17:15 〜 19:15
[G02-P06] デジタルとアナログの融合:能登半島周辺の赤色立体模型の作成およびプロジェクションマッピングの構築
キーワード:普及啓発、プロジェクションマッピング、立体模型、複合災害
ハザードマップに描画される危険区域は地形に依存しており、地形を理解することがハザードマップの理解につながる。ところが、現在のハザードマップは平面の地図(2次元)で表示されることが多く、地形の凹凸が読み取りにくい。そこで我々は、防災や環境に関する地理空間情報を3次元の地形情報とリンクして伝達する手段として、赤色立体模型とプロジェクションマッピングを融合した普及啓発コンテンツを構築した。これまでに、富士山や白山などで博物館の展示物として採用されている。さらに、出前講座などでの運搬を考慮し、可搬型のタイプも開発した(江川・他,2024)。しかし、これまでのコンテンツは平常時の防災に関する普及啓発を目的としていた。能登半島では2024年に地震と豪雨が相次いで発生し、複合的な災害が発生した。本研究では、災害前後の情報を表示するツールとして、能登半島の赤色立体地図とプロジェクションマッピング(可搬型)を新たに構築した(Figure1、Figure 2)。オープンデータとして整備されている地理空間情報に加えて、地震と豪雨の災害に関するオープンデータや著者らの独自解析の情報を加えた16種類のコンテンツを作成した。平常時のコンテンツは、地形図、衛星画像、高度段彩図、地形分類図、地質図、地すべり地形、土砂災害警戒区域および人口分布図の8種類である。地震後のコンテンツは震央分布図、干渉SAR、地盤変位(上下方向)、地盤変位(水平方向)、斜め写真および土砂移動分布の6種類である。地盤変位は地震前後の航空レーザ測量データを用いて解析した結果である(佐々木・他,2024)。令和6年9月豪雨後のコンテンツは斜め写真および土砂移動分布の2種類である。これらの災害前後の地理空間情報を比較することにより、様々な情報が読み取れる。例えば、多発した土砂災害に関して、地質、震源位置、地盤変位などの素因や、土砂災害警戒区域との比較ができるほか、赤色立体模型で標高の高低差や斜面勾配などとの関連性を見ることができる。アナログ手法である赤色立体模型とデジタル手法であるプロジェクションマッピングを融合させた本手法は、平常時の普及啓発だけではなく、災害対策を支援するツールとしても活用できる可能性がある。災害発生場所や交通途絶箇所などの情報を三次元地形情報と組み合わせて可視化できるため、防災対策の意思決定支援ツールとして有効であると考えられる。