09:15 〜 09:30
[G01-02] 掘削船ライブ中継イベントの実践―オンラインとリアルの融合体験で海洋フィールドを身近に捉える効果―
キーワード:国際深海科学掘削計画(IODP)、海洋科学掘削、オンライン中継、イベント、双方向コミュニケーション、海洋リテラシー
地球科学の中でも、野外での観察・観測やサンプル採取といったフィールドワークを伴う研究分野においては、知識のみならず、「フィールド」それ自体が当該分野の学問を特徴づける個性であり、研究を彩る魅力の一つでもある。このようなフィールドの魅力を直接体験してもらえるアウトリーチ活動の例として、科学館や博物館等が実施する観察会・体験会やガイドツアーがある。しかし、これらの活動には安全性の確保や十分なスタッフの配置など、クリアすべき要件が多く、実施可能なフィールドや参加人数などに制限が多い。一方で、オンラインでのアウトリーチにも、「フィールドを伝える」ことに主眼を置いた活動事例はあり、写真を多用したSNS発信や動画制作・配信などは代表的な例であるが、よりライブ感と双方向コミュニケーションを重視するものとして、中継イベントがあげられるだろう。例えば、南極地域観測隊による「南極教室」などの中継授業・中継イベントは、昭和基地にインテルサット衛星通信アンテナが設置された2004年から、数多く行われていて参加者の評判は高い。
ところで、2021年から2030年は「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」とされ、海洋科学の推進とともに、社会における海洋リテラシーの向上や、一般市民を含む社会の多様なステークホルダーと海洋との関わりを深化させる取り組みが求められている。しかし、海洋をフィールドとする研究分野では、多くは「フィールド」が船上となるため、観察会のような直接体験のアウトリーチ活動は難しく、また通信環境の制約からオンライン中継のような取り組み事例も限られている。その結果、海洋研究は一般社会にとって「遠い世界」となりがちである。
そのような中、国際深海科学掘削計画(IODP)で運用されてきた米国の掘削船JOIDES Resolutionでは、比較的早い段階から乗船研究者がZoomを使って船上中継ができるアウトリーチ活動の体制が整えられており、実践している。そこで、日本地球掘削科学コンソーシアム(J-DESC)では、同船に日本の研究者が乗船する機会に掘削船中継イベントを実施・奨励・支援してきた。さらに、2024年9月から12月にかけて日本の地球深部探査船「ちきゅう」によって行われたIODP第405次研究航海(JTRACK)では、乗船研究者及びJAMSTECの協力のもと、全国の科学館・博物館や小中高校・大学で計19回の中継イベントや中継授業を行った。
本報告では、J-DESCにて実施(共催・協力)してきた一連の中継イベントの実践内容や運営上の設計・工夫等について紹介するとともに、その課題と展望について述べる。また、このような中継イベントにおける参加者とのコミュニケーションの特徴や、「国連海洋科学の10年」に掲げる海洋リテラシーの向上等にどのように貢献しうるかについて、他のアウトリーチ手法との比較も交え考察する。
ところで、2021年から2030年は「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」とされ、海洋科学の推進とともに、社会における海洋リテラシーの向上や、一般市民を含む社会の多様なステークホルダーと海洋との関わりを深化させる取り組みが求められている。しかし、海洋をフィールドとする研究分野では、多くは「フィールド」が船上となるため、観察会のような直接体験のアウトリーチ活動は難しく、また通信環境の制約からオンライン中継のような取り組み事例も限られている。その結果、海洋研究は一般社会にとって「遠い世界」となりがちである。
そのような中、国際深海科学掘削計画(IODP)で運用されてきた米国の掘削船JOIDES Resolutionでは、比較的早い段階から乗船研究者がZoomを使って船上中継ができるアウトリーチ活動の体制が整えられており、実践している。そこで、日本地球掘削科学コンソーシアム(J-DESC)では、同船に日本の研究者が乗船する機会に掘削船中継イベントを実施・奨励・支援してきた。さらに、2024年9月から12月にかけて日本の地球深部探査船「ちきゅう」によって行われたIODP第405次研究航海(JTRACK)では、乗船研究者及びJAMSTECの協力のもと、全国の科学館・博物館や小中高校・大学で計19回の中継イベントや中継授業を行った。
本報告では、J-DESCにて実施(共催・協力)してきた一連の中継イベントの実践内容や運営上の設計・工夫等について紹介するとともに、その課題と展望について述べる。また、このような中継イベントにおける参加者とのコミュニケーションの特徴や、「国連海洋科学の10年」に掲げる海洋リテラシーの向上等にどのように貢献しうるかについて、他のアウトリーチ手法との比較も交え考察する。