17:15 〜 19:15
[BCG07-P06] 浮遊性有孔虫Globigerinella siphoniferaの遺伝型と共生藻の対応関係

キーワード:浮遊性有孔虫、光共生、隠蔽種、分子系統解析
浮遊性有孔虫は炭酸塩の殻を持つ海洋性単細胞真核生物であり、微化石として年代決定や古環境復元に用いられている生物である. また、現生の浮遊性有孔虫のうち、17種においては共生藻の存在が確認されており、基本的には1種の有孔虫に1種の共生藻がいるという高い特異性が成り立っている.
Globigerinella siphoniferaも共生藻をもつ現生種であるが、本種ではハプト藻とペラゴ藻の2種の共生藻が確認されており,各々が異なる遺伝型の宿主と対応することが知られている. また、現生のGlobigerinella属は4つの形態種(G. adamsi,G. siphonifera, G. calida, G. radians) が知られているが、G. adamsiを除く3種については形態的識別が難しく,G. siphoniferaのバリエーションとしてまとめられることも多い(以降,G. siphonifera plexusとする).このG. siphonifera plexusには,大きくType I, II, IIIの遺伝型があり、さらに詳細に計12の遺伝型に分られている(Weiner et al., 2014). なお、形態種と遺伝型の対応関係についてもWeiner et al.(2015)で整理されているものの、本研究ではすべてG. siphonifera plexusとして扱うこととする. このようにG. siphonifera plexus内には隠蔽種と想定される遺伝型が多数存在することと、少なくとも二つの異なる共生藻が存在することが確認されてきたが、どの遺伝型にどの藻類が共生しているか、詳細には明らかにされてこなかった. そこで本研究では、G. siphonifera plexusの遺伝型と共生藻の対応関係を明らかにし、G. siphonifera plexusの共生関係の系統進化について検討した.
本研究では、白鳳丸KH-17-4次航海、H-19-6次航海、および相模湾真鶴沖で採取された計101個体を解析に用いた.有孔虫の遺伝型識別にはrRNA遺伝子の部分領域を、共生藻識別にはrRNA遺伝子の部分領域と葉緑体遺伝子(rbcL遺伝子)の部分領域を用いた.得られた3つの領域について、最尤法を用いて各々系統樹を作成し、宿主と共生藻の対応関係を明らかにした.
宿主の系統においては、先行研究で確認されていた遺伝型のうちType IIIb以外の11の遺伝型が特定された. 共生藻のrRNA遺伝子から推定された系統は、大きくハプト藻とペラゴ藻に分類された. ハプト藻では、Chrysochromulina andersoniiの1種のみが同定され、ペラゴ藻ではPelagomonas calceolataのほか,データベース上で、Pelagophyceae sp. として登録されているものが同定された. また、共生藻のrbcL遺伝子から推定された系統でも同様に、大きくハプト藻とペラゴ藻に分類された. ペラゴ藻ではP. calceolataのほか、Aureococcus anophagefferensにより近い系統も確認された. この系統は,rRNA遺伝子から同定されたものとの対応からPelagophyceae sp.に相当すると考えられ、rbcL遺伝子ではさらに2つ(Pelagophyceae 1, Pelagophyceae 2)に区分された.
宿主の遺伝型と共生藻の対応関係を確認すると、基本的にType Iはハプト藻を、Type IIはペラゴ藻を保有しており,既報の関係性と整合的であった.一方で、Type IIIは共生藻をもたないことが今回初めて明らかとなった. 宿主の大系統であるType I,II,IIIはそれぞれ、ハプト藻、ペラゴ藻、共生藻なし、という対応関係となり、最節約的に考えると、共生関係がType IとType IIで独立に築かれた可能性が示唆された.さらに、より詳細な遺伝型のレベルでは、Type IIaはP. calceolataと、Type IIbはPelagophyceae 1/2との基本的な対応関係があることが初めて確認された.ただし、Type IIa1の一部の個体では、Pelagophyceae 1(Type IIbの共生藻)との対応関係も例外的に確認されたため、Type IIaとIIbの共通祖先でPelagophyceae 1が獲得され、宿主の遺伝型の分岐後に、Type IIaにおいてP. calceolataへの乗り換えが起こった可能性が考えられる.今後、遺伝型の地域性も含め、より詳細な検討が求められる.
Globigerinella siphoniferaも共生藻をもつ現生種であるが、本種ではハプト藻とペラゴ藻の2種の共生藻が確認されており,各々が異なる遺伝型の宿主と対応することが知られている. また、現生のGlobigerinella属は4つの形態種(G. adamsi,G. siphonifera, G. calida, G. radians) が知られているが、G. adamsiを除く3種については形態的識別が難しく,G. siphoniferaのバリエーションとしてまとめられることも多い(以降,G. siphonifera plexusとする).このG. siphonifera plexusには,大きくType I, II, IIIの遺伝型があり、さらに詳細に計12の遺伝型に分られている(Weiner et al., 2014). なお、形態種と遺伝型の対応関係についてもWeiner et al.(2015)で整理されているものの、本研究ではすべてG. siphonifera plexusとして扱うこととする. このようにG. siphonifera plexus内には隠蔽種と想定される遺伝型が多数存在することと、少なくとも二つの異なる共生藻が存在することが確認されてきたが、どの遺伝型にどの藻類が共生しているか、詳細には明らかにされてこなかった. そこで本研究では、G. siphonifera plexusの遺伝型と共生藻の対応関係を明らかにし、G. siphonifera plexusの共生関係の系統進化について検討した.
本研究では、白鳳丸KH-17-4次航海、H-19-6次航海、および相模湾真鶴沖で採取された計101個体を解析に用いた.有孔虫の遺伝型識別にはrRNA遺伝子の部分領域を、共生藻識別にはrRNA遺伝子の部分領域と葉緑体遺伝子(rbcL遺伝子)の部分領域を用いた.得られた3つの領域について、最尤法を用いて各々系統樹を作成し、宿主と共生藻の対応関係を明らかにした.
宿主の系統においては、先行研究で確認されていた遺伝型のうちType IIIb以外の11の遺伝型が特定された. 共生藻のrRNA遺伝子から推定された系統は、大きくハプト藻とペラゴ藻に分類された. ハプト藻では、Chrysochromulina andersoniiの1種のみが同定され、ペラゴ藻ではPelagomonas calceolataのほか,データベース上で、Pelagophyceae sp. として登録されているものが同定された. また、共生藻のrbcL遺伝子から推定された系統でも同様に、大きくハプト藻とペラゴ藻に分類された. ペラゴ藻ではP. calceolataのほか、Aureococcus anophagefferensにより近い系統も確認された. この系統は,rRNA遺伝子から同定されたものとの対応からPelagophyceae sp.に相当すると考えられ、rbcL遺伝子ではさらに2つ(Pelagophyceae 1, Pelagophyceae 2)に区分された.
宿主の遺伝型と共生藻の対応関係を確認すると、基本的にType Iはハプト藻を、Type IIはペラゴ藻を保有しており,既報の関係性と整合的であった.一方で、Type IIIは共生藻をもたないことが今回初めて明らかとなった. 宿主の大系統であるType I,II,IIIはそれぞれ、ハプト藻、ペラゴ藻、共生藻なし、という対応関係となり、最節約的に考えると、共生関係がType IとType IIで独立に築かれた可能性が示唆された.さらに、より詳細な遺伝型のレベルでは、Type IIaはP. calceolataと、Type IIbはPelagophyceae 1/2との基本的な対応関係があることが初めて確認された.ただし、Type IIa1の一部の個体では、Pelagophyceae 1(Type IIbの共生藻)との対応関係も例外的に確認されたため、Type IIaとIIbの共通祖先でPelagophyceae 1が獲得され、宿主の遺伝型の分岐後に、Type IIaにおいてP. calceolataへの乗り換えが起こった可能性が考えられる.今後、遺伝型の地域性も含め、より詳細な検討が求められる.