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[G01-P04] 川崎市生田緑地ジオ散歩で学ぶ多摩丘陵の谷戸と尾根の成り立ち
キーワード:多摩丘陵、谷戸と尾根、川崎市、生田緑地、神奈川県、ジオ散歩
多摩川を挟んだ武蔵野台地(山の手)の西側に立地する丘陵は,古くから多摩丘陵と呼ばれている.この地域は,昭和の高度成長期に東京近郊のベッドタウンとして大規模に宅地化が進められてことが知られている.この丘陵は武蔵野台地よりも20万年ほど古い地形であり,その成り立ちを理解することで,20万年後の東京都心部に立地する武蔵野台地(山の手)の未来の地形を予測することができる.この発表では,多摩丘陵の東端部に位置する生田地緑地において,谷戸と尾根の地形の成り立ちを学ぶ生田緑地ジオ散歩を提案する.
生田緑地周辺の地形面は,主に多摩II面と沖積面に区分できる.多摩 II 面の基盤は上総層群飯室層からなり,その上位に33.7〜30万年前(MIS 9)の浅海成層であるオシ沼砂礫層(多摩II面段丘構成層)が堆積し,その後,離水して段丘化したと考えられている(貝塚ほか編,2000).段丘構成層(オシ沼砂礫層)の上位には,多摩IIローム層から立川ローム層までの一連の関東ローム層が覆っている.関東ローム層によって厚く覆れている地域の地形学的な特徴として,崩壊によって生じた急峻な谷のはじまり部分の崖(谷頭)と谷頭に崖が切り立ち,行き止まりになった谷地形である谷戸の存在があげられる.この谷頭に崖が切り立って理由は,そこに湧水があり,常に崖が侵食を受けて崩壊し続けているからである.さらに谷戸は谷頭から流れた水によって形成されるものであり,土質が軟らかく侵食が容易な関東ローム層の広がる土地だからこそできる侵食地形と言える.
我々の提案する生田緑地ジオ散歩のルートは,(Stop 0)東⼝ビジターセンターからの出発後,遊歩道沿いに⽴地するStop 1〜14のジオサイトを順に観察し,最後は再び(Stop 0)東⼝ビジターセンターに戻ることを想定している.この間の移動距離は2.5 kmほど,所要時間は観察時間も合わせて概ね2.5時間程度である.(Stop 0)東⼝ビジターセンターを出発,(Stop 1)枡形山遊歩道入り口付近に露出する上総層群飯室層の観察,(Stop 2)枡形山遊歩道沿いに露出する上総層群飯室層の観察,(Stop 3)飯室層とオシ沼砂礫層の岩相境界の観察,(Stop 4)オシ沼砂礫層の示す浅海成層の観察,(Stop 5)オシ沼砂礫層と関東ローム層の岩相境界の観察,(Stop 6)様々なステージの関東ローム層の累重の観察,(Stop 7)枡形山展望台から望む武蔵野台地の景観,(Stop 8)七草峠付近の尾根を覆う立川ローム層の観察,(Stop 9)西口サテライト付近の尾根の多摩II面の観察,(Stop 10)オシ沼砂礫層と飯室層の不整合関係の観察,(Stop 11)川崎市青少年科学館の枡形山ボーリングコア展示の観察,(Stop 12)奥の池付近に潜む川崎ローム斜面崩壊実験の事故現場,(Stop 13)岡本太郎美術館裏の西口広場に残る谷頭の観察,(Stop 14)日本民家園を経由して,再び東口ビジターセンター(Stop 0)に帰還.
我々は,一般市民がこのジオ散歩を行うことによって,“多摩丘陵の地形の特徴とは何か?”武蔵野台地(山の手)との違いは何か?” という疑問に対して,実施者自身で答えが得られると考えている.答えはシンプルで,前者の方がよりギザギザしているのが特徴なのである.武蔵野(中位)面(M2面)が離水したのは約10万年前である.一方多摩II面が離水したのは約30万年前と推定されることから,その差は20万年程度と見積もられる.現在の武蔵野台地(山の手)にも,湧水に伴って谷戸が発達し,地域によっては等々力渓谷のように深い谷戸が出来ている場所もある.おそらく20万年経過すれば,これらの谷戸の侵食が広範囲かつフラクタルに進み,台地の平坦面が殆ど削られて,最後は河川流域境界である背面のみが残されることを暗示している.
参考文献
貝塚ほか(編),2000,日本の地形 4 関東・伊豆小笠原,東京大学出版会.
生田緑地周辺の地形面は,主に多摩II面と沖積面に区分できる.多摩 II 面の基盤は上総層群飯室層からなり,その上位に33.7〜30万年前(MIS 9)の浅海成層であるオシ沼砂礫層(多摩II面段丘構成層)が堆積し,その後,離水して段丘化したと考えられている(貝塚ほか編,2000).段丘構成層(オシ沼砂礫層)の上位には,多摩IIローム層から立川ローム層までの一連の関東ローム層が覆っている.関東ローム層によって厚く覆れている地域の地形学的な特徴として,崩壊によって生じた急峻な谷のはじまり部分の崖(谷頭)と谷頭に崖が切り立ち,行き止まりになった谷地形である谷戸の存在があげられる.この谷頭に崖が切り立って理由は,そこに湧水があり,常に崖が侵食を受けて崩壊し続けているからである.さらに谷戸は谷頭から流れた水によって形成されるものであり,土質が軟らかく侵食が容易な関東ローム層の広がる土地だからこそできる侵食地形と言える.
我々の提案する生田緑地ジオ散歩のルートは,(Stop 0)東⼝ビジターセンターからの出発後,遊歩道沿いに⽴地するStop 1〜14のジオサイトを順に観察し,最後は再び(Stop 0)東⼝ビジターセンターに戻ることを想定している.この間の移動距離は2.5 kmほど,所要時間は観察時間も合わせて概ね2.5時間程度である.(Stop 0)東⼝ビジターセンターを出発,(Stop 1)枡形山遊歩道入り口付近に露出する上総層群飯室層の観察,(Stop 2)枡形山遊歩道沿いに露出する上総層群飯室層の観察,(Stop 3)飯室層とオシ沼砂礫層の岩相境界の観察,(Stop 4)オシ沼砂礫層の示す浅海成層の観察,(Stop 5)オシ沼砂礫層と関東ローム層の岩相境界の観察,(Stop 6)様々なステージの関東ローム層の累重の観察,(Stop 7)枡形山展望台から望む武蔵野台地の景観,(Stop 8)七草峠付近の尾根を覆う立川ローム層の観察,(Stop 9)西口サテライト付近の尾根の多摩II面の観察,(Stop 10)オシ沼砂礫層と飯室層の不整合関係の観察,(Stop 11)川崎市青少年科学館の枡形山ボーリングコア展示の観察,(Stop 12)奥の池付近に潜む川崎ローム斜面崩壊実験の事故現場,(Stop 13)岡本太郎美術館裏の西口広場に残る谷頭の観察,(Stop 14)日本民家園を経由して,再び東口ビジターセンター(Stop 0)に帰還.
我々は,一般市民がこのジオ散歩を行うことによって,“多摩丘陵の地形の特徴とは何か?”武蔵野台地(山の手)との違いは何か?” という疑問に対して,実施者自身で答えが得られると考えている.答えはシンプルで,前者の方がよりギザギザしているのが特徴なのである.武蔵野(中位)面(M2面)が離水したのは約10万年前である.一方多摩II面が離水したのは約30万年前と推定されることから,その差は20万年程度と見積もられる.現在の武蔵野台地(山の手)にも,湧水に伴って谷戸が発達し,地域によっては等々力渓谷のように深い谷戸が出来ている場所もある.おそらく20万年経過すれば,これらの谷戸の侵食が広範囲かつフラクタルに進み,台地の平坦面が殆ど削られて,最後は河川流域境界である背面のみが残されることを暗示している.
参考文献
貝塚ほか(編),2000,日本の地形 4 関東・伊豆小笠原,東京大学出版会.