日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-CG 地球生命科学複合領域・一般

[B-CG06] 地球史解読:冥王代から現代まで

2025年5月28日(水) 15:30 〜 17:00 301A (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:小宮 剛(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)、白石 史人(広島大学 大学院先進理工系科学研究科 地球惑星システム学プログラム)、澤木 佑介(東京大学大学院総合文化研究科)、柏原 輝彦(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、座長:吉田 聡(東北大学東北アジア研究センター)、小宮 剛(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)

15:30 〜 15:45

[BCG06-19] オルドビス紀中期の寒冷化の要因をヘリウム同位体から探る

*高畑 直人1、Birger Schmitz2、Shiyong Liao3磯﨑 行雄4 (1.東大大気海洋研、2.スウェーデンルンド大学、3.中国科学院、4.東大総合文化)

キーワード:オルドビス紀中期、氷河時代、地球外物質、ヘリウム同位体、L型コンドライト

オルドビス紀末に大規模な氷河時代(Hirnantian Ice Age)がおきたことが知られており、その寒冷化が大量絶滅を引き起こしたとする説がある。この寒冷化が始まった要因として、オルドビス紀中期の地層中に大量のL型コンドライト隕石が産することを根拠に、Schmitz et al. (2019)はその当時に巨大な隕石が地表に爆発粉砕され、隕石シャワーと宇宙塵の大量流入が起きた可能性を指摘した。世界各地でオルドビス紀中期・後期の隕石クレーターが確認されており、この時期に小惑星帯で大規模な衝突が起きたために大量の隕石や宇宙塵が地球に降り注いだと考えられている(例えばTomkins et al., 2024)。すでにスウェーデンではオルドビス紀中期層中から、地球外物質(L型コンドライト隕石)の破片に加えてヘリウム-3(3He)の濃度が急増したことが確認されている。3Heは地球の通常の岩石にはあまり見られないことから、3Heの濃度上昇は隕石や宇宙塵などの地球外物質の流入増加を示唆している。
本研究では、L型コンドライト由来のクロムスピネルが検出された中国南部湖北省のほぼ同年代層についてヘリウムの同位体比を分析した。試料はPuxi River セクション(Zhang et al., 2024)において、スウェーデンの地層と同層準とされている区間について分析した。試料は細かく砕いて洗浄した後、アルミホイルに包んで加熱炉に導入し、真空下で1400℃で加熱してヘリウムを抽出しその同位体比を分析した。その結果、スウェーデンと同じように4.7億年前を境に3Heが急増し、その後の区間でも高かった。3Heの濃度はスウェーデンと比べると低いが、その時期やパターンはよく似ている。互いに離れた場で堆積した両セクションの地層は、同じイベントを記録していると考えられ、4.7億年前に地球規模でかなりの長期間、大量の地球外物質が流入したと推定される。

Reference: Schmitz et al. (2019), Science Advances, 5, eaax4184; Tomkins et al. (2024), EPSL, 646, 118991; Zhang et al. (2024), EPSL, 643, 118891