間時間の調査に関しては、月惑星探査データ解析グループの資料を参考にした。Schomberger A1周辺の平均日照率を調べることができた。残念ながら日照時間が14日(日照率50%以上)には満たないようであった。ただし、Schomberger A1では少し離れた場所に日照率45%-50%(日照時間が14日に近い場所)が数百mの距離にあることが分かった。
文献研究により緯度と形状による水氷の損失率の違いを明らかにし、緯度約 87.5度以上かつ永久影クレーター内部に存在する地下空洞で水分子は安定存在することが分かった。さらに岩石と水の吸着力の強さに注目し、モデルにおける水分子の挙動シミュレーションにより、月極域の地下空洞が水分子を蓄積する可能性を評価した。地下空洞内部は永久影となり、低温であること、放射線などによる水分子の分解反応が起こらないことから水分子の蓄積が期待される結果となった。シミュレーションにおいて、奥行きが10 kmと大規模な空洞では、緯度68度程度、奥行きが100 m程度の空洞でも緯度78度以北以南に存在していれば、水分子が地下空洞内に残存する可能性があることを示した。またそのような高緯度に縦孔が存在することも確認しており、将来探査の候補地となるような縦孔についても特定することができた。特に、 SchombergerA1は南緯の高い縦孔(南緯78度)であり、南極点から約360km、ArtemisⅢの13の着陸地点のうち、最も近いものから約240kmの位置にあり、アルテミス計画内での縦孔探査も現実味があると考えられる。
また、北海道大学 低温研の研究者と極低温における氷の気相成長に関して意見交換した。超高真空で100K程度の温度での水の気相成長に関しては,これまであまり取り扱われていないことがわかったが、月や惑星の表面ではいろいろなところで存在する環境である。
極域の縦孔内部の探索方法・縦孔探査用ロボットローバーの検討→海外の例を参考にした。
7.今後の予定
・永久日陰の中の縦孔の発見方法の検討、照明弾などの利用検討
・極域の縦孔内部の探索方法・縦孔探査用ロボットローバーの検討、有人与圧ローバーを用いた探査の検討
・月の極の地下空洞は、場所、形状、温度などは、どのようなものか?(その場探査)、極の地下空洞に水があるのか?(その場探査)、その水の重水素はどのようなものか?(サンプル回収)
アルテミス計画においては月の南極域を重点的探査する。懸念点は以下の二点。① 極域の永久日陰の水氷は存在が確認されていない。② 永久日陰と日照を得られる地点とはkmオーダー離れている。そこで、極域に存在する月の縦孔および地下空洞に着目し、地下空洞内の永久日陰に気相成長による水氷および日照域との距離を調査する。
2.研究の狙いと目標値
①緯度と地下空洞の奥行きから水氷の埋蔵量がある程度予測可能となることを目指す。②アルテミス計画の範疇で、日本独自の探査・月利用の具体化を検討する。③日本人が発見した月の縦孔の探査及び利用に関して、日照域と永久日陰が隣接している利点、水氷の蓄積に注目し、世界に先駆けて調査を開始する。
3. 研究期間終了後の出口イメージ
極域の縦孔および地下空洞に水分が埋蔵されている可能性が大きい場合、国内国外のISRU(その場資源利用)のチームへ極域の縦孔の揮発性物質調査に関する提案を行い、共同作業を立ち上げる。
4.研究の方法
月の地下空洞を模擬したモデルでの数値シミュレーションを行うことで、地下空洞内における水分子の存在可能性について検討をおこなった。縦孔と日照域の距離を把握した。北海道大学低温研と意見交換し、極低温の水氷の気相成長に関して調査した。
5.実績
文献研究より、緯度と形状による水氷の損失率の違い明らかとなり、地下空洞で水分子が安定存在する条件が分かった。奥行きが100 mのような空洞では緯度78度以北or以南に存在していれば、水分子が岩石に吸着している。着陸想定地点より陸路で極域の縦孔へ向かうルートファインディングを行う。極域の縦孔近辺の日照時間と夜間時間の調査→50%の日照域が近くにあった。極域の縦孔内部の探索方法・縦孔探査用ロボットローバーの検討に関しては海外の例を参考にした。
6.研究成果及び考察
永久日陰が十億年単位では変遷することを認識し、新しい着陸点候補地などを考慮して検討を行った。
進捗①: 着陸想定地点より陸路で極域の縦孔へ向かうルートファインディングを進める。また、Quickmap(https://quickmap.lroc.asu.edu/)という月のマップを調査できるツールを開いて、以下の三つのレイヤーを取り込んでも日照率の解析を目指す。
・Sun Visibility (60m/120m/240mの3つ)
・Pit Locations
・A3: Candidates Landing Regions 2022 (Artemisの着陸候補地点13点)
進捗②: 極域の縦孔近辺の日照時間と夜間時間の調査に関しては、月惑星探査データ解析グループの資料を参考にした。Schomberger A1周辺の平均日照率を調べることができた。残念ながら日照時間が14日(日照率50%以上)には満たないようであった。ただし、Schomberger A1では少し離れた場所に日照率45%-50%(日照時間が14日に近い場所)が数百mの距離にあることが分かった。
文献研究により緯度と形状による水氷の損失率の違いを明らかにし、緯度約 87.5度以上かつ永久影クレーター内部に存在する地下空洞で水分子は安定存在することが分かった。さらに岩石と水の吸着力の強さに注目し、モデルにおける水分子の挙動シミュレーションにより、月極域の地下空洞が水分子を蓄積する可能性を評価した。地下空洞内部は永久影となり、低温であること、放射線などによる水分子の分解反応が起こらないことから水分子の蓄積が期待される結果となった。シミュレーションにおいて、奥行きが10 kmと大規模な空洞では、緯度68度程度、奥行きが100 m程度の空洞でも緯度78度以北以南に存在していれば、水分子が地下空洞内に残存する可能性があることを示した。またそのような高緯度に縦孔が存在することも確認しており、将来探査の候補地となるような縦孔についても特定することができた。特に、 SchombergerA1は南緯の高い縦孔(南緯78度)であり、南極点から約360km、ArtemisⅢの13の着陸地点のうち、最も近いものから約240kmの位置にあり、アルテミス計画内での縦孔探査も現実味があると考えられる。
また、北海道大学 低温研の研究者と極低温における氷の気相成長に関して意見交換した。超高真空で100K程度の温度での水の気相成長に関しては,これまであまり取り扱われていないことがわかったが、月や惑星の表面ではいろいろなところで存在する環境である。
極域の縦孔内部の探索方法・縦孔探査用ロボットローバーの検討→海外の例を参考にした。
7.今後の予定
・永久日陰の中の縦孔の発見方法の検討、照明弾などの利用検討
・極域の縦孔内部の探索方法・縦孔探査用ロボットローバーの検討、有人与圧ローバーを用いた探査の検討
・月の極の地下空洞は、場所、形状、温度などは、どのようなものか?(その場探査)、極の地下空洞に水があるのか?(その場探査)、その水の重水素はどのようなものか?(サンプル回収)