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[BPT03-P03] EBSD法による底生有孔虫殻表面における微細構造の可視化

キーワード:有孔虫、炭酸カルシウム、結晶方位、EBSD、バイオミネラリゼーション
生体鉱物は生物体において様々な役割を果たす。石灰質有孔虫の持つ炭酸カルシウムからなる殻は内部の細胞を保護する役割を果たしている。化石化した殻は古環境指標としての有用性から環境学・生物学的な観点からの研究が盛んに行われている一方で、殻を形成する結晶の結晶方位や結晶粒といった微細構造の詳細は方法的な制約もあり網羅的に解明されているとはいえない。近年、電子顕微鏡を用いて殻の局所的な構造観察が行われている (Nagai et al., 2018) が、この手法では殻の広い範囲において炭酸カルシウム結晶のサイズや方位がどのように分布しているかについては明らかになっていない。電子線後方散乱回折法 (EBSD法) は、広範囲にわたって結晶構造・結晶方位情報の可視化を可能にするツールである。本研究では電界放出型走査電子顕微鏡を用いた形態観察及びEBSD法を用いた3種の底生有孔虫の殻の外側表面の結晶方位解析を行い、それぞれの種に現れる微細構造の可視化を試みた。
分類学的に異なる系統に属するAmmonia confertitesta, Hoeglundina elegans, Spirillina viviparaの3種を用いて、分析を行った。その結果殻を構成する炭酸カルシウム結晶の結晶方位や結晶相に類似点・相違点がみられた。A. confertitestaとH. elegansはそれぞれカルサイトとアラゴナイトという異なる多形によって形成されていたが、いずれの種の炭酸カルシウム結晶でもc軸の優先的な方向性がみられ、殻表面に対して垂直に向いていた。また殻表面においてみられた同一結晶方位ドメインの形状とサイズはよく似ていた。S. viviparaが持つカルサイトもc軸が優先的な方向性を示したが、他の2種とは異なり殻表面に対して水平に向いていた。
それぞれの種でみられた特徴は、生息環境や進化の過程、成長様式などを反映している可能性がある。
Reference
Y. Nagai, K. Uematsu, R. Wani, T. Toyofuku (2018), “Reading the Fine Print: Ultra-Microstructures of Foraminiferal Calcification Revealed Using Focused Ion Beam Microscopy”, Frontiers in Marine Science 5, doi: 10.3389/fmars.2018.00067
分類学的に異なる系統に属するAmmonia confertitesta, Hoeglundina elegans, Spirillina viviparaの3種を用いて、分析を行った。その結果殻を構成する炭酸カルシウム結晶の結晶方位や結晶相に類似点・相違点がみられた。A. confertitestaとH. elegansはそれぞれカルサイトとアラゴナイトという異なる多形によって形成されていたが、いずれの種の炭酸カルシウム結晶でもc軸の優先的な方向性がみられ、殻表面に対して垂直に向いていた。また殻表面においてみられた同一結晶方位ドメインの形状とサイズはよく似ていた。S. viviparaが持つカルサイトもc軸が優先的な方向性を示したが、他の2種とは異なり殻表面に対して水平に向いていた。
それぞれの種でみられた特徴は、生息環境や進化の過程、成長様式などを反映している可能性がある。
Reference
Y. Nagai, K. Uematsu, R. Wani, T. Toyofuku (2018), “Reading the Fine Print: Ultra-Microstructures of Foraminiferal Calcification Revealed Using Focused Ion Beam Microscopy”, Frontiers in Marine Science 5, doi: 10.3389/fmars.2018.00067