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[AOS21-06] 東部備讃瀬戸から西部播磨灘への水塊貫入が植物プランクトンの動態に与える影響
キーワード:混合域、成層域、植物プランクトン動態、栄養塩供給
瀬戸内海は「瀬戸と灘」の連鎖系である。瀬戸は強い潮流により上下層の海水が鉛直的に攪拌されており、密度差の小さい混合域である。一方の灘は、表層海水が温められることにより、鉛直的な海水の密度差が形成される成層域である。成層域と混合域の移行域で、混合域から成層域に向かって密度流が発生する。この密度流は等密度に沿って進入し、栄養塩が枯渇する成層域上層に栄養塩を供給し、一次生産を高める可能性が指摘されている。瀬戸内海ではこの2つの海域が隣接した状況が至る所に作り出され、混合域はその場の下層の栄養塩を上層に運ぶのみならず、成層域との流動や水平混合によって、成層域下層の栄養塩を成層域に再分配する役割を持つ(Takeoka et al., 1993)。本研究では、備讃瀬戸から播磨灘部の水塊構造並びに、水質変動の様子を調べ、瀬戸から灘部への水塊の流入の過程を具体的に明かすとともに、水塊の流入が基礎生産に与える影響を評価することを目的とした。
混合域である備讃瀬戸から成層域の播磨灘への移行域に定めた9つの定点において、成層が強まる2023年4–9月、2024年5–9月にかけて原則、月に一回観測を行った。各定点でCTDを用いて水温、塩分、σt、クロロフィル蛍光値を鉛直的に測定した。得られたσtの値から各定点を混合域と成層域の2つの水域に区別した。混合域の中で、成層域に最も近い定点の水塊と、成層域の水塊が等密度になる深度を混合域からの貫入経路として試算した。全定点で採水を行い、得られた試料から栄養塩濃度とクロロフィル a(Chl a)濃度を測定した。次いで、透明度板を用いて透明度を測定し、透明度の3倍までの深度を有光層とみなした。
両年共に、夏季になるにつれて播磨灘側での表層と底層の密度差は大きくなり、成層が強まっていた。ほとんどの月で、混合域水塊の成層域への流入は約10–20 m付近で起こっていた。成層の弱い月では水塊の流入によるChl a濃度の増加は見られなかった。一方で、成層が強い月では水塊の流入深度で明確なChl a濃度の増加が見られた。調査期間中の成層域への水塊の貫入は有光層内であった。光環境は植物プランクトンの増殖に十分であることから、混合域水塊の栄養塩が成層域に流入することで一次生産が高まる可能性が考えられた。混合域と成層域下層の栄養塩濃度は両年共に夏季になるにつれて濃度が増加していた。一方で成層域の上層では栄養塩濃度は低下傾向にあった。瀬戸内海で低下傾向にあるDIN濃度は混合域と枯渇した成層域上層では最大14.9倍の差があった。このことから、夏季になるにつれて成層域下層の栄養塩が混合域に回帰することで混合域の栄養塩濃度が高まり、成層域に混合域水塊が流入することで成層域の一次生産が高まる可能性が考えられた。
混合域である備讃瀬戸から成層域の播磨灘への移行域に定めた9つの定点において、成層が強まる2023年4–9月、2024年5–9月にかけて原則、月に一回観測を行った。各定点でCTDを用いて水温、塩分、σt、クロロフィル蛍光値を鉛直的に測定した。得られたσtの値から各定点を混合域と成層域の2つの水域に区別した。混合域の中で、成層域に最も近い定点の水塊と、成層域の水塊が等密度になる深度を混合域からの貫入経路として試算した。全定点で採水を行い、得られた試料から栄養塩濃度とクロロフィル a(Chl a)濃度を測定した。次いで、透明度板を用いて透明度を測定し、透明度の3倍までの深度を有光層とみなした。
両年共に、夏季になるにつれて播磨灘側での表層と底層の密度差は大きくなり、成層が強まっていた。ほとんどの月で、混合域水塊の成層域への流入は約10–20 m付近で起こっていた。成層の弱い月では水塊の流入によるChl a濃度の増加は見られなかった。一方で、成層が強い月では水塊の流入深度で明確なChl a濃度の増加が見られた。調査期間中の成層域への水塊の貫入は有光層内であった。光環境は植物プランクトンの増殖に十分であることから、混合域水塊の栄養塩が成層域に流入することで一次生産が高まる可能性が考えられた。混合域と成層域下層の栄養塩濃度は両年共に夏季になるにつれて濃度が増加していた。一方で成層域の上層では栄養塩濃度は低下傾向にあった。瀬戸内海で低下傾向にあるDIN濃度は混合域と枯渇した成層域上層では最大14.9倍の差があった。このことから、夏季になるにつれて成層域下層の栄養塩が混合域に回帰することで混合域の栄養塩濃度が高まり、成層域に混合域水塊が流入することで成層域の一次生産が高まる可能性が考えられた。