日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-CG 地球生命科学複合領域・一般

[B-CG07] 微化石生物学の最前線

2025年5月27日(火) 10:45 〜 12:15 301B (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:堀 利栄(愛媛大学大学院理工学研究科 地球進化学)、氏家 由利香(高知大学)、野牧 秀隆(海洋研究開発機構)、座長:堀 利栄(愛媛大学大学院理工学研究科 地球進化学)、野牧 秀隆(海洋研究開発機構)、氏家 由利香(高知大学)

11:30 〜 11:45

[BCG07-10] Fidelity of symbiotic Dinoflagellate diversity of large benthic foraminifera in severe shallow-reefs compared to deep-reefs

*前田 歩1,2濱本 耕平3,2、西島 美由紀2、井口 亮2鈴木 淳2 (1.東京大学 大気海洋研究所、2.産業技術総合研究所 地質調査総合センター、3.愛媛大学 沿岸環境科学研究センター)

キーワード:大型底生有孔虫、有孔虫、サンゴ礁、褐虫藻、DNAメタバーコーディング、共生

サンゴ礁の生態系はSymbiodiniaceae科の渦鞭毛藻類とその他の海洋生物との共生関係によって支えられている。サンゴ礁に生息する大型底生有孔虫は、サンゴ礁の基質形成に寄与している。 Soritinae亜科に属する大型底生有孔虫は、Symbiodiniaceae科の渦鞭毛藻類を共生させているが、Soritidae亜科と共生関係を築くSymbiodiniaceaeの多様性や、空間的・個体群レベルでの変動についてはまだ解明されていない。ここでは、沖縄島・大度と、阿嘉島にある3つのサンゴ礁の異なる水深9地点から採取したAmphisorus kudakajimensisの共生Symbiodiniaceae群集の多様性を調査した。また、大度の採取地点の海水サンプルも採取し、環境サンプル中のSymbiodiniaceae群集とA. kudakajimensis中の群集を比較した。次世代シーケンシング技術とSymbiodiniaceaeのリボソームRNA遺伝子のITS2の解析に特化したSymPortalパイプラインにより、154検体から39の系統が得られた。優占系統はCladocopiumFreudenthalidiumHalluxiumであり、1つの検体では複数の系統がSymbiodiniaceae群集を構成していた。Halluxiumは、阿嘉島の深い水深の(9m以上)群集で優占していたが、浅い水深のリーフフラット(2m未満)では検出されなかった。大度の海水サンプルでは、主要な属はSymbiodiniumDurusdiniumA. kudakajimensisの共生する系統とは異なるCladocopiumであった。Soritinae亜科に共生するCladocopiumFreudenthalidiumHalluxiumは、文献の報告例でもサンゴ礁の海水および堆積物サンプルから発見された遊離生活性Symbiodiniaceaeでは優占種ではなかった。したがって、A. kudakajimensisのSymbiodiniaceae群集は安定しており、宿主のA. kudakajimensisが柔軟なSymbiodiniaceae群集を持ちうるにもかかわらず周辺の遊離生活性のSymbiodiniaceaeとは異なっている可能性がある。Symbiodiniaceaeの多様性は、8つの深層個体群の方が2つの浅層個体群よりも高かった。浅いサンゴ礁の環境変動が大きい状況下におけるA. kudakajimensisCladocopiumFreudenthalidiumの特定の組み合わせは、共生生物群集が多様性の乏しい組み合わせに収束し、強い紫外線にさらされる浅い水域の厳しい環境に適応していることを示唆している。本研究の結果から、将来の気候変動に対する宿主-共生生物の適応パターンについての示唆が得られた。