日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS14] 陸域海洋相互作用ー惑星スケールの物質輸送

2025年5月26日(月) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:山敷 庸亮(京都大学大学院総合生存学館)、升本 順夫(東京大学大学院理学系研究科)、Behera Swadhin(Climate Variation Predictability and Applicability Research Group, Application Laboratory, JAMSTEC, 3173-25 Showa-machi, Yokohama 236-0001)、佐々木 貴教(京都大学 大学院理学研究科 宇宙物理学教室)

17:15 〜 19:15

[AOS14-P06] 月の縦穴"Mare Tranquillitatis Hole"での宇宙開発拠点の整備に関する提案
~自給自足を目指した月への移住計画~

*佐藤 碧1、竹田 一博2、田中 咲智花1山敷 庸亮3,4、土井 隆雄4 (1.京都大学 理学部、2.京都大学 医学研究科、3.京都大学大学院総合生存学館(思修館)、4.SIC有人宇宙学研究センター)

キーワード:月、Mare Tranquillitatis Hole

現在人類の共有財産として地球の周りをまわる月は、多くの観点から潜在的に大きな可能性を秘めている。自然科学的にみれば、その低重力、低圧の環境では新たな科学、技術が創出されることが期待され、人文科学的には、その特異な環境から新たな文化や教育的視点が生まれることが考えられる。
 こうした背景から、我々は月を利用した新たな拠点の開発を提案する。この拠点の目的は「次なる宇宙開発への中継地点」である。月の重力は地球の約1/6とされており、その弱い重力を用いて打ち上げを低エネルギーで行う。地球から物資を運び、より遠方への宇宙開発に向けた中継地点としてその役割を果たす。今回はこの拠点に150人で暮らすことを考えた。
 拠点の場所としては静の海の赤道付近に発見されている縦穴、Mare Tranquillitatis Holeを選定した。その理由としては、適切な温度(約17度)に保たれており、放射線量や隕石から守られているので、月表面よりも安定した環境である点があげられる。この縦穴に関して「UZUME計画」というJAXAの研究計画があり、こうした豊富な先行研究はこの提案をより現実的なものにする。この縦穴には3Dプリンティングで加工した金属のパーツを組み合わせて多層の建物を造る。
 建物の作成に用いる金属や生命維持に用いる酸素は、月表面に存在するレゴリスと呼ばれる砂や、その他の酸化物を分解(溶融塩電解)することによって生み出す。レゴリスの分解装置は小型のものの制作が予定されており、結果によって大型のものが作られる予定である。
また、電力の供給には二種類の太陽光発電を用いる。1つ目は宇宙太陽光発電 (SSPS)である。この方法では、人工衛星を飛ばすことで、上空で太陽光を受け、創出したエネルギーを地上の受信アンテナへとマイクロ波を用いて送る。2つ目はEquator panelである。赤道上にパネルをまくことで、太陽との位置関係に関係なく毎日一定量の電力の算出が期待される。
月には水が存在することが期待される。極域では太陽高度が低く、クレーター内では水が蒸発せずに残っている可能性が高い。また、月の隕石を調査した結果、「モガナイト」と呼ばれる物質が存在することが分かった。モガナイトは二酸化ケイ素で構成されており、通常の石と変わらないが、塩基性の水がなければ生成されないことが分かっている。地球外では初のモガナイトの発見から、、月の地下での水の存在が示唆されている。
 こうした仕組みから、地球からはなるべく独立した、自給自足の月社会を目指す。
 150人の職業の割り当てを考えるにあたり、南極調査隊を参考にした。その結果、以下のような割り当てになった:
インフラ・生命維持:40
研究者:25
建設・発展:25
教育・文化:20
安全保障:15
指導者:10
娯楽:15
ヘルパー:10
子ども・老人:30
という割り当てを提案する。このうち、インフラと建設を兼任するのが15人、研究と教育を兼任するのが10人、生命維持と安全保障を兼任するのが10人、文化と娯楽を兼任するのが5人いる。極限環境であるために、南極調査隊よりも生命維持や安全保障への人数の割り当てが多くなっている。また、この社会の運営方法として、指導者と直接話し合える環境を作り、生産年齢の全員で話し合う形を採用している。この方法は北欧の民主主義体系を参考にした。全員が生きていく責任を持っていくために、全員が話し合い、大きな縛りを設けずに運営する方法をとる。