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[AOS21-01] 過去40年間における日本近海の海洋熱波 ~長周期の海面水温変動との関係~
キーワード:海洋熱波、気候変動、地球温暖化、MGD-SST
海洋熱波は極端な高水温が数日以上続く現象であり、日本近海で発生する海洋熱波は水産業(Miyama et al. 2021)や日本の気温上昇(Sato et al. 2024)を通じて人間活動にも影響を及ぼすことが指摘されている。近年、海洋熱波が世界中で多く発生するようになってきており(Oliver et al. 2018; Lee et al. 2023)、地球温暖化を含む気候変動が海洋熱波に影響を及ぼしていることが指摘されているものの(Joh and Di Lorenzo 2017; Kawakami et al. 2024)、日本近海の海洋熱波に対して長期的な変動がどの程度影響を及ぼしてきたかに関しては不明な点が残されている。本研究では、衛星観測に基づく40年間の海面水温データセット「MGDSST」(栗原他2006)を用いて、日本近海において長期的な変動が海洋熱波の発生に与える影響を定量化することを目的とする。日本近海を緯度5度経度10度で分割した10領域で解析を行ったところ、海洋熱波は40年平均でおよそ年間30日程度発生しており、最長の持続時間は109日であった。より長期的な海面水温変動が海洋熱波の発生にどの程度影響を及ぼしているかを定量化するため、まず、線形トレンドを除去した海面水温を用いて海洋熱波の検出を行った。その結果、2010年代以降の海洋熱波の発生日数が10領域平均で65%減少した。さらに、線形トレンドを除去した時系列に対して1年周期のハイパスフィルタをかけた場合は56%の、8年周期のハイパスフィルタをかけた場合は20%の海洋熱波が検出されなくなった。これは海洋熱波に比べて長期的な変動が海洋熱波の発生しやすい条件をもたらしていることを示している。こうした日本近海の長期変動は、北太平洋に強い変動シグナルを持つ空間パターンの変動と同期していた。これらの空間パターンは北太平洋の海面水温のEOF第二モード(Victoriaモード)やEOF第三モードと強い相関を持っており、北太平洋の変動モードが日本近海の海洋熱波の発生に影響を及ぼしていることが示唆された。また、このことは北太平洋の変動予測の高精度化が日本近海の海洋熱波の予測の高精度化につながる可能性も示唆している。