17:15 〜 19:15
[AOS21-P09] 利根川プリューム域における河川系水分布と鉛直混合
キーワード:乱流観測、栄養塩循環、河川プリューム
利根川から流出する河川水は、沿岸海域の表層に栄養塩を供給している。利根川由来の低塩分水は、河口付近では河川プリュームを形成することが衛星観測から捉えられているが、その構造や時間変動、物質を海域に再分配する役割を果たす混合については理解が十分ではない。これまでの現場観測から塩分の水準や広がりの程度に関する情報は得られているものの、プリュームが形成される浅海域においては、漁業活動が活発であることもあり観測は十分に行われておらず、特にプリュームの動態を把握するのに必要な乱流観測は実施されていない。そこで本研究では、漁業者の協力を得て利根川河口浅海域において水温・塩分・流速・乱流の観測を行い、利根川からの流出水の形状や混合の特徴について解析した。
本研究グループでは、2024年1月以来、はさき漁協所属の第三東洋丸を用いて毎月調査を実施している。本研究では、2024年7月9, 10日に実施した調査結果を紹介する。観測線は河口から北東方向に約5 km (水深15–35 m)のラインを南北(北側、南側をそれぞれAライン、Bラインとした)に設定した。それぞれの観測線上で等間隔に4点の観測点を設定し、CTD・ドップラー流速計 (ADCP)・乱流計 (VMP)観測を実施した。
これに加えて、衛星Sentinel-2 (10 m解像度、10日周期)と静止気象衛星Himawari-9 (100 m解像度、2.5分周期)、気象変動観測衛星しきさい(GCOM-C) (250 m―1 km解像度、2―3日周期)の衛星画像を使用して、観測日前後の利根川河口域の様子を調べた。
利根川では川幅1 km程度の北向きに開いた河口から、河川水が流出している。河口内での海水との混合が大きく、河口流出流の塩分は31程度であった。
Sentinel-2の海色画像からは、河川プリュームの形状を確認することができた。Himawari-9のクロロフィルa 濃度分布は、Sentinel-2でのプリュームのパターンとよく対応していたことから、晴天時には利根川河口域のプリュームの時間変動の指標となると考えられる。
観測月前月の2024年6月には、プリュームが15回確認できた。ほとんどで午前中に北向きのプリュームが確認され、その後拡大していく傾向にあった。プリュームの形状として、(i) 流出流が北向きに細長く流出する場合と、(ii) 右方向に旋回して千葉県沿岸に流れていく場合、(iii) 茨城県沿岸に接触して流れていく場合が確認できた。
7月9日のBラインでは、水深1 mで塩分31–32の低塩分層が確認された。塩分はBライン上で沖にいくほど低塩分になっており、沖側で3 mと最も厚くなっていることが分かった。乱流運動エネルギー散逸率は全体を通して10-8-10-6 W/kgの範囲にあった。Bライン全体にわたり、低塩分層直下と、Bライン河口側の海底部で乱流が強い傾向が見られた。流向の鉛直分布は2日間とも傾圧的であり、1日目は南西方向、2日目は北東方向が強い傾向があり、潮位変化と一致していた。
Bラインの表層低塩分層全体において、クロロフィルa濃度や濁度、水温が極大となる傾向があり、河川水の存在が示唆された。また、多くの観測点において、クロロフィルa濃度と乱流運動エネルギー散逸率が極大となる深度が一致しており、そこでは流速鉛直シアーが大きい傾向が見られた。この結果から、プリュームの直下で混合による河川水の拡散が示唆される。今後は、低塩分層の詳細な乱流観測を行い、外的要因によってプリュームでどの程度の混合が発生しているかを明らかにし、またプリューム全体の動態を把握するために、より時間・空間解像度の高い観測を行う予定である。
本研究グループでは、2024年1月以来、はさき漁協所属の第三東洋丸を用いて毎月調査を実施している。本研究では、2024年7月9, 10日に実施した調査結果を紹介する。観測線は河口から北東方向に約5 km (水深15–35 m)のラインを南北(北側、南側をそれぞれAライン、Bラインとした)に設定した。それぞれの観測線上で等間隔に4点の観測点を設定し、CTD・ドップラー流速計 (ADCP)・乱流計 (VMP)観測を実施した。
これに加えて、衛星Sentinel-2 (10 m解像度、10日周期)と静止気象衛星Himawari-9 (100 m解像度、2.5分周期)、気象変動観測衛星しきさい(GCOM-C) (250 m―1 km解像度、2―3日周期)の衛星画像を使用して、観測日前後の利根川河口域の様子を調べた。
利根川では川幅1 km程度の北向きに開いた河口から、河川水が流出している。河口内での海水との混合が大きく、河口流出流の塩分は31程度であった。
Sentinel-2の海色画像からは、河川プリュームの形状を確認することができた。Himawari-9のクロロフィルa 濃度分布は、Sentinel-2でのプリュームのパターンとよく対応していたことから、晴天時には利根川河口域のプリュームの時間変動の指標となると考えられる。
観測月前月の2024年6月には、プリュームが15回確認できた。ほとんどで午前中に北向きのプリュームが確認され、その後拡大していく傾向にあった。プリュームの形状として、(i) 流出流が北向きに細長く流出する場合と、(ii) 右方向に旋回して千葉県沿岸に流れていく場合、(iii) 茨城県沿岸に接触して流れていく場合が確認できた。
7月9日のBラインでは、水深1 mで塩分31–32の低塩分層が確認された。塩分はBライン上で沖にいくほど低塩分になっており、沖側で3 mと最も厚くなっていることが分かった。乱流運動エネルギー散逸率は全体を通して10-8-10-6 W/kgの範囲にあった。Bライン全体にわたり、低塩分層直下と、Bライン河口側の海底部で乱流が強い傾向が見られた。流向の鉛直分布は2日間とも傾圧的であり、1日目は南西方向、2日目は北東方向が強い傾向があり、潮位変化と一致していた。
Bラインの表層低塩分層全体において、クロロフィルa濃度や濁度、水温が極大となる傾向があり、河川水の存在が示唆された。また、多くの観測点において、クロロフィルa濃度と乱流運動エネルギー散逸率が極大となる深度が一致しており、そこでは流速鉛直シアーが大きい傾向が見られた。この結果から、プリュームの直下で混合による河川水の拡散が示唆される。今後は、低塩分層の詳細な乱流観測を行い、外的要因によってプリュームでどの程度の混合が発生しているかを明らかにし、またプリューム全体の動態を把握するために、より時間・空間解像度の高い観測を行う予定である。