日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-BG 地球生命科学・地圏生物圏相互作用

[B-BG02] 岩石生命相互作用とその応用

2025年5月26日(月) 10:45 〜 12:15 301A (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:鈴木 庸平(東京大学大学院理学系研究科)、白石 史人(広島大学 大学院先進理工系科学研究科 地球惑星システム学プログラム)、福士 圭介(金沢大学環日本海域環境研究センター)、西原 亜理沙(国立研究開発法人理化学研究所 バイオリソース研究センター )、座長:白石 史人(広島大学 大学院先進理工系科学研究科 地球惑星システム学プログラム)、西原 亜理沙(国立研究開発法人理化学研究所 バイオリソース研究センター)

11:00 〜 11:15

[BBG02-07] 粉砕したトレモライトの初期溶解挙動

*中山 陽斗1福士 圭介2 (1.金沢大学理工学域地球社会基盤学類、2.金沢大学環日本海域環境研究センター)

キーワード:溶解、岩石風化促進、初期溶出挙動、トレモライト

近年、効果的かつ環境への負荷が少ないCO2除去技術の一つとして岩石風化促進技術(ERW)が注目されている。ERWでは、鉱山などで細かく粉砕された、ケイ酸塩鉱物主体の岩石を農地に散布する。岩石は粉砕によって比表面積が大きくなるため、化学的風化が促進され、大気中のCO2を素早く除去する。ERWによるCO2除去能力の推定には、用いられる岩石の構成鉱物の溶解速度データが必要になる。これまでの研究では、定常状態におけるケイ酸塩鉱物の溶解速度データは室内実験で求められてきた。しかし、ERWによるCO2除去を検討するうえでは、初期の高い溶解速度も考慮することが重要である。本研究では、トレモライトをERWにおけるCa供給源のモデル物質としてとらえ、その初期溶解挙動をpH 6 - 10.5の範囲でバッチ反応器を用いて検討した。
本研究で得られたトレモライト中のSi、Mg、Caの初期溶出は、非化学量論的な挙動を示した。Siについては系統的な変化が観察され、pHの増加とともに溶解速度が増加した。Siの初期溶解速度は、定常状態のSi溶解速度の約100倍であった。MgはpH9と10.5ではSiに対して化学量論的に溶出したが、pH6ではSiに対して優先的に溶出した。また、Mgの溶出量はpHの低下とともに増加するというSiとは逆の傾向を示した。よって、Mgは鉱物-水界面でのMg2+-H+イオン交換反応によって溶出されると考えられる。 Caの溶出はSiよりも速く、pHに依存しなかった。したがって、Caの溶出メカニズムはMgとは異なると考えられる。すべての反応系において、Na+濃度は0.01 mol/Lで統一されていた。したがって、Ca2+-Na+イオン交換反応によってCaが大量に放出された可能性がある。このトレモライト中のCaの初期溶出挙動は、ERWに適用するのに有益である可能性がある。トレモライトは、少なくとも散布後数時間は、土壌のpH条件に関係なくCaを供給する可能性がある。また、モンゴルのアルカリ湖のような高塩濃度の環境では、多量のCaを溶出する可能性がある。