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[AOS21-P10] 動物プランクトン検出モデル構築における学習データの改善
キーワード:沿岸性動物プランクトン、深層学習、画像処理、物体検出
動物プランクトンの分布実態の把握は、海洋生態系の変動メカニズムを解明する上で必要不可欠である。従来の動物プランクトン調査では、ネットを用いた手法が主流であるが、当該手法は船舶に依存するため、取得できるデータの時空間解像度が低いという問題がある。したがって、広域における動物プランクトン相の把握にはデータが不足している。これに対し、画像を用いた調査手法は、フロート技術や係留ブイなどの既存の広域観測網に適用できる可能性があり、近年では、多様な光学技術を応用したセンシングデバイスの開発が行われている。しかし、このような観測技術の普及には、大量に取得される画像を一貫して解析する技術の確立が必須であり、それには動物プランクトン検出に特異的な課題がある。本研究ではシャドウグラフカメラによって撮影された画像を用いて動物プランクトン検出モデルを構築し、その過程で得られた技術的課題について検討した。駿河湾をモデル海域とし、富士川河口付近から沖合に向かう4つの観測点で、2023年の6月〜9月の各月2回、シャドウグラフカメラによる現場観測を実施した。撮影された動物プランクトンに対してラベル付け(アノテーション)を行い合計4949ラベルの学習データを作成した。これらのデータを用いて、state-of-the-art (SOTA) モデルであるUltralytics社 YOLOv8を用いた動物プランクトンの検出モデル開発を行った。動物プランクトンは28分類群撮影することができたが、過学習を防ぐため、50以上の学習データが集まった分類群(7分類群)のみを用いてモデルの構築を行った。結果として、多くの学習データ(1000程度)が集まったカイアシ類、ヤムシ類、放散虫類については、検出モデルの評価指標である適合率、再現率はどちらも70%以上の値が得られた。この3分類群と比較して、学習データが少なかった4分類群は十分な適合率、再現率が得られなかった。そのため、データ拡張によってデータの不足を改善し、再度構築したモデルによって再び性能評価を実施することとした。報告では、データ拡張による精度改善の結果と実用性の評価についても発表する。