日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-CG 地球生命科学複合領域・一般

[B-CG06] 地球史解読:冥王代から現代まで

2025年5月28日(水) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:小宮 剛(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)、白石 史人(広島大学 大学院先進理工系科学研究科 地球惑星システム学プログラム)、澤木 佑介(東京大学大学院総合文化研究科)、柏原 輝彦(国立研究開発法人海洋研究開発機構)

17:15 〜 19:15

[BCG06-P10] カナダ・オンタリオ州シャーマン鉱山における縞状鉄鉱層と黒色頁岩の成因的関係に関する研究

*光岡 優1石田 章純1掛川 武1 (1.国立大学法人東北大学)


キーワード:太古代、縞状鉄鉱層、黄鉄鉱、黒色頁岩

海底熱水活動の縞状鉄鉱層(BIF)の形成における役割は未だに明らかになっていない。多くのBIFは硫化物に富む黒色頁岩上に発達することが知られており,このような黒色頁岩には海底熱水活動の情報が含まれている可能性がある。そこで本研究ではカナダ・オンタリオ州シャーマン鉱山の硫化物に富む黒色頁岩について、熱水活動とそれに伴う堆積環境の変化を調査するために、地質学的および地球化学的研究を実施した。地質調査によって黒色頁岩とチャートの岩相と鉱化作用の変化を確認した。特に黒色頁岩は層序を通じて様々な硫黄含有量と異なる種類の黄鉄鉱を示す。これは、熱水活動の強度と性質が時間の経過とともに変化したことを示している。初期段階では比較的穏やかな熱水活動が黒色頁岩の堆積に寄与した。熱水活動が活発化するにつれて硫黄供給が増加し、コロフォーム状黄鉄鉱や塊状硫化物が形成された。さらに、その後の熱水流体の組成の変化によりチャートと酸化物BIFが堆積したと考えられる。硫黄同位体分析によって有機物に富む堆積物(黒色頁岩)中の硫酸還元細菌の活動が明らかになった。このような黒色頁岩は最も初期の堆積物を表している。有機炭素同位体組成(δ13Corg)の分析から黒色頁岩中のメタン生成およびメタン資化性微生物の存在を示唆された。これらは熱水からでのメタンの供給を示している。有機物の炭素同位体組成が層序とともに変化しており,これは熱水系の進化に伴う生態学的変化に対応している可能性が高い。一方、塊状硫化物の硫黄同位体組成(δ34S)は硫黄が海底熱水活動に由来することを示している。これらの発見は、熱水活動がBIFの形成前に堆積環境ですでに活発であり、堆積物と周辺環境の特性に影響を与えるのに重要な役割を果たしたことを示している。