13:45 〜 14:00
[HCG20-01] 地震・断層活動のモデル化のための地震データの収集・整理
キーワード:地層処分、地震・断層活動、評価モデル、ダメージゾーン、微小地震、震源過程
【背景・目的】
地層処分システムに著しい影響を与える可能性がある天然現象のうち、地震・断層活動に関しては新たな断層が発生した場合や地質断層が再活動した際の断層周辺の破砕帯、ダメージゾーンなどの閉じ込め機能の喪失に関わる影響範囲のモデル化が必要となる。断層が形成されるとその断層が地下水の新たな移行経路になるなどの複雑な状況が想定されるが、変位量や断層面の性状は同一の断層においても均質ではないと考えられる。しかしながら、これまでの安全評価に関する検討で採用されているモデルでは断層の変位量や断層面の性状が均質なものとして取り扱われており(第2次とりまとめ, JNC、1999;川村ほか,2010)、これらの不均質を反映したモデルを提示するまでには至っていない。
モデル化のために必要な情報である断層破砕帯については、地質露頭調査等により詳細な知見が得られている。また、その外側に分布するとされるダメージゾーンについても、金折(2001)により露頭調査に基づく「プロセスゾーンの幅と断層の長さ」との関係式が提示されている。一方で、断層全体を俯瞰した研究事例はない。
このことを解決する糸口として、地震データを用いて断層全体のモデル化を試みる。地質工学分野においては微小地震やアコースティック・エミッション観測に基づく岩盤割れ目の発達を把握する技術が確立されており(例えば;新ほか,2000)、地震発生後の余震域がダメージゾーンの範囲を示唆するものと考えられる。また、気象庁が公開している「震源過程などの解析結果」(気象庁,Webサイト)の断層モデルが断層の変位量や断層面の性状を推察するうえで有力な参考情報となる可能性がある。
そこで本研究では、安全評価に用いるモデルへの反映を念頭に、気象庁が公開している地震・断層に関するデータや震源過程の解析モデルに関する情報やデータを収集・整理する試行的な取り組みを実施した。
【実施内容】
今回は試行として、気象庁の「震源過程などの解析結果」(気象庁,Webサイト)から3つの地震を選定した。このサイトに掲載されている地震を対象とした理由は、断層面の設定(走向・傾斜・長さ・幅などの情報)、断層面上のグリッド毎の変位量や方向の情報が、地震波解析によって得られているからである。また、地震の選定の際には、地層処分を想定し陸域の震源の深度を15kmよりも浅いものを対象とした。さらに、単独の地震・断層活動の影響を評価するために、時空間的に孤立している地震活動を選定した。
上記にしたがって選定した地震について、気象庁のウェブサイトから「気象庁一元化処理震源要素」(気象庁,Webサイト)のデータを収集し、GISソフトウェア等を用い三次元の余震域としてデータ化・整理した。整理したデータを用いて、余震域の範囲・形状、範囲内の余震の空間的なマグニチュード分布、余震発生数の時系列的な変化など、時空間的な情報として整理した。
【結果と今後】
上記の結果、モデル化の際に参考となる断層活動の規模に応じた余震域の範囲や形状を3次元情報として表現することができた。また、「震源過程などの解析結果」(気象庁,Webサイト)の情報に関しては、断層面における透水性等の物性そのものではないものの、それらを検討する際に参考になる情報として収集・整理することができた。
今後は、データ収集・整理の事例を拡充し、断層規模と余震域の形状やサイズとの関係、および断層変位量との関係などを整理し、川村ほか(2010)の断層モデルを更新する。
【参考文献】
JNC,JNC TN1400 99-023,1999;川村ほか,JAEA-Research 2010-027,2010;金折,応用地質,第41巻,pp.323-332,2001;新ほか,電力中央研究所報告,U00014,2000;気象庁,地震の活動状況(Webサイト).
【謝辞】
本報告は経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和6年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(地質環境長期安定性総合評価技術開発)」の成果の一部を使用している。
地層処分システムに著しい影響を与える可能性がある天然現象のうち、地震・断層活動に関しては新たな断層が発生した場合や地質断層が再活動した際の断層周辺の破砕帯、ダメージゾーンなどの閉じ込め機能の喪失に関わる影響範囲のモデル化が必要となる。断層が形成されるとその断層が地下水の新たな移行経路になるなどの複雑な状況が想定されるが、変位量や断層面の性状は同一の断層においても均質ではないと考えられる。しかしながら、これまでの安全評価に関する検討で採用されているモデルでは断層の変位量や断層面の性状が均質なものとして取り扱われており(第2次とりまとめ, JNC、1999;川村ほか,2010)、これらの不均質を反映したモデルを提示するまでには至っていない。
モデル化のために必要な情報である断層破砕帯については、地質露頭調査等により詳細な知見が得られている。また、その外側に分布するとされるダメージゾーンについても、金折(2001)により露頭調査に基づく「プロセスゾーンの幅と断層の長さ」との関係式が提示されている。一方で、断層全体を俯瞰した研究事例はない。
このことを解決する糸口として、地震データを用いて断層全体のモデル化を試みる。地質工学分野においては微小地震やアコースティック・エミッション観測に基づく岩盤割れ目の発達を把握する技術が確立されており(例えば;新ほか,2000)、地震発生後の余震域がダメージゾーンの範囲を示唆するものと考えられる。また、気象庁が公開している「震源過程などの解析結果」(気象庁,Webサイト)の断層モデルが断層の変位量や断層面の性状を推察するうえで有力な参考情報となる可能性がある。
そこで本研究では、安全評価に用いるモデルへの反映を念頭に、気象庁が公開している地震・断層に関するデータや震源過程の解析モデルに関する情報やデータを収集・整理する試行的な取り組みを実施した。
【実施内容】
今回は試行として、気象庁の「震源過程などの解析結果」(気象庁,Webサイト)から3つの地震を選定した。このサイトに掲載されている地震を対象とした理由は、断層面の設定(走向・傾斜・長さ・幅などの情報)、断層面上のグリッド毎の変位量や方向の情報が、地震波解析によって得られているからである。また、地震の選定の際には、地層処分を想定し陸域の震源の深度を15kmよりも浅いものを対象とした。さらに、単独の地震・断層活動の影響を評価するために、時空間的に孤立している地震活動を選定した。
上記にしたがって選定した地震について、気象庁のウェブサイトから「気象庁一元化処理震源要素」(気象庁,Webサイト)のデータを収集し、GISソフトウェア等を用い三次元の余震域としてデータ化・整理した。整理したデータを用いて、余震域の範囲・形状、範囲内の余震の空間的なマグニチュード分布、余震発生数の時系列的な変化など、時空間的な情報として整理した。
【結果と今後】
上記の結果、モデル化の際に参考となる断層活動の規模に応じた余震域の範囲や形状を3次元情報として表現することができた。また、「震源過程などの解析結果」(気象庁,Webサイト)の情報に関しては、断層面における透水性等の物性そのものではないものの、それらを検討する際に参考になる情報として収集・整理することができた。
今後は、データ収集・整理の事例を拡充し、断層規模と余震域の形状やサイズとの関係、および断層変位量との関係などを整理し、川村ほか(2010)の断層モデルを更新する。
【参考文献】
JNC,JNC TN1400 99-023,1999;川村ほか,JAEA-Research 2010-027,2010;金折,応用地質,第41巻,pp.323-332,2001;新ほか,電力中央研究所報告,U00014,2000;気象庁,地震の活動状況(Webサイト).
【謝辞】
本報告は経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和6年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(地質環境長期安定性総合評価技術開発)」の成果の一部を使用している。