日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS18] 海洋物理学一般

2025年5月26日(月) 13:45 〜 15:15 201B (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:土井 威志(JAMSTEC)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、座長:土井 威志(JAMSTEC)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)

14:15 〜 14:30

[AOS18-09] 北海道沿岸沖のオホーツク海で観測される流氷渦のPIV解析

*板野 稔久1青嵜 勇星1 (1.防衛大学校)

キーワード:海氷、オホーツク海、海洋渦、流氷渦

オホーツク海の最南端にあたる北海道沿沖の海域は,能取岬から宗谷岬および知床岬まで伸びるゆるやかに湾曲した海岸線と、200mより浅い大陸棚域と2000mより深い千島海盆が隣り合った特徴的な地形を有する。樺太東岸に沿って南下する東樺太海流と宗谷海峡から流入する宗谷暖流がぶつかり合うことで、複雑な海流分布を呈し、大小・高低さまざまな海洋渦が形成することが知られている(e.g. Wakatsuchi & Ohshima, 1990; Wakatsuchi & Martin, 1991; Ohshima et al. 2002)。この海域は、北半球における季節性の海氷の南限でもあるため、冬季、それらの渦は浮氷によって可視化され、衛星画像やレーザー画像でその挙動を解析することが可能となる。この特性を利用して、昨年に引き続き、静止気象衛星ひまわりの可視画像上に写った海氷をPIV解析し、流氷渦を取り巻く流速場の導出を試みた。
北海道オホーツク海沿岸沖の海域では、主に3種類の流氷渦が観測される。一つ目は、千島海盆上を中心に存在する高気圧性渦(Wakatsuchi & Ohshima, 1990)、2つ目は北海道の北東岸に沿って複数個の渦列として形成する順圧不安定渦、3つ目は知床半島沖に形成する低気圧性渦である。3つ目の知床沖低気圧性渦と2つ目の渦は、宗谷暖流に対して前者が後者のすぐ下流側に、海岸線からほぼ同じ距離に形成するため、一見同種の渦に思われるが、後者が浅い大陸棚上に渦列として、前者は水深の大きな千島海盆上に孤立渦として観測されるため、さしあたり区別することとした。今回、海上自衛隊のP-3C航空機による監視飛行中に流氷渦の航空写真が取得された2002年3月8日および2003年1月27日の事例を中心に解析を進めた。2002年の事例では高気圧性渦に加えて順圧不安定渦が、2003年の事例では知床沖低気圧性渦に加えて高気圧性渦が同時に観測されている。
衛星可視画像のPIV解析によると、浮氷で可視化された領域よりはるかに広い範囲で渦に伴う循環が解析された。また、順圧不安定渦では、一応後方砕波しているものの、ほぼ定在する様子がみられ、宗谷暖流とほぼ同じ強さの反流が沖側に存在することが確認された。一方、知床沖低気圧性渦については、東樺太海流由来の寒流が網走付近で着岸後に湾曲した海岸線に沿った沿岸流となることで低気圧性の循環を形成し、その中心部で発生することが確認された。宗谷暖流とは全く無関係であり、順圧不安定渦(Wakatsuchi & Ohshima, 1990; Ohshima & Wakatsuchi 1990)とは別種の渦であることが示唆された。