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[AOS20-02] 北太平洋亜熱帯モード水が一次生産と窒素固定に及ぼす影響の解明

キーワード:生物地球化学、一次生産、窒素固定、亜熱帯モード水、西部北太平洋
北太平洋亜熱帯モード水(STMW)は、水温と塩分が鉛直方向に一様という特徴を持ち、黒潮続流域南方における冬季の鉛直混合によって形成される。STMW形成時には鉛直混合により下層から栄養塩が供給されるため、一次生産の向上に繋がることが推察される。しかしながら、現場観測によりSTMWと生物地球化学プロセスとの関係を調べた例は少なく、STMWの一次生産への影響については不明な点が多い。本研究では、STMW形成域周辺において冬季と夏季の船舶観測により一次生産を含めた生物地球化学パラメーターを調査し、STMWとの関係を明らかにした。
観測は、冬季(2023年3月、2024年3月)および夏季(2022年8月、2023年7月、2024年7月)に東京海洋大学練習船「汐路丸」に乗船し、北緯27〜33度の東経141.5度トランゼクトにおいて実施した。CTDおよび光観測のデータを使って、STMWの厚み、表層混合層深度、有光層深度を算出した。一次生産、窒素固定、栄養塩(硝酸塩およびリン酸塩)の試水はCTDニスキン採水システムにより採取した。一次生産と窒素固定は、それぞれ13Cおよび15Nトレーサー法で測定した。硝酸塩およびリン酸塩は、オートアナライザーを用いた吸光光度法で測定し、低濃度試水については長光路吸光光度法で測定した。
STMWは、冬季には表層混合層として検出されるケースが多く、夏季には有光層以深に沈み込んでいた。一次生産は全体的に冬季に高く、夏季に低かった。窒素固定は、冬季には北緯29度と北緯27度でのみ高い活性が、夏季には全測点で活性が認められた。表層における硝酸塩およびリン酸塩の濃度は夏季より冬季の方が高い傾向が認められた。一次生産が行われる有光層を考慮し、0~150 dbarに位置するSTMWの厚みと生物地球化学パラメーターとの関係を調べたところ、有光層内の一次生産積算値、表層栄養塩濃度、0~150 dbarの栄養塩積算値と有意な正の相関を示した。これらの結果から、冬季のSTMWは、栄養塩を多く含み、上層の栄養塩濃度を高め、一次生産の向上に寄与していることが示唆された。夏季は、有光層以深にSTMWが沈み込み、有光層内への栄養塩供給が抑制されるため、STMWの一次生産への寄与は小さいことが示唆された。一方、0~150 dbarに位置するSTMWの厚みと有光層内の窒素固定積算値の間には有意な負の相関が認められた。これは、STMWが有光層以深に沈み込んで表層の硝酸塩が枯渇した夏季には窒素固定が一次生産の窒素源として重要となるが、STMWが有光層内に存在する冬季には硝酸塩の表層への供給が一次生産の窒素源として重要となることを示している。
観測は、冬季(2023年3月、2024年3月)および夏季(2022年8月、2023年7月、2024年7月)に東京海洋大学練習船「汐路丸」に乗船し、北緯27〜33度の東経141.5度トランゼクトにおいて実施した。CTDおよび光観測のデータを使って、STMWの厚み、表層混合層深度、有光層深度を算出した。一次生産、窒素固定、栄養塩(硝酸塩およびリン酸塩)の試水はCTDニスキン採水システムにより採取した。一次生産と窒素固定は、それぞれ13Cおよび15Nトレーサー法で測定した。硝酸塩およびリン酸塩は、オートアナライザーを用いた吸光光度法で測定し、低濃度試水については長光路吸光光度法で測定した。
STMWは、冬季には表層混合層として検出されるケースが多く、夏季には有光層以深に沈み込んでいた。一次生産は全体的に冬季に高く、夏季に低かった。窒素固定は、冬季には北緯29度と北緯27度でのみ高い活性が、夏季には全測点で活性が認められた。表層における硝酸塩およびリン酸塩の濃度は夏季より冬季の方が高い傾向が認められた。一次生産が行われる有光層を考慮し、0~150 dbarに位置するSTMWの厚みと生物地球化学パラメーターとの関係を調べたところ、有光層内の一次生産積算値、表層栄養塩濃度、0~150 dbarの栄養塩積算値と有意な正の相関を示した。これらの結果から、冬季のSTMWは、栄養塩を多く含み、上層の栄養塩濃度を高め、一次生産の向上に寄与していることが示唆された。夏季は、有光層以深にSTMWが沈み込み、有光層内への栄養塩供給が抑制されるため、STMWの一次生産への寄与は小さいことが示唆された。一方、0~150 dbarに位置するSTMWの厚みと有光層内の窒素固定積算値の間には有意な負の相関が認められた。これは、STMWが有光層以深に沈み込んで表層の硝酸塩が枯渇した夏季には窒素固定が一次生産の窒素源として重要となるが、STMWが有光層内に存在する冬季には硝酸塩の表層への供給が一次生産の窒素源として重要となることを示している。