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[AOS17-P02] 混合栄養性ハプト藻種とクリプト藻種の温度による増殖速度と光合成特性の変化

キーワード:混合栄養生物、Phaeocystis antarctica、Geminigera cryophila、南大洋
混合栄養性とは,1つの細胞で独立栄養性と従属栄養性の両方の能力を保持することを示す. Wilken et al.(2013)は,温暖化により,混合栄養生物の従属栄養性が高まるという仮説を提唱し,複数の研究がこれを支持している(例: Lin et al., 2018; Chen et al., 2024).しかし,仮説に反して,温度が高いほど従属栄養性よりも独立栄養性が高まった報告もある(Ferreira et al., 2022).従って,温度変化による栄養性の応答は,混合栄養生物の種によって異なる可能性がある.一方,温暖化の影響が顕著な極域において,温度に関連した混合栄養生物の栄養性の変化は知られていない.そのため,本研究では南大洋に生息する主要な混合栄養性ハプト藻種Phaeocystis antarcticaとクリプト藻種Geminigera cryophilaを用いて温度変化に伴う増殖特性と光合成生理状態の変化を報告する.
本研究では,f/2培地を用いて,P. antarcticaとG. cryophila NBRC 102822株のバッチ培養実験を行った.この際,白色LEDライトを用いて光合成有効放射量が30 µmol photons m-2 s-1となるよう調節し,明暗サイクルは12時間:12時間とした.インキュベーターの温度は-1℃,4℃,9℃に設定した.14日間培養を行い,血球計算盤またはセジウィックラフターチャンバーと光学顕微鏡を用いて,細胞の計数を行い,増殖速度を算出した.光合成生理状態に関して,FIRe蛍光光度計(Satlantic Inc.)を用いて,対数増殖期の光化学系Ⅱにおける光化学反応の最大量子収率(Fv/Fm)の測定を行った.また,クロロフィルa濃度で規格化した光吸収係数(a*ph)やクロロフィルa濃度で規格化した補助色素組成の比(accessory pigments/chl a)を算出した.さらに,炭素固定活性(P*max)は、13Cトレーサー法を用いた光合成―光曲線に基づいて算出した.
ハプト藻P. antarcticaに関して,9℃では増殖しなかったが,-1℃と4℃で増殖を示し,対数増殖期の増殖速度は両培養温度間で変化しなかった.一方,Fv/Fmにおいて,4℃の値は-1℃より有意に高かったことから,光化学系Ⅱにおける光合成活性は温度によって変化したことが示唆された.色素データを比較すると,クロロフィルa濃度で規格化した多くのカロテノイドの濃度比が4℃より-1℃で有意に高かった.この結果はクロロフィルa濃度で規格化した光吸収係数(a*ph)にも反映されており,低温化での補助色素濃度の増加が示唆された.クリプト藻G. cryophilaの増殖速度は4℃で最も高かった. Fv/Fmでは, 4℃の値は-1℃より有意に高く,P. antarcticaと同様に高温による光化学系Ⅱの光合成活性の上昇の傾向が見られた.
今後,温度による独立栄養性の変化をさらに評価するため,電子伝達速度に基づく光合成―光曲線から得られるパラメータ間の比較を検討している.
本研究では,f/2培地を用いて,P. antarcticaとG. cryophila NBRC 102822株のバッチ培養実験を行った.この際,白色LEDライトを用いて光合成有効放射量が30 µmol photons m-2 s-1となるよう調節し,明暗サイクルは12時間:12時間とした.インキュベーターの温度は-1℃,4℃,9℃に設定した.14日間培養を行い,血球計算盤またはセジウィックラフターチャンバーと光学顕微鏡を用いて,細胞の計数を行い,増殖速度を算出した.光合成生理状態に関して,FIRe蛍光光度計(Satlantic Inc.)を用いて,対数増殖期の光化学系Ⅱにおける光化学反応の最大量子収率(Fv/Fm)の測定を行った.また,クロロフィルa濃度で規格化した光吸収係数(a*ph)やクロロフィルa濃度で規格化した補助色素組成の比(accessory pigments/chl a)を算出した.さらに,炭素固定活性(P*max)は、13Cトレーサー法を用いた光合成―光曲線に基づいて算出した.
ハプト藻P. antarcticaに関して,9℃では増殖しなかったが,-1℃と4℃で増殖を示し,対数増殖期の増殖速度は両培養温度間で変化しなかった.一方,Fv/Fmにおいて,4℃の値は-1℃より有意に高かったことから,光化学系Ⅱにおける光合成活性は温度によって変化したことが示唆された.色素データを比較すると,クロロフィルa濃度で規格化した多くのカロテノイドの濃度比が4℃より-1℃で有意に高かった.この結果はクロロフィルa濃度で規格化した光吸収係数(a*ph)にも反映されており,低温化での補助色素濃度の増加が示唆された.クリプト藻G. cryophilaの増殖速度は4℃で最も高かった. Fv/Fmでは, 4℃の値は-1℃より有意に高く,P. antarcticaと同様に高温による光化学系Ⅱの光合成活性の上昇の傾向が見られた.
今後,温度による独立栄養性の変化をさらに評価するため,電子伝達速度に基づく光合成―光曲線から得られるパラメータ間の比較を検討している.