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[HCG20-P02] 断層の活動性評価において有効な調査・データの組み合わせを探索する:木津川断層帯における伊賀断層を事例とした初年度の結果
キーワード:断層、断層コア、ボーリング、木津川断層帯、伊賀断層
地層処分事業の概要調査段階ならびに精密調査段階では,ボーリング孔や坑道において上載地層法の適用が困難な断層に遭遇することが想定される.そのような断層の活動性の評価については,断層の直接年代測定法に代表される単一の決定的な評価手法が開発途上にあるため,断層破砕物質から取得した観察・計測データ,化学データ,年代学的データの総合的な判断に基づいて行われるものと考えられる.こうした背景から,断層破砕物質を対象とした観察・計測,化学分析,年代測定における先進的な研究開発を進めていくことと,断層の活動性評価において有効な既存手法の順序・組み合わせを探求し,その考え方や具体的な事例を提示することの両方が課題になると考えられる.そこで,これら2つの課題に対応するため,原子力機構東濃地科学センターは,2024年度から2027年度までの4カ年計画で,最新活動時期が判明している活断層の断層コアを貫くボーリング調査を実施し,得られた試料を用いて各種分析を実施する予定である.このボーリング調査では,地下数十mまでの浅部にある断層コアと地下100 m以深の深部にある断層コアを採取することを計画している.これは,異なる深度にある断層コアを分析することで,深度による影響が予想されるデータ,例えば,風化による断層破砕物質の変質度合いや摩擦熱による断層年代のリセット条件に関するデータが得られると期待できるためである.
本研究開発の事例対象とする活断層の条件については,断層の直接年代測定法であるElectron Spin Resonance(ESR)法とOptically Stimulated Luminescence(OSL)法の研究開発に適した条件を考慮し,具体的には以下とした.(1) ESR法とOSL法の対象鉱物である石英・長石を産出する地質であること,(2) 最新活動時期に関する情報が歴史記録とトレンチ調査から得られていること,(3) ボーリングコアでの最新活動面の認定を容易にさせるため,断層を介して異なる地質が分布していること,(4) そのような地質境界としての断層面が,石英OSLの年代リセットが期待できる深さ(花崗岩の石英で42 m以上, Oohashi et al., 2020; 堆積岩の石英で116 m以上,阿久津ほか, 2021)において存在すること.全国の活断層を対象とした文献レビューに基づいて,条件を満たす活断層として,木津川断層帯の伊賀断層を選定した.伊賀断層は,白亜紀の花崗岩である信楽花崗岩類と新第三紀末の堆積岩である古琵琶湖層群との境界をなす北側隆起の右ずれ成分を伴う逆断層であり,その最新活動時期は,1854年の 伊賀上野地震である(地震調査研究推進本部, 2004).本研究開発の事例対象地区には,1854年の伊賀上野地震によるものと考えられる断層変位が確認されたトレンチ(苅谷ほか, 1999)が位置する地区を選定した.
研究開発の初年度にあたる2024年度に実施したのは,(1) 事例対象地区の地形・地下構造に係る基礎データを取得することを目的としたドローンのレーザー測量と反射法地震探査,(2) ボーリングによる地表面下25 mまでの浅部コアの取得,である.ボーリングでは伊賀断層と考えられる花崗岩-堆積岩境界を含む試料が得られた.本発表では,これらの調査の結果とともに2025年度の調査計画について紹介する.
【謝辞】本報告には経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和6年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(地質環境長期安定性総合評価技術開発)」の成果の一部を使用している.
【引用文献】阿久津ほか(2021)日本地質学会第128年学術大会 (R-14-P-7). 地震調査研究推進本部(2004)木津川断層帯の評価.苅谷ほか(1999)地質調査所速報, no.EQ/99/3, 103-113. Oohashi et al. (2020) Journal of Geophysical Research: Solid Earth, 125, e2020JB019900..
本研究開発の事例対象とする活断層の条件については,断層の直接年代測定法であるElectron Spin Resonance(ESR)法とOptically Stimulated Luminescence(OSL)法の研究開発に適した条件を考慮し,具体的には以下とした.(1) ESR法とOSL法の対象鉱物である石英・長石を産出する地質であること,(2) 最新活動時期に関する情報が歴史記録とトレンチ調査から得られていること,(3) ボーリングコアでの最新活動面の認定を容易にさせるため,断層を介して異なる地質が分布していること,(4) そのような地質境界としての断層面が,石英OSLの年代リセットが期待できる深さ(花崗岩の石英で42 m以上, Oohashi et al., 2020; 堆積岩の石英で116 m以上,阿久津ほか, 2021)において存在すること.全国の活断層を対象とした文献レビューに基づいて,条件を満たす活断層として,木津川断層帯の伊賀断層を選定した.伊賀断層は,白亜紀の花崗岩である信楽花崗岩類と新第三紀末の堆積岩である古琵琶湖層群との境界をなす北側隆起の右ずれ成分を伴う逆断層であり,その最新活動時期は,1854年の 伊賀上野地震である(地震調査研究推進本部, 2004).本研究開発の事例対象地区には,1854年の伊賀上野地震によるものと考えられる断層変位が確認されたトレンチ(苅谷ほか, 1999)が位置する地区を選定した.
研究開発の初年度にあたる2024年度に実施したのは,(1) 事例対象地区の地形・地下構造に係る基礎データを取得することを目的としたドローンのレーザー測量と反射法地震探査,(2) ボーリングによる地表面下25 mまでの浅部コアの取得,である.ボーリングでは伊賀断層と考えられる花崗岩-堆積岩境界を含む試料が得られた.本発表では,これらの調査の結果とともに2025年度の調査計画について紹介する.
【謝辞】本報告には経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和6年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(地質環境長期安定性総合評価技術開発)」の成果の一部を使用している.
【引用文献】阿久津ほか(2021)日本地質学会第128年学術大会 (R-14-P-7). 地震調査研究推進本部(2004)木津川断層帯の評価.苅谷ほか(1999)地質調査所速報, no.EQ/99/3, 103-113. Oohashi et al. (2020) Journal of Geophysical Research: Solid Earth, 125, e2020JB019900..