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[G04-06] 季節サイクルと季節感を軸とする大学での教科横断的授業の蓄積(ESD気候変動・防災気象・文化理解の教育への接点として)
キーワード:気候、季節サイクル、ESD教師教育、気候と音楽、学際的な気候・文化理解教育
日本付近では,アジアモンスーンの影響も大きく受けて,春夏春冬に梅雨や秋雨を含めた「六季」,や,それらの中間的季節の独特な特徴に見られるような,多彩な季節サイクルを示す。それで,季節が少し違うだけで,「極端現象」の特徴や出現傾向も違ってくる。平均的な変動幅なども含めた,このような気候や季節サイクルの地域差は大きく,地球温暖化などに伴う「極端現象」の現れ方の変化の地域的違いにも繋がる。一方,そういった気候や季節サイクルは,季節感などを接点に人々の生活や文化の違いにも密接に関わっている。このため,詳細な季節サイクルを含めた気候系の理解は,ESD(Education for Sustainable Development)の気候変動教育,防災教育等の背景的知見としての「極端現象も含めた日々の変動の季節性」や,学際的な文化理解教育の際の「多彩な季節感も含めた文化生成の重要な背景」の双方を,それぞれ深く捉えるための「共通基底」とも言える。なお,後者に関して,文化生成の重要な背景の一つとして気候や季節サイクルも挙げられるが,逆に,例えば歌や季節に関する伝統行事などに見られる季節感などから,「変動幅も持つ平均的な季節サイクル像」の気候学的理解のヒントも得られうる。
ところで,ESD・SDGsにおいては,個別的な取り組みだけでなく,種々の問題間の複雑な関わりや繋がり,多様性などを正視して総合的に行う必要があり,また,「異質な他者」への理解も根底として不可欠である。実は,上述の意味での「中緯度地域間でも大きく異なる季節サイクルと季節感」への気づきは,教科横断的内容も含む気象・気候の学習を通した「異質な他者」との出会いを促す格好の活動にもなり得る。本グループは,そのような観点から,詳細な季節サイクルと季節感との往還も意識し,気候解析や「気候と音楽(特に歌)」との連携も行って「知の統合」を行うとともに,大学の教育学部での教科横断的思考力の育成に関連した夏休みの集中講義「くらしと環境」を毎年行うと主に(加藤内藏進が主担当で,全4日間。加藤は2022年3月に定年退職したが,その後も特命教授(教育)として継続中),小学校,中学校,高等学校でも,環境や防災気象教育,学際的な気候・文化理解教育に関連した授業実践を長年継続してきた。それらの成果は,一つの学会の守備範囲に収まらないような学際的内容が多いので,大学の紀要等で主に発表してきたが,それら一部を体系化して,加藤(晴)・加藤(内)(2014:『気候と音楽』-日本とドイツの春と歌-』,2019:『気候と音楽-歌から広がる文化理解とESD-』,いずれも協同出版)等も上梓した。
そこで本講演では,主に大学での授業「くらしと環境」とその実践に関して報告する。この科目は,教務上は前半と後半の2つに分かれるが,計4日間でひと繋がりの内容として,毎年,日本やドイツ・北欧などの気候と季節サイクルについて講義し(大陸移動と日本の気候環境,日本付近の季節と植物,等も含む),それらを踏まえて,開講期間の後半に美術・音楽との連携による鑑賞等の活動を行なっている。音楽や美術との連携に関しては,「日本列島付近の初冬と早春における,冬を挟む気候要素の季節進行の非対称性」,「日本列島における季節的・地域的な雨の特徴の多様性」,「ドイツ付近の冬の極端な低温日の出現や夏の気温の変動性(ドイツ付近の「春・5月」を軸に)」,「北欧の『短い夏』に関連した季節感と気候」等を,テーマとして取り上げてきた(e.g., Kato et al., 2023a: Okayama University Earth Science Reports, 29, 29-48)。特に,ドイツや北欧との気候や季節感の比較は,気候と文化双方を深く知りながら「異質な他者」との出会いを促す格好のテーマの一つでもある(加藤内藏進,2023:気候を軸とする学際的・探求的学びから発見する「異質な他者」の世界―ドイツと日本の季節サイクルや季節感の比較を例に―。『教育科学を考える』,岡山大学出版会,235-260)。それで,ここ数年の音楽との連携のテーマとして,特別な喜ばしい季節としてのドイツ付近の「春・5月」(逆に,「儚く過ぎ去る美しい瞬間としての5月」という季節感を表現した歌も少なくないが)を取り上げている(加藤他,2023b:ドイツ付近の春・5月の気候と歌:異質な他者の発見を促すESD教師教育の学際的アプローチ。岡山大学教師教育開発センター紀要,13,175-189,2025:ドイツ付近の春・5月の気候と歌(その2):異質な他者への出会いを促す大学での学際的授業の実践。同,15,163-177(印刷中))。本講演では,最近の授業実践を中心に紹介したい。
ところで,ESD・SDGsにおいては,個別的な取り組みだけでなく,種々の問題間の複雑な関わりや繋がり,多様性などを正視して総合的に行う必要があり,また,「異質な他者」への理解も根底として不可欠である。実は,上述の意味での「中緯度地域間でも大きく異なる季節サイクルと季節感」への気づきは,教科横断的内容も含む気象・気候の学習を通した「異質な他者」との出会いを促す格好の活動にもなり得る。本グループは,そのような観点から,詳細な季節サイクルと季節感との往還も意識し,気候解析や「気候と音楽(特に歌)」との連携も行って「知の統合」を行うとともに,大学の教育学部での教科横断的思考力の育成に関連した夏休みの集中講義「くらしと環境」を毎年行うと主に(加藤内藏進が主担当で,全4日間。加藤は2022年3月に定年退職したが,その後も特命教授(教育)として継続中),小学校,中学校,高等学校でも,環境や防災気象教育,学際的な気候・文化理解教育に関連した授業実践を長年継続してきた。それらの成果は,一つの学会の守備範囲に収まらないような学際的内容が多いので,大学の紀要等で主に発表してきたが,それら一部を体系化して,加藤(晴)・加藤(内)(2014:『気候と音楽』-日本とドイツの春と歌-』,2019:『気候と音楽-歌から広がる文化理解とESD-』,いずれも協同出版)等も上梓した。
そこで本講演では,主に大学での授業「くらしと環境」とその実践に関して報告する。この科目は,教務上は前半と後半の2つに分かれるが,計4日間でひと繋がりの内容として,毎年,日本やドイツ・北欧などの気候と季節サイクルについて講義し(大陸移動と日本の気候環境,日本付近の季節と植物,等も含む),それらを踏まえて,開講期間の後半に美術・音楽との連携による鑑賞等の活動を行なっている。音楽や美術との連携に関しては,「日本列島付近の初冬と早春における,冬を挟む気候要素の季節進行の非対称性」,「日本列島における季節的・地域的な雨の特徴の多様性」,「ドイツ付近の冬の極端な低温日の出現や夏の気温の変動性(ドイツ付近の「春・5月」を軸に)」,「北欧の『短い夏』に関連した季節感と気候」等を,テーマとして取り上げてきた(e.g., Kato et al., 2023a: Okayama University Earth Science Reports, 29, 29-48)。特に,ドイツや北欧との気候や季節感の比較は,気候と文化双方を深く知りながら「異質な他者」との出会いを促す格好のテーマの一つでもある(加藤内藏進,2023:気候を軸とする学際的・探求的学びから発見する「異質な他者」の世界―ドイツと日本の季節サイクルや季節感の比較を例に―。『教育科学を考える』,岡山大学出版会,235-260)。それで,ここ数年の音楽との連携のテーマとして,特別な喜ばしい季節としてのドイツ付近の「春・5月」(逆に,「儚く過ぎ去る美しい瞬間としての5月」という季節感を表現した歌も少なくないが)を取り上げている(加藤他,2023b:ドイツ付近の春・5月の気候と歌:異質な他者の発見を促すESD教師教育の学際的アプローチ。岡山大学教師教育開発センター紀要,13,175-189,2025:ドイツ付近の春・5月の気候と歌(その2):異質な他者への出会いを促す大学での学際的授業の実践。同,15,163-177(印刷中))。本講演では,最近の授業実践を中心に紹介したい。
